自分で歌うユーミンで泣く
開店して1か月経っていない近所のカラオケに来ました。カラオケの新店舗に来るのって、考えてみればあまり経験がない。新築独特の匂いも鼻に心地よく、マイクも新品で、擦れた痕もなにもなくて握り心地最高。
こんな気持ちいい店舗で平日の午後、爽やかに春の歌が歌いたかったんです。まず、浮遊感のあるbonobosから入って、一度歌ってみたかったスピッツの「春の歌」。実際にはまだ2月の、寒い冬の雨の日だったんだけど、もうすでに気持ちよくなってきました。しかも、この2曲を歌ったら、高音を出す新たなコツがちょっとつかめたような気がする。喉に負担はかけそうだけど……でも、気分がいい。
スピッツの春っぽい歌をもう1曲入れてからは、デンモクの曲検索で「春」で始まるものをひたすらたどってみました。しかし、実際探してみるとそんなに歌えるものがないな……。目についた「春咲小紅」も、日本語と英語が全く同じことを言っているタイトル「春~spring~」も、入れてはみたけど歌ってみたらサビしか知らなかったというパターン。中断せざるをえない。うーん。
あ、「春なのに」は歌える。しかも中島みゆきバージョンがあるじゃない。伴奏の感じが原曲とかなり違って歌いづらい、はっぴいえんどの「春よ来い」も歌い、そのあとは定番、ユーミンの「春よ、来い」。あれ、ユーミンってあんまり歌ったことなかったけど、すごく歌いやすいね。
わたし的には定番の、中島みゆき「私たちは春の中で」をこなしたあと、あまり入れたことがなかったユーミンを歌ってみることにしました。ああ、音程的にも声質的にも、ものすごく歌いやすい! 私、もっとユーミンを歌っておくべきだった!
スイッチが入り、ユーミンの歌えそうな曲を片っ端からどんどん入れてみる。「やさしさに包まれたなら」。私は「魔女の宅急便」を見たことがないんだけど、この曲が大好きなんですよ。ああ、自分で歌いながら泣きそうになってしまったよ。本当にいい曲だよねえ。
私の知ってるユーミンの曲ってベタなものしかないんだけれど、それでも歌い慣れないから全部新鮮。「DESTINY」もいい。「ルージュの伝言」も、ひとりしかいないんだからかわいげに歌っちゃうよ。一人カラオケだから何をやっても許される。恥ずかしさなんて、人の目があるから起こる感情です。
「リフレインが叫んでる」のあと、どうしてもまた歌いたくて「やさしさに包まれたなら」2回目。また泣きそうになる。ああ、まだまだやりたいのにもう時間だ。
「翳りゆく部屋」を流し、口ずさみながら部屋を出る準備。そして一番が終わったあたりで、演奏を流したまま退室してフェイドアウト。ああ、今日も発見のあるいいカラオケ!
本日のセットリスト
1 春の嵐 bonobos
2 春の歌 スピッツ
3 ただ春を待つ スピッツ
4 春咲小紅(中断) 矢野顕子
5 春~spring~(中断) Hysteric Blue
6 春なのに 中島みゆき
7 春よ来い はっぴいえんど
8 春よ、来い 松任谷由実
9 私たちは春の中で 中島みゆき
10 Hello, my friend 松任谷由実
11 やさしさに包まれたなら 松任谷由実
12 DESTINY 松任谷由実
13 ルージュの伝言 松任谷由実
14 リフレインが叫んでる 松任谷由実
15 やさしさに包まれたなら 松任谷由実
16 翳りゆく部屋(流し逃げ) 松任谷由実
今回のひとこと
これから私のレパートリーにユーミンが確実に加わります。いい春だ。
ライター紹介
文筆業兼イラストレーター。 「オカマだけどOLやってます。」でデビューし、近刊に「『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ」(講談社文庫)「ときめかない日記」(幻冬舎文庫)など。「久保みねヒャダ こじらせナイト」にも出演中。
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