【新宿】名物女将が作る絶品おでんに舌鼓
一見敷居が高そうな店構えだが、中に入ればアットホームな雰囲気に包まれる新宿「立花」。昆布や鰹節の香りが漂う店は、昭和50年から新宿界隈に店を構える名物女将が1人で切り盛りしている。
素材はすべて自分の目で選び、毎日旬のものを購入。お昼過ぎから仕込みを始め、夕方にはカウンターにずらりと手作りの惣菜が並ぶ。定食のメニューは「特に決めてない」とのことだが、お願いすればその日店にあるもので、女将がちゃちゃっとご飯を作ってくれる。常連のお客さんは「今日はたらこ雑炊が食べたい」「暑いから冷汁にして」など銘々自分の食べたいものをオーダーするといい、まさにドラマ「深夜食堂」を地で行くような店だ。
「このあたりは飲食店やデパートに勤める若い子が多いから、皆食事が不規則でね。炊きたてのご飯を何年も食べたことがない子もいるのよ(笑)」と話す女将。忙しく働く人々の胃袋を美味しいご飯で癒してくれる、頼もしい「新宿の母」なのだ。
店一番の名物はおでん。「おつゆまですべて飲み干せる」と評判で透き通った汁をひと口飲めば、昆布と鰹だしの香りが口いっぱいに広がる。おでんをつまみに飲む人もいれば、大盛りのご飯とともにたいらげる人も。
またおでんのほか、ぶり大根やふきの煮物など、「おふくろの味」を堪能できるお惣菜も多数。どれも丁寧な下ごしらえが施され、出汁の味がしっかりきいている。コンビニやファミレスではけっして出会えない、しみじみとした美味しさ。残業帰りの空腹を満たすにはぴったりの店だ。
立花
住所:東京都新宿区新宿3-9-8
営業時間:17:00~24:00(23:00LO)
定休日:日曜日(予約の場合は営業)
最寄駅:新宿三丁目/新宿
【三軒茶屋】出汁にこだわったプロの家庭料理が味わえる
まずは三軒茶屋の「おさか」。27歳の長男を筆頭に2男2女の母である篠塚さんが、「時間に関係なくちゃんとしたご飯を食べてほしい」と願って9年前に開店した店だ。オープンは22時。そこから翌朝の「ご飯がなくなるまで」の午前11時頃までが営業時間だ。
「おさか」の定食についてくるすまし汁は、すべて西伊豆の田子港の本枯節を使用。4~5ヵ月かけて手作りされた鰹節を使っているため香りがよく、ひと口飲むだけでホッとする味だ。
また定食といえば通常は味噌汁がついてくるものだが、「おさか」ではあえてすまし汁で提供している。化学調味料の味に慣れてしまった若い人に出汁の味を知ってもらうことが目的だ。すまし汁はそのまま飲んでももちろん美味しいが、卓上にある5種類の味噌から自分好みのものを選んで「マイ味噌汁」を作るのが、この店の名物。
「出されたものをただ食べるだけじゃつまらない。自分でちょっと手を加えると楽しいし美味しくなるでしょ」と話す篠塚さん。4人の子どもを育てた母ならではの目線だ。
昔に比べて働き方や働く時間帯は大きく変化しているのに、深夜や早朝に美味しいご飯を食べられる店はあまりに少ない。しかし「おさか」でははどの時間帯でも定食を提供。定食の種類はからあげやハンバーグなどいろいろあるが、中でも絶品は干物定食だ。
店専用に天日干しされた西伊豆の魚をパリッと焼きあげているので、皮はパリパリなのに、魚そのものはふっくらジューシー。一口食べれば「干物」の概念ががらっと変わる。付け合わせの豆腐や漬け物もすべて自家製。これにホカホカのご飯とやまやのめんたいこがついてくるのだから、毎日のように通う人が多いというのもうなずける。
食堂 おさか
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-13-9
営業時間:22:00~11:00頃(ご飯がなくなり次第終了)
定休日:不定休
最寄駅:三軒茶屋
ライター:藍原育子(きいろ舎)
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