神楽坂駅から徒歩5分。“マンヂウカフェ ムギマル2”。大通りから一本入ったところにある上、外壁がツタに覆われていて、つい見逃してしまいそうになる。テイクアウトのカウンターが目印。
看板ネコの2匹、 名前は“トン”と“寸(スン)”。「接客上手なのはトン。自分から、お客さんたちの膝の上に乗るんです。」と店主に聞いて、わくわくしながらまずは2階へ。最近はネコに癒されにくるお客さんも多いという。なでられ好きのトンとスンにとっても、お客さんにとっても触れ合いを通じた接客が、お互いのニーズを満たしているから一挙両得。
人懐っこいトンが、お客さんの膝の上に。嫉妬。周りのお客さんもきっと同じ気持ちに違いない。涼しい顔していたって、きっと内心は「次は俺の膝に、いや私の膝よ、早くこの膝に来い、来い」と思ってるに違いない。かわいいネコを前に人間たちの心理戦がすでに始まっている。
飛びつきたいくせに。顔をうずめたいくせに。大人の倫理観が邪魔をしてみんなできないでいる。もしここで自分がそれをしてしまったら、きっとみんな堰を切ったようにネコまっしぐらになるはずだ、などと妄想しながら、他のお客さんの膝の上でぬくぬくしているトンを平静を装い穏やかな目で愛でている(ソロ活ってこんなんでいいんでしたっけ?)。
そんな人間の複雑な愛憎感情を無視して、ストーブ前に鎮座してゴロゴロいうトン。ストーブの赤い光に照らされて(近すぎないか?大丈夫?)じーーーっとしている。人の気持ちを意に介さないところがまたいい。
さて、忘れてならないのはこのお店のメインとなるメニュー “マンヂウ”。白・黒蜜・ジンジャー・紅茶など、生地もいろいろあって、全部で12種類もある。キッチンからは、マンヂウをふかしている湯気がもくもくと、いい香りがふわふわと、なんだかジブリ的な雰囲気でほっこり幸せな気分になる。
話はネコに戻って、トンとスンの母親は、かなりの美人さんだそうで、今までに何度も取材や撮影の依頼を受けてきたタレントネコ。そりゃ息子たちも可愛いいはずだわ!!
松戸で拾われたことから “マツ子”と名付けられ、9年前にこの店にやって来た。「あんまりにも顔が可愛いから、洒落た名前は付けたくなくて」。過去に受けた取材時の写真、どれを見てもポストカードのような完成度!今日は会えなかったが、お店の近くに住んでるらしいので、いつかお目にかかりたい!
「ネコ目当てにくる人は2階が多いかな。1階はいつもの人たち」と店主。閉店時間が近づくと、1階には常連さんが集まっていた。もともとはお互い知り合いではなく、ここで出会った仲間らしい。最初はソロ活だったわけだ。そんな関係も、おしゃれ。ワインを飲みながら、ジャズや料理の話をしていて、ここは映画の中!?と思ってしまうような雰囲気。
足下に置いてくれた小さなストーブが暖かい。お互い干渉しすぎず、程よい距離で人が時間を共有する優しい場所。ネコが似合う、いやネコに似合う空間かもしれない。ネコのおかげでゆるやかに人とつながれたソロ活であった。
【閉店】マンヂウカフェ mugimaru2
所在地:東京都新宿区 神楽坂5-20
電話番号:03-5228-6393
最寄駅:牛込神楽坂
※こちらのお店は閉店しました。
ライター紹介
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。
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※本記事内の情報は2016年02月18日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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