「丸ノ内線一択」という選択。井口の東京メトロ生活
―――忙しい芸人さんだと、移動はタクシーのイメージがありますが、現在も日常的に東京メトロを利用されているそうですね。
井口:僕、荻窪に住んでいるんです。テレビ収録は港区周辺が多くて、毎回タクシーを使うと正直“赤字レベル”。だから基本的にタクシーは使わないですね。それに、時間も読めないから電車移動のほうが確実なんですよ。
先日、移動がちょうど朝のラッシュ時で「さすがに電車は乗りたくない」と思ってタクシーの時間を調べたら、目的地まで“25分〜1時間半”って表示されて。もう何時に着くのかわからないじゃないですか。むちゃくちゃですよ。「なんなんだよ!」となって、結局電車に乗りました。
でも、座れましたね。荻窪は丸ノ内線の始発駅なので、混んでいても1本見送れば基本座れる。丸ノ内線を使う理由は、そこが一番大きいですね。
―――10年以上前から、たびたび丸ノ内線愛を語っていますよね。
井口:荻窪の前は新高円寺に住んでいたから、ずっと丸ノ内線沿線にいますね。
車両デザインも好きなんですよ。あるとき、急に変わったんですよね。新しいデザインがまた丸っこくてかわいい。変わった当初は新旧デザインが混在して走っていたので、新しいほうに乗れた日はラッキーみたいな感覚でしたね。
丸ノ内線は比較的、ピーク時でも混雑が“マシ”というのも良いんですよ。だから、できる限り丸ノ内線で行けるところまで行きたいんです。
―――聞くところによると、荻窪から池袋への移動も丸ノ内線1本で行かれていたとか・・・。(新宿で乗り換えれば約25分、丸ノ内線のみだと約50分)
井口:あぁ、やってましたね。たった2倍ぐらいですから(笑)。25分が50分になっても、人込みの中乗り換えするより全然良いですから。当時は時間もあったし、全然苦じゃなかったですね。
今もできる限り東京メトロで目的地まで行っています。テレビ局って基本どの局も東京メトロで行きやすいんですよ。お台場も、丸ノ内線赤坂見附駅で乗り換えて新橋まで行き、そこからゆりかもめです。
―――すごいですね! そこまで徹底した東京メトロユーザーだとは思っていませんでした。歴代M-1チャンピオンの中では、一番電車を利用されているのでは?
井口:そうですよ。M-1決勝の日も、僕だけ電車で会場に行ってましたからね。密着スタッフが、丸ノ内線の駅前でカメラ持って待ってたんですよ。でも当然車内では回せないから、ついてきた意味がわからない(笑)。
ほかの芸人はみんなタクシーなのに、僕だけ電車。M-1後に放送される『アナザーストーリー』でも、僕は電車のシーンだけ使われてましたからね。どんな優勝者だよ。
井口が語り尽くす、東京メトロ干支マナーポスターの世界
―――井口さんは、これまでたびたび東京メトロの干支マナーポスターについて言及されていますが、どのようなきっかけで知ったんですか?
井口:いやいやいや、きっかけもなにも、普通に駅にめちゃくちゃ貼ってるから目に入っちゃいますよね(笑)。
最初に見たのはこれですよ、このイノシシのポスター。僕、亥年生まれなのでイノシシが好きで、目に留まったんです。で、猪突猛進のイメージから「かけこみ乗車防止」を思いついたんだなと思っていたら、翌年ネズミになっていて。「あれ? ネズミ?」と。そこで“干支なんだ”と気づいた。衝撃ですよ。
翌年以降のウシ・トラまでは良いとして。ウサギで一気にかわいそうになっちゃった。ニンジンが折れてるのもよくわかんないし(笑)。これはもう挟まれに行ってるでしょ!
▲2025年現在、イノシシ~ヘビまでの全7種類が展開。
“泣いてる”トラをポスターに使ったのって、たぶん初なんじゃないですか? トラが泣いてるパターンなんてないでしょ。あと、ヘビなんて絶対挟まらないでしょ。
それでも干支くくりで“意地で続けてる感”が面白いし、良いんですよね。ある意味、ネズミが肝なんですよ。「猪突猛進」から始まったのに、翌年よくネズミにしたなって。ネズミはドアに挟まれないだろうっていう人、いなかったんですか?
