公開:2022年06月23日
IPAやピルスナーなど、豊富なビールの種類(=ビアスタイル)。耳にしたことはあるけど実際どんな味でどんな銘柄が当てはまるのかよく分からない・・・なんて人も多いのでは?そこで今回はビアジャーナリストのルッぱらかなえさんが、世界の人気地ビールを例に、ビアスタイルを解説。スタイルごとのおすすめフードも紹介しています。今の季節にピッタリなビアガーデンに訪れた際も、大いに参考になるはず!
ビアスタイルって何?ビアガーデンに行く前に学ぼう!
ビールが最高においしい季節になってきました!とくに今年はビアガーデンも多く開催されるようで、初夏の風を感じながら外で至福の1杯を楽しむことができそうです。
しかし一口に「ビール」といっても、その味わいは千差万別。すっきり爽やかなものや、フルーティでまろやかなもの。ずっしりと苦いもの・・・など、原材料の品種や醸造方法の違いで、さまざまなな味わいのビールが生まれます。ビールの味わいの種類はビアスタイルと呼ばれ、現在では100種類を超えるビアスタイルが存在しているのです。
今回はたくさんのビアスタイルの中から、ビアガーデンでも楽しめるとくにメジャーな5つのスタイルを解説。各スタイルのオススメ銘柄&相性の良いペアリングフードも一緒に紹介します。
【ピルスナー】世界で最も飲まれている定番ビアスタイル
最初にご紹介するビアスタイルは、「ピルスナー」。輝く黄金色が美しく、麦芽由来のやさしい甘みと適度なホップの苦みが感じられます。世界で最も飲まれているスタイルであり、日本の大手ビールメーカーが出している銘柄も、このスタイルのものが多いです。ピルスナーには麦芽の甘みや香ばしさを感じる「ボヘミアンピルスナー」と、すっきりドライな「ジャーマンピルスナー」があり、日本の大手ビールメーカーは後者に当たります。
オススメ銘柄は、1842年にチェコで誕生した“ピルスナーの元祖”「ピルスナーウルケル」。ボヘミアンピルスナーに分類されます。
シンプルでずっと飲み続けたくなる味わいの「ピルスナー」は、ポテトサラダなどマヨネーズで和えられたまったりとした味わいの料理と相性◎。カリカリベーコンやクリームチーズ、生ハムやオリーブなどが入ったポテトサラダであればさらに最高ですよ。
【ベルジャンホワイト】オレンジピールとコリアンダーを使用
「ベルジャンホワイト」というビアスタイルは、大麦麦芽だけでなく小麦麦芽もしくは小麦を多く使っているホワイトビールに分類されます。そこにオレンジピールとコリアンダーを使用しており、まろやかな甘みとやわらかな酸味を感じられ、苦みが少ないのが特徴。フルーティで飲みやすいため、ビールが苦手な方にもオススメです。
ベルギーの中心に位置するヒューガルデン村で修道士たちが造り始めたといわれる歴史あるビール「ヒューガルデン ホワイト」が、オススメの銘柄です。
このビアスタイルには、「白身魚のカルパッチョ」などさっぱりとした洋風の魚介系料理がピッタリ。適度に脂ののった白身魚と甘さも感じられるカルパッチョソースが、ホワイトビールの爽やかでフルーティーな味わいにマッチします。
【アンバーラガー】うっとりとした琥珀色に麦芽のカラメル香を感じる
続いて紹介するのは、すっきりとした飲み口と麦芽のカラメル香を感じることができる「アンバーラガー」といわれるビアスタイルです。色はうっとりとするような琥珀色。深いコクのある飲み応えで、さりげなく麦芽の香ばしさや甘みを感じられます。
オススメの銘柄は、ニューヨークのブルックリン区にて創業したブルックリンブルワリーによるビール「ブルックリンラガー」。
このビアスタイルにおすすめのペアリングフードは、生ハムやサラミなど塩気が強いもの。味の濃い、しっかりとした味わいのサラミや生ハムと、すっきりとした飲み口のブルックリンラガーは、良い塩梅に口の中でハーモニーを奏でます。
【ベルジャン・ストロングエール】酸味・苦味・甘みが絶妙なバランス
淡い黄金色が特徴のエールビール。スムースでまろやかな飲み口に、喉奥でゆっくりと苦味が広がります。なかでも「ベルジャン・ストロングエール」というビアスタイルは、度数が強いながらも酸味と苦味、甘みが絶妙なバランスで、度数を感じにくい味わいです。するすると飲めてしまうので、知らぬ間に酔っぱらってしまわぬようご注意を。
オススメ銘柄「デリリウムトレメンス」は、オランダ語で“アルコール中毒による震え”という意味のビール。ラベルのピンクの象はとってもかわいいですが、その度数はかわいくない8.5%です!
このビアスタイルにおすすめのペアリングフードは、「ムール貝の白ワイン蒸し」などのにんにくが効いたもの。にんにくに加えバターも効いたコク深いムール貝と、ベルジャン・ストロングエールのずっしりとした飲み応えがそれぞれの良さを引き立てます。
【IPA】フルーティーなホップの香り×しっかりとした苦みが特徴
最後に、最近よく耳にする「IPA(アイピーエー)」というビアスタイルをご紹介。IPAはインディアペールエールの略で、大航海時代にイギリスから当時植民地であったインドまでビールを運ぶため、防腐効果があるホップを大量に投入したことから生まれたスタイルです。ホップの香りが強く、しっかりとした苦みがあるのが特徴です。
代表銘柄は、クラフトビール界のカリスマ的存在メーカー、BREWDOG(ブリュードッグ)が手掛ける「パンクIPA」。南国フルーツを思わせる華やかな香り、そしてフルーティさと苦みのバランスが素晴らしく、ごくごくと飲みたくなります。
このビアスタイルのおすすめペアリングフードは、「牛肉のグリル」。IPAのガツンと強い苦みとインパクトはジューシーな肉のうま味にとてもよく合います。お肉の余分な脂もすっきりと流してくれる、気持ちの良い組み合わせです。
まとめ
これからの時季は野外でビールを飲むことで、その美味しさがとくに増すように思います。神々しい夕陽や、肌に心地の良い風、そして遠くから聞こえてくる虫の声・・・。これら自然を五感で感じながら飲むこともも、世界の地ビールとのおすすめのペアリングと言えるのかもしれません。
ビールと料理を野外で楽しめる場所として、やはりオススメなのがビアガーデン。世界の地ビールを楽しめるビアガーデンもあるので、ぜひ参考にして行ってみてくださいね。
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