vol.02 新宿K's CINEMA(ケイズシネマ)

 

vol.02 新宿K's CINEMA(ケイズシネマ)

ゆったりした気分で映画を見るには最高の設備がそろった映画館

vol.02 新宿K's CINEMA(ケイズシネマ)

新宿らしい雑然とした街並みに、突如現れるおしゃれなビル。外観も、かかっている映画もだいぶ変わったけれど、また映画館に生まれ変わったのがうれしい

JR新宿駅の東南口を出て甲州街道沿いの最初の路地を左折すると、洋風のおしゃれなビルが現れた。この映画館には初めて来たはずなのに、どうも前に来たことがあるようなデジャヴ(なぜここでフランス語を使ったかは後で分かる)を感じながら、映画館の入り口がある3階へ上がった。

番組担当の家田祐明さんに話を聞くと、デジャヴを感じた理由がすぐに分かった。なんとここは東映などの任侠やくざ映画専門の上映館として名をはせた新宿昭和館の跡地に造られたビルだったのだ。外見がすっかり変わっちまったんでまったく気付かなかったぞ。面目ない…。昭和館には筆者も何度か訪れ、観客が高倉健や鶴田浩二、菅原文太らに拍手喝采を送る(時には罵声を浴びせる)、男くささ満載の雰囲気の中で映画を見た覚えがある。だが、惜しくも2002年に閉館になった。とは言え、映画館を取り壊すとその跡地には面影すら残らないことが多い中、ここは新たな映画館として再生したのだから良しとしようじゃないか。

2004年に装いも新たにオープンしたこの映画館は、もちろん昭和館とはがらりと雰囲気を変えて、アジア映画、ドキュメンタリー、自主製作映画などバラエティーに富んだプログラムを組んで上質な映画を提供している。館内は84席のミニシアターだが、特に若い女性向けというわけではない。上映作品によって客層もさまざまだから、硬派な男性もおしゃれなミニシアターだから入りにくいと恐れることはない。天井は高く、座席の間隔も広くと、ゆったりと映画を見るには最高の設備が整っている。また、2006年に閉館した三百人劇場から「中国映画の全貌」を引き継ぐなど特集上映にも前向きなのがうれしい。

vol.02 新宿K's CINEMA(ケイズシネマ)

赤と黒を基調としたクールな場内。座席数こそ少ないが、天井が高いのでゆったりとした気持ちになれる

そんなこの映画館で、「アラン・ドロン生誕75周年映画祭」が開催される。奇しくも近隣の新宿武蔵野館では、つい最近まで「ブリジット・バルドー特集」が行われていた。往年のフランス映画を代表する男女スターが、相前後して新宿でよみがえることになる(ほらちゃんとフランスとつながっただろ)。ベテランの映画ファンは、かつての任侠やくざ映画の聖地に思いをはせながら、生まれ変わった映画館でドロンと再会するのも一興だ。また、ドロンを知らない若い世代にはぜひこの機会に彼の魅力を堪能してもらいたい。 「旧作の特集上映は朝の方がお客さんが入ります。将来はTOHOシネマズの『午前十時の映画祭』みたいなこともやってみたい」という家田さん。今後がますます楽しみじゃないか。

ここでの一本

スクリーンに危険な香りを漂わせた天下の二枚目スター。男の色香に酔え!

アラン・ドロンの映画は見ていなくとも、その名は知っているという日本人は多い。甘い二枚目の代名詞として絶大な人気を誇ったドロンは、日本人にとっては単なる映画スターを超えた存在なのだ。だがドロンは、その美貌とは裏腹に、野卑な魅力を発散し、危険な香りを漂わせた。好んで悪役や汚れ役も演じた彼は、それまでの二枚目俳優のイメージを大きく変え、幅を広げてみせた。だからこそ彼の映画は多様性があって面白いのだ。 今、例えばレオナルド・ディカプリオが性格俳優を目指してわざと醜悪な姿をさらしたりしているが、そんなことはドロンがずっと前に実践していたのだよ。しかも美しい姿のままでね。 今回の特集でも、『若者のすべて』(60)では若者の野望を、『地下室のメロディー』(63)では若き犯罪者を、『黒いチューリップ』(63)ではヒーローを、『世にも怪奇な物語』(67)では恐怖におびえる男を、そしてマリアンヌ・フェイスフルとのラブシーンが話題になった『あの胸にもういちど』(68) ではセクシーな男と見事に演じ分けている。中でも、おすすめは名優ジャン・ギャバンと共演した『地下室のメロディー』(63)。老若スターの対比、どんでん返しのストーリー、バックに流れるモダンジャズなど見どころ満載。余談だが、東映はこの映画の設定を時代劇に代えて『御金蔵破り』(64)を作ったのだからちゃっかりしている。と、話が東映に戻ったところで今回はお開き。

アラン・ドロン生誕75周年映画祭

アラン・ドロン
生誕75周年映画祭

2010/10/23~2010/11/12

アラン・ドロン:1935年11月8日~
フランスの映画俳優。二枚目俳優の代名詞的存在。日本では女性のみならず男性ファンも多い。

映画館の基本情報

〒160-0022 東京都新宿区新宿3-35-13 SHOWAKAN-BLD 3F
TEL03-5354-4388
新宿K's CINEMA(ケイズシネマ)

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