大学に入学しました
春は新たなることに挑戦するのに最適な季節だ。そんな新たなる挑戦を始めた人を羨ましく思ったりもする。社会人が大学に入り直すことも今は珍しくない。そんな季節なのだ。ソロ活も新たなる挑戦をするべきなのだ。
東京芸術大学に入学した私の写真、ではもちろんなく一人フラッと出かけて撮った写真だ。この写真をSNSにアップすれば、「いいね!」がもらえる気がして撮ったのだ。周りに羨ましいと思われたい、ザ・ソロ活という写真だ。大学生に見えるだろうか。
大学生を観察していると、大学生はチノパンにデニムのシャツを着ている気がした。そこで私もその格好をしたわけだ。さらに写真に真実味を出すために、絵を描く道具とベレー帽を被った。驚くことに余計に、ウソっぽい写真になった。
そこで白衣を着て写真を撮ってみた。すると大学の関係者というか、偉い人に見える写真を撮ることに成功した。芸大で白衣を着る必要があるのか分からないけれど、大学の門の横で、白衣を着るとそれっぽく見えるのだ。
白衣以外の可能性を模索するために芸大の近くにある「上野大仏」も訪れてみた。だって絵を描く道具にベレー帽である。絶対に画家だ。上野なら芸大生だ。そう見えるはずなのだ。もちろん見えなかったけど。
答えは白衣だ
ソロということを羨ましいと思われることは少ない。それを解消するために、大学に入学するという方法に出たわけだ。全ては周りから羨ましいと思われるため。しかし、なかなか本当に入学したように見えない。芸大が難しかったのかもしれない。
赤門の前で六法全書を持って立っている。学生である。間違いなく学生である。だって、学生でなければ、ここで六法全書を持って立っている必要がないのだ。ただね、である。白衣の方がよりしっくりくるのだ。
私はもう30歳だ。普通に働いていれば、そろそろ重要なプロジェクトをまかされていてもおかしくないだろう。つまり新たに学生になるよりも、「権威」の方がしっくりくるということ。その権威を示すのが「白衣」なのだ。学生よりも権威の方が羨ましいと思われるだろう。ソロ活は大学の前で白衣なのだ。
白衣で権威
答えは出た。大学の門で白衣を着て写真を撮れば、偉そうに見えるのだ。これをSNSにアップすれば誰もが羨ましいと思うはずだ。初期の目標である新大学生は無理だったが、権威で羨ましいと思われようではないか。
若いので「教授」というとあきらかにウソっぽいので、准教授くらいに留めていれば、なんだか本当っぽい。でも期待されている准教授なのだ。権威はもはや手中にあり、今は順番待ち。白衣で門の横はそんな写真が撮れるのだ。
白衣でコーヒー
白衣という答えが出たので、次の場所に向かう電車の中でも、白衣を着たまま向かっていた。白衣が私にピッタリ来ている気がする。やはり私は権威に愛された男なのではないだろうか。
青山学院大学の前で白衣。相変わらず偉そうに見える。何かの細胞を見つける雰囲気さえ感じる写真になっている。私は青山学院大学にどんな学科があるのか知らないのだけれど、門から中をのぞいたところ、誰も白衣を着ていなかった。でも、偉そうに見える。
偉そうに見えるソロ活。素晴らしきソロ活ではないだろうか。研究者だから遊ぶ暇がなくてソロなのだ。そのようないいわけも出来る。ソロなことに理由ができるのだ。ただオシャレではあるのだ。
青山学院大学の近くには行列ができることで有名な「ブルーボトル」というコーヒー屋さんがある。この日も、長い行列ができていた。白衣でオシャレなブルーボトルでコーヒー。もはや羨ましいと思われない理由がない。いま私はソロ活界だけでなく、人類の頂点にいるのではないだろうか。
ブルーボトルの行列に並ぼうと思ったが、途中で心が折れて、コンビニコーヒーを買って、ブルーボトルの前で写真を撮った。ブルーボトルの前でコーヒーを持って写真を撮れば、それはコンビニコーヒーとて、ブルーボトルなのだ。白衣を着れば権威。それと同じ理由だ。
白衣で偉そう!
ソロなので一人で何かをしていることが多く、楽しいけれど周りから褒められたり、羨ましいと思われることは少ない。そこで、行ったのがこれだった。最初が大学生で羨ましいと思われたかったが、だんだんと権威になびいた。人は権威なのだ。今後もソロ活の権威になれればと思う。
ライター紹介
1985年福岡生まれ。基本的には運だけで生きているが取材日はだいたい雨になる。2014年より東京農業大学非常勤講師。著書に「妄想彼女」(鉄人社)、「昔のグルメガイドで東京おのぼり観光」(アスペクト)がある。なお、記事の写真は三脚2台使用での完全一人撮影。
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※本記事内の情報は2015年04月28日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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