「カカオを楽しむ」、その喜びがぐっと身近に。
目の覚めるようなひと口だった。さらりと広がる、混じり気のないカカオの香りと苦味に、洋酒にも似た芳醇さまで漂わせてくる。
“ショコラの水”を意味する「オー ドゥ ショコラ」(グランクリュ584円)は、ミルクでなく水で仕立てるショコラ ショ。「カカオを楽しむ」、そんな『ジャン=ポール・エヴァン チョコレート バー 丸の内店』のコンセプトが、クリアなひと口に詰まっている。
2015年12月に「イセタンサローネ メンズ」内にオープンしたばかりのこちらは、パリで話題をさらう、エヴァンさんのチョコレート バーの世界2店舗目。茶室みたいな和の趣あるミニマムな空間で、パリと同じく、「カカオを日常的に味わう」を突き詰めた、コンセプチュアルなラインナップを味わえる。
奥に見えるまばゆい壁は正真正銘の金箔! エヴァンさん自ら6種ほどから質感や色を選んだとか。
オー ドゥ ショコラは(ショコラ ショも)、「パリジャン」(オリジナルブレンド)とグランクリュ(最高級産地のシングルオリジン。しかもエヴァンさんが世界中巡って見つけたもの!)の2種あって、グランクリュは3ヶ月ごとに産地が変わっていく。
今ならヴェネズエラで、香ばしくトーストされたカカオの香りとフローラルな余韻がクセになってしまう。3月〜はマダガスカル、6月〜はブラジルを予定しているけど、これにもちゃんと意味がある。例えばブラジル産グランクリュカカオはパッションのような爽やかな香りがあるから、夏の時期によく合うのだそう。他のフレーバーを加えるのでなく、カカオの持ち味で季節ごとに変えていくとは、なんだか新鮮!
仕事が終わって、ディナーまでのスキマ時間にさくっと立ち寄りちょっとだけ食べる、そんな日々に寄り添う使い方もしてほしいからと、生菓子はエヴァンの他の店舗よりひと回り小さめ。エヴァンさんといえばの、生姜とヴェネズエラ産カカオを使った「グアヤキル」のほかは全部チョコレートバーだけのアイテム。もちろん置いているのはショコラのガトーだけ、小さくてもガツンとくるカカオ感がたまりません。
なかでも惹かれたのが「アキテーヌ」(640円)。ヴェネズエラ産カカオとフランス生まれのフロマージュのリッチな味わいに、ミエル モンターニュ(山のはちみつ)がほんのり。口どけとともにまずこっくりとしたショコラの香りがやってきて、じわりと白カビチーズのほんのりした塩気と風味が広がっていく。どこかウッディな香りのはちみつの余韻が、カカオの奥行きを深めてくれるよう。
ぜひ試してほしいのがチョコレートケーキ×オー ドゥ ショコラのペアリング。普段なかなかやらないショコラすぎる組みあわせなのに、食べてみると、思ってたのと違う! オー ドゥ ショコラは単品で飲むより、なぜだかもっとビターでさらっとコーヒーに近い感覚に。しかも、その香りや渋みがショコラ菓子の味わいをより深めてくれるみたい。
シグネチャーガトーの「グアヤキル」(584円)は、ここだけのスタイルで。お好みでちょっとだけ熱を入れて、とろりとさせて出してくれる(これ、エヴァンさんが実際にやっている食べ方!)。ツヤツヤ輝く、とろける一歩手前の1片を口にすると、カカオの華やかさと生姜の気高い香りがふわり、鮮やかに鼻を抜けていく。
マカロンもまた、カカオの楽しみに満ちている。エヴァンの他店舗ではもうちょっとカラフルだけど、ここでは茶色のグラデーション。定番の「アメール」(ガナッシュノワールを挟んだマカロン)のコクをより深めた新作「スペール アメール」(292円)と5種の産地別カカオのマカロンは、現在、チョコレートバーでしか買えないアイテム。
産地別は産地だけが違ってルセットは同じ。なのに、ベリーみたいな酸味のマダガスカル産、スモーキーなサオトメ産と(産地のセレクトはこの先変わるかも?)、味も風味もまるで違う。ほとんどがカカオ70%超えのハイカカオで、マカロンでもやっぱり、ショコラの個性が濃い!
さらにはドリンクのテイクアウトも登場していて(エヴァン初!)、パッケージを見せびらかしたいほどおしゃれ! 歩きながらや仕事しながらオー ドゥ ショコラを飲めたりと、本物のカカオが日常のすぐそばに。
エヴァンさんのこの新しい提案から、ショコラの可能性と楽しみがどこまでも広がりそう。甘くビターなショコラ探索に、いざ丸の内へ!
text / chico photo / Kayoko Aoki
- ジャン=ポール・エヴァン チョコレート バー 丸の内店
- 住所:東京都千代田区丸の内3-3-1 イセタンサローネ メンズ内
最寄り駅:二重橋前〈丸の内〉、有楽町、東京、日比谷
まだある!丸の内の注目スイーツショップ
チョコレート文化発祥の地、スペインでカカオ豆からチョコレートを作り続けるブランド。パルメザンチーズを使うなど、どの粒も独創性に満ち溢れる。一度絶滅したと考えられていた王のカカオ「レアルクリオロ」から生み出したボンボンショコラ「ショコヌスコ」は、驚くほどフルーティー!
- CACAO SAMPAKA 丸の内本店(カカオサンパカ マルノウチホンテン)
- 東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア1F
最寄り駅:二重橋前〈丸の内〉、東京、有楽町
パレスホテル東京のペストリーショップ。千代紙柄の“千代ちょこ”など評判のショコラに、生菓子やパンなど幅広い品揃え。オリジナル純米吟醸酒「壱ノ壱ノ壱」と新潟「八海山」の酒粕の風味を生かした日本酒ケーキ「壱ノ壱ノ壱」は、気の利いた手みやげに。
- パレスホテル東京 ペストリーショップ「Sweets & Deli」
- 住所:東京都千代田区丸の内1-1-1 パレスホテル東京B1F
最寄り駅:大手町、東京
フランス、エシレ村伝統の発酵バター「エシレ」はもちろん、エシレバターを使ったパンやお菓子が揃う専門店。見た目もまるでバターのようなバターケーキ、「ガトー・エシレナチュール」は、口にするとたちまちミルキーなコクを放ち溶けてしまう。
- エシレ・メゾン デュ ブール
- 住所:東京都千代田区丸の内2-6-1 丸の内ブリックスクエア1F
最寄り駅:二重橋前〈丸の内〉、東京、有楽町
★バレンタイン情報をお探しの方はこちらもチェック!
- 【Vol.1】カカオを香りごと“かじる”感覚!? ひと味違うBean to bar専門店「Minimal」
- 【Vol.2】パリの老舗店「ベッジュマン & バートン」の香り立つ紅茶スイーツ。
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- 【Vol.5】「メゾン・ダーニ」でほおばる、バスク仕込みのガトーバスク。
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- 【Vol.7】『ローラズ・カップケーキ東京』でときめく、イギリス発おしゃれカップケーキ。
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- 【Vol.9】もはやアートの領域!? 美しき立体フォルムの“オブジェ系”クリスマスケーキ5選。
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※本記事は2015年12月28日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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