朝の5分で決めるのは「今日のご褒美」

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―――『ラヴィット!』が始まって6年になります。生活は変わりましたか?


完全に健康になりましたね。それまでは毎晩遅くまで飲んでました。仕事の後も飲むし、休みでも飲むし、理由がなくても飲む(笑)。だから健康診断とかの数値もあんまり良くなかったし、今考えたらずっと疲れてる感じがあったんです。当時は「年齢かな」と思ってたんですけど、お酒を控えて朝型の生活にしたらめちゃくちゃ元気になったので、「あ、年齢じゃなかったんや」って(笑)。40歳のころより、47歳の今のほうが絶対元気ですね。


―――今は何時ごろに起きることが多いんですか?


平日は毎日6時5分です。でも、起きてすぐ動かずに、5分間は布団の中にいるんですよ。その5分は二度寝するわけではなくて、「今日は昼これ食べよう」とか、「仕事が早く終わるから神社寄ろう」とか、今日の小さな楽しみを考える時間ですね。目標というか、ご褒美を決めている感じです。


―――休日はいかがでしょう。


もう習慣付いてるんで、6時くらいには一回起きますね。もちろん二度寝する日もあるんですけど、「せっかく起きたし、どっか行こうかな」って、そのまま出かけることが多いです。


昔はギリギリまで寝てるほうがトクやと思ってたんですよ。でも、今となってはそれってもったいないことしてたなって・・・今は逆ですね。早く起きると一日がめちゃくちゃ長い。昔は昼前に起きてたから、一日って実質12時間くらいしかなかったんですよ。でも今は朝6時に起きるから、夜10時に寝るとしても16時間くらい活動できる。それだけで人生が長くなった気がします。

芸人の文化まで変えた、朝型生活の気づき

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―――生活だけではなく、お仕事への考え方も変わりましたか?


めちゃくちゃ変わりました。昔のお笑い業界って、仕事終わりに打ち合わせして、そのまま朝まで考えるのが「頑張ってる」みたいな文化があったんですよ。でも、あれ絶対良くないです(笑)。疲れ切ってるし早く帰りたいから、結局みんな「もうこれでええか」って妥協案になる。良いアイデアなんか出ないんですよ。


今は、朝に会議したほうが絶対良いと思ってます。時間決めて集中したほうが良い案が出るし、そのあと仕事しながら「あ、やっぱりこっちやな」って修正もできるし。夜中に何時間もやるより、よっぽど効率が良いですね。


―――「寝ないで頑張る」が美徳だった時代からすると、大きな変化ですね。


昭和の名残ですよね(笑)。寝ないで頑張るより、ちゃんと寝たほうが健康にも良いし、仕事にも良い。年齢を重ねてそれがよく分かりました。

神社は“心を暇にする”場所

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―――休日は、どんな場所へ出かけることが多いですか?


朝やったら神社ですね。行けるときは、できるだけ朝に行きます。やっぱり空気が違うんですよ。澄んでるというか。それに朝の神社って、観光で来てる人より、毎日の習慣で来てる人とか地元の人が多いじゃないですか。「あ、この人は毎日仕事前に来てるんやろうな」とか、そういう“人の背中”を見るのも好きなんです。


―――お気に入りの神社はありますか?


休日は秋葉原に遊びに行くことが多いんですけど、その日はまず朝に神田明神に行きます。朝はまだ静かですし、お参りしたあとに街を歩くのが気持ち良い。


それと、六本木に天祖神社というところがありまして。大きい神社ではないんですけど、高いビルの間に急に現れる感じが好きなんですよ。鳥居をくぐると、空気が変わる。ちょっと温度まで違う気がするんです。テレビ局も近いんで、ここは仕事が終わった帰りにふらっと寄ることもあります。意外と知られてないんですけど、自分の中ではかなり大事にしている場所ですね。


人形町の小網神社も。平日でも行列ができるくらい人気ですけど、不思議とまた行きたくなる神社なんですよ。あと、一人目の子どもが生まれるときは、水天宮へ安産祈願にも行きました。

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そう考えると、日比谷線って各駅に「この街ならこの神社」みたいな存在がありますよね。さっきまで人も車も多かった場所にいたのに、神社へ入ると急にシーンとなる。都内の神社はその切り替わりがめちゃくちゃ好きなんです。


―――神社では何を考えているんですか?


いや、何も考えないです(笑)。むしろ、何も考えないために行ってます。家とか喫茶店とか楽屋で考えごとをしていても、情報がいっぱい入ってくるから焦っちゃうんです。だから、神社は“心を暇にする”ために行ってる場所なんです。心を暇にすると、不思議とあとから「あ、そうか」ってアイデアが浮かんだり、迷ってたことが整理されたりする。だから、自分にとっては大事な時間ですね。

歩くたびに重なる、街の思い出

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──朝だからこそ行きたくなる街はありますか?


築地もよく行くんですよ。仕事が朝だけの日は、銀座から築地まで歩いたりします。さっきまで銀座の街を歩いていたのに、少し歩くだけで急に市場の景色になるでしょう。あの切り替わりも、「これが東京やなあ」って感じがして好きなんです。でも、あの街こそ本当に早朝に行かないとダメですよね。


──何かお目当てのものが?


前に、「もろみらっきょう」というのを、かまいたちの山内にもらったんです。すごく美味しかったのでどこで買ったのか聞いたら、築地の吉岡屋さんというところだって教えてもらったんですよ。「これは行かなあかん」と思って行ったんですけど、その日はもう売り切れてて(笑)。だから朝イチに行かないとですね。こういうものを探しに築地へ行くようになるなんて、大人になったんやなぁとも思いましたね。


──おでかけするときは、基本お一人で? 


もともとは一人で出かけることが多かったんですけど、家族とも行きますね。例えば、愛宕神社は昔から本当によく行く神社なんです。あの有名な「出世の石段」を一段ずつ上っていくと、なんとなく穢れが落ちていくような気がするんですよ。


娘がまだ小さいころ、二人でお参りに行ったことがあるんです。でも、あの階段は子どもには無理なんで、抱っこして上ったんですよ。こっちはもう膝も腕もガクガクだったんですけど、娘はそれがすごい楽しかったみたいで(笑)。いまだに「あそこ行ったよね」って話してくれるんです。


息子は電車が大好きなんで、一緒に電車に乗って出かけることも多いです。僕自身も、子どものころに親と一緒に乗った電車の記憶って意外と覚えてるんですよ。「お父さんだけ立ってたな」とか、そんなことまで。そういう思い出って、子どもはちゃんと覚えてるんですよね。だから、家族で出かける時間も大事にしたいなと思ってます。

「朝の15分」が、人生を変える

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―――最後に、朝が苦手な人が“朝時間を楽しめるようになるコツ”を教えてください。


いきなり一時間早く起きようと思うと、絶対しんどいです。だからまずは5分で良いと思うんですよ。「5分早く起きる」って聞くと嫌なんですけど、6時間寝るのと6時間5分寝るのって、そんなに変わらなくないですか?その5分でコーヒーを買えたり、神社に寄れたりする。選択肢が一つ増えるだけで、一日って全然違うんです。


僕も、ほんまは6時20分に起きても仕事には間に合うんですよ。でも、「あと5分だけ早く起きてみよう」を繰り返していたら6時5分に起きるようになってました。最初から「15分早く起きよう」と思ったわけじゃないんです。早いほうが楽しいってことに気付いて、ちょっとずつ早くしただけなんですよ。


休みの日も、「今日は7時半から走る」とか、やることを決める必要はないと思ってます。決めてしまった瞬間から“仕事”になっちゃうから、起きてから「今日はどこ行こうかな」くらいで良いと思うんです。休みの日って、目覚ましかけずに寝る幸せもありますよね。でも、二度寝しても良いっていうルールで、一回7時くらいに起きてみてほしいんです。そしたら「あ、美容院の予約忘れてた」とかやっておきたかったことを思い出して、休みの日が有意義になることもありますから。

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あとね、起きてしまえばラクですよ(笑)。寝ぼけたままでも、外にさえ出てしまえば人間って勝手にシャキッとするんです。布団の中にいると「寝る」「起きる」の二択しかないけど、一歩外へ出たら急に世界が広がる。だから、まずは外へ出る。ノープランで電車に乗って路線図を眺めるだけでも良いんです。


―――改めて、「ヒビ活」についてどう思いますか?

僕自身、早起きするようになって人生が変わった人間なんで。15分早く起きるだけでも、これからの人生は変わります。いきなりじゃなくて良い。まずは5分。その5分の積み重ねが、2年後、3年後には、きっと違う景色を見せてくれると思います。それに、ちょっと早く家を出るだけで電車も本当にガラガラだったりしますしね。そして何より、早起きすると朝ってすっごく楽しい。朝にしか見つからないものって、本当にいっぱいありますから。


撮影/西谷圭司

川島明(かわしま・あきら)

川島明(かわしま・あきら)

1979年2月3日生まれ。京都府出身。NSC大阪校20期生。1999年に田村裕と麒麟を結成。『M-1グランプリ2001』決勝進出をきっかけに知名度を上げた。2004年には『第33回上方お笑い大賞』で最優秀新人賞を獲得。2010年には『R-1ぐらんぷり』の決勝に進出し、『IPPONグランプリ』では第16回、第26回で優勝した。多数のバラエティ番組でMCを担当。2021年からは朝の情報番組『ラヴィット!』(TBS系)で司会を務めている。

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