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【スイーツ連載 Vol.6】『アヴランシュ・ゲネー』いよいよ始動、あの実力派シェフの新天地へ。

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連載「スイーツライターchicoの東京お菓子めぐり」は、スイーツをこよなく愛するライターchicoさんの目線で注目のお店をピックアップ。第6回は、人気パティシエが東京・春日に2015年9月5日(土)オープンさせる「アヴランシュ・ゲネー」。

Date2015/09/01

連載 スイーツライターchicoの東京お菓子めぐり

濃密でいて口あたり軽やか、そのさじ加減にやみつき。

人気パティシエの独立が相次いで予定されるなど、甘いニュース飛び交う2015年秋。いよいよ上霜考二シェフも、『アヴランシュ・ゲネー』を9月5日(土)にオープン!

上霜シェフと言えば『オテル・ド・ミクニ』などで腕を磨き、『ジャン・ミエ・ジャポン』でシェフパティシエも務めた実力派。2008年にアグネスホテル東京『ル・コワンヴェール』がオープンするとシェフパティエに迎えられ、着々とファンを増やしてきた。映画『洋菓子店コアンドル』の製菓監修でも知られるところ。

そんな彼の最初の修業先が、フランスはノルマンディー地方のモンサンミッシェルを見下ろす町、アヴランシュにあったゲネーさんのパティスリー。そう、そここそが店名のルーツ。

元々あまり食べることが好きでなかった(えー!?)という上霜シェフ。ゲネーさんのもとでご夫婦と食卓を囲んだり、ノルマンディー中、あちこちに連れていってもらったり。

そうした