―――そういうお問い合わせはなかったそうです。
井口:わざわざ問い合わせてまでは言わないでしょ(笑)。
こうやって並べて見ると、イノシシのときは泣いてないけど、ネズミになったら泣いてるんだな、とか。英語表記も最初はなかったんですね。
海外の方からしたら、「なんでヘビが挟まれてるんだ?」ってなると思うんですよ。地下鉄にヘビが出るのかな、みたいな(笑)。あ、でも、このイエローカードだけはずっと変わってないですよね。海外の方でも、これを見れば「かけこみ乗車NGだな」とわかるのかもしれない。
ウサギの年から前年の干支であるトラが下にいるのは、「ウサギだけだとかわいそう過ぎるからトラも添えたのかな」とは思いましたね。
―――すごく細かいところまで見ていただいていますね。だんだんデザインにも遊び心が出てきて、下のトラは前年に痛い目を見た“先輩”からのアドバイス、だそうです。
井口:あー、そういうことなんですね。それまでは人間の車掌さんが泣いてますもんね。それはそれで、“意味わかんない感じ”が良いけど。
で、ウサギは翌年、耳を怪我している、と・・・。耳が挟まってるわけじゃないのにこれも意味わかんないな(笑)。タツに至っては松葉杖。挟まったところと関係ない大怪我。これはもう、違うときの怪我ですからね。
―――このマナーポスターはすべて、東京メトロのデザイナーさんが手がけているんですよ。
井口:大丈夫かな、こんなに言っちゃったけど(笑)。いやでも、本当に毎年楽しみにしてますよ。毎年ちゃんと写真も撮ってますから。
あとは“一周したらどうするんだろう”っていう期待感もあります。まだ続くのか、はたまた辞めるのか。あと何年かで干支が一周しますからね。
▲井口さんのXより(@westiguchi)。SNSやYouTube、テレビなどでたびたび「干支マナーポスター」について発信している。
―――かけこみ乗車に関するマナー啓発のために生まれたポスターなので、井口さんが注目して発信されること自体が、結果としてマナー啓発につながっています。だからこそ、メトロ社員一同、井口さんに感謝していると思います。
井口:いやいやいや、それは言い過ぎでしょ(笑)。マナー啓発になってますかね? なってれば良いですけど。
良くも悪くも“気になる”じゃないですか、このポスター。まずはポスターが目に留まらなかったら意味がないし、もっともっと見てもらいたいですよね。でも、ここまで定着したら十分じゃないですか。
―――ありがとうございます。2026年版のマナーポスターも絶賛制作中で、年始からはマナーポスターにちなんだスタンプラリーも開催します。その景品の一つに、井口さんのサイン入りマナーポスターをご用意したいと思っています。
井口:いや、いらないでしょ! メトロのファンからしたら全然いらなそうだけど大丈夫ですか? 誰も欲しがらない景品(笑)。
でも、イベントをやるくらい盛り上がってるんですね。僕以外にもこのポスターのファンがたくさんいるんだ。それはよかったです。ウマバージョンもめちゃくちゃ楽しみにしてます。
「丸ノ内線は宝物」これからも変わらない井口の東京メトロ愛
―――最後に、井口さんにとって「東京メトロ」とは?
井口:欠かせないもの、ですかね。結局、未だに乗ってるわけですから。こうなったらもう、ずっと乗るんでしょうね。
丸ノ内線は、僕にとって“宝物”ですから。変わらずあってほしいです。人気になりすぎてパンパンにならない程度に(笑)。
今後、もっとあらゆるところに線を張り巡らせてほしいですよ。主に僕が行くところ全部に東京メトロの駅があるのが一番ありがたいですね。
このポスターも、ずっと気にしています。来年のウマがどうなるのか、めちゃくちゃ期待してます。あと、かけこみ乗車はしないでほしいですね。本当にね。それが一番大事です。
写真・構成/君島有紀

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