高音が出ないとつらい「ヒュ~ルリ~」

 最初から最後まで調子をつかめない一人カラオケもあるのだ。


 3月中旬の雨の日、有楽町の某店。ここしかなくて仕方なくここに入ったけれど、この某チェーン店はもともとあまり好みではないんです。なにしろ一人カラオケだと料金割り増しというのがケチくさくて気に入らない。通された部屋も狭かったし、カラオケの機種も選べない。エコーの感じとか、ブランドによって違うんだよ! 私は高校時代からジョイサウンド推しなのに!


 最初から不穏な感じで始まった一人カラオケは、全部が悪いほうへと進みます。ちょっと暖かい日だったのでフロートを頼んだけど、スプーンがついてこない! イライラしながらとりあえず、歌えるものより聴きたいものを入れました。大好きな初期のスピッツ。中でも演奏に声が溶けこむような曲ばかり入れて、おとなしめに歌いつつも、聴くことを楽しむ。


 ふと「そういやあの曲は入ってるのかな」と思い出した。前回入れられなかった宮本浩次の……あった!


 これですよ、このタイトルの長いやつが先月歌いたかったの。やっと腰を据えて歌う気持ちになって、立ち上がって歌う。しかし、空元気を出してみたものの、脳内ではまだスピッツのギターを引きずっていて、次にまたうっかりスピッツの曲に戻ってしまいました。なんだか流れがうまくつかめません。


 こうなったら中島みゆき先生だ! とか、演歌だ! とか、いろいろやってみるけどいまいちバシッとハマらない。私は今年初めて演歌のコンサート(石川さゆり)を観に行って感動したので、そのコンサートの1曲目だった「能登半島」を入れたんだけど、高すぎてうまく歌えない。石川さゆりの歌は、それ以外は超有名どころしか分からないや……。まったく知らない歌(飢餓海峡)を入れても演歌ならなんとなく歌えるのでは? と思ったけど、こんな遊びは一人でやってもむなしいだけである。森昌子「越冬つばめ」の「ヒュ~ルリ~」の部分も、高音が出ないので疲れて途中でやめた。その後も演歌や古めの歌を入れたけど、いまいち乗れない。


 ああ、入れる曲がなくなってしまった。知らないアイドルが出てきて元気にあいさつしたりする画面になってしまった。一人カラオケでこの無駄な画面は非常にメンタルによろしくない。


 こんなときは洋楽でも歌うか…と、歌ったこともないシンディ・ローパーやシェリル・クロウを入れる。洋楽は映像がずっと西部を旅する女の子みたいなやつで、2曲ともおんなじだ。誰なのコイツ。


 終始パッとしないので、また「能登半島」を入れてキーを下げまくって絶唱し、終わりにしました。とにかくノリが悪く、声の出ない日でした。私の声には色気がない! 歌手を目指す人間が夢破れたような気分になって終わってしまった。

本日のセットリスト

1 アパート スピッツ

2 いろは スピッツ

3 タイトでキュートなヒップがシュールなジョークとムードでテレフォンナンバー 宮本浩次

4 メモリーズ スピッツ

5 浅い眠り 中島みゆき

6 能登半島 石川さゆり

7 飢餓海峡(中断) 石川さゆり

8 越冬つばめ(中断) 森昌子

9 柳ヶ瀬ブルース 美川憲一

10 北国行きで 朱里エイコ

11  The Goonies 'R' Good Enough(中断) シンディ・ローパー

12 Everyday is a winding road シェリル・クロウ

13 能登半島(アンコール) 石川さゆり

今回のひとこと

最後までリズムがつかめない日は、リベンジしたくなるよりもむしろ人生に挫折したような気分になるのだ……。

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2015年03月26日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。