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喫茶ライターの川口葉子です。今回わたしがご紹介するのは「日常的に通いたいコーヒーショップならココ」という、錦糸町のとあるお店。
お店の人とちょっと言葉を交わしたいー地元の人々が集うコーヒーショップ/私立珈琲小学校
2022年7月、日常的に通いたい小さなカフェがオープンしました。コーヒーをテイクアウトするついでに、お店の人の顔を見たい。ちょっと言葉を交わしたい。オープンして間もないのに、地元の人々は早くもそんな使い方をして楽しんでいるようです。
そのカフェとは、代官山で多くの人に愛されてきた「私立珈琲小学校」。移転オープンした“新校舎”は、錦糸町駅北口から徒歩4分ほどの路地裏。緑あふれる錦糸公園も近く、「空が少し広いのが嬉しい」と、吉田恒“先生”(同店オーナーの吉田恒さん)はにこにこしています。
じつはこの街、かつて吉田先生が小学校の教員として初めて教壇に立った、大切なスタートの地なのです。このカフェを「街に溶け込み、街にひらかれた学校にしたい」と吉田先生。
メニューの中心は、スペシャルティコーヒーを使ったドリンク各種と、店内の工房で担当の“先生”が腕をふるうパンとお菓子たち。
この日は暑かったので、きりりと冷たい「エスプレッソ トニック」(672円)でリフレッシュしました。はじける炭酸水の上に美しく注がれたエスプレッソは、ストローで軽く混ぜると、きめ細かく泡立ちながらひろがります。
人気の「エルヴィスコーン」(398円)は、エルヴィス・プレスリーが大好きだったというバナナ、ベーコン、ピーナッツバターを組み合わせた、食事系の甘くないスコーン。コーヒーはやや浅煎りの「珈琲小ブレンド」と、深煎りの「錦糸ブレンド」(各545円)のほか、シングルオリジン2種類。ラテ各種も楽しめます。
不思議な静けさを湛えたうつわは、吉田直嗣さんの作品。割れてしまったカップも、金継ぎをほどこして大切に使われています。
個人的にオススメしたいのは、蔵前のBean to Barチョコレート専門店「ダンデライオン・チョコレート」の美味しさをそのまま生かした「チョコラムレーズンのパウンドケーキ」(452円)。ダンデライオンのスタッフとは“代官山校舎“時代から交流があり、そのご縁が続いているのだそう。
イームズのウッドスツールが並ぶ店内でくつろいでいたら、素敵なシーンを見ることができました。母親に連れられた小さな女の子が吉田先生の前に進み出て、何やら楽しげに話し始めたのです。その言葉にじっくり耳を傾けて答えている吉田先生の姿から、目の前にいる子どもをひとりの人間として尊重していることが自然に伝わってきました。その姿勢はもちろん、お客さまに対してもスタッフに対しても同じです。
「錦糸公園に蝉取りに行く兄弟がいて、帰りに必ずここに寄って、取った蝉を見せてくれるんですよ」と吉田先生。かと思えば、ご近所の大人たちは「これ食べてね!」と、気軽なおやつを差し入れてくれたりするのだそう。
さまざまな人が集まる私立珈琲小学校。“登校”してきた人々に、先生は「良い一日を!」と声をかけて送り出します。
〒130-0013
東京都墨田区錦糸1 4-9-9 宮本マンション2
錦糸町駅
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※本記事内の情報は2022年09月04日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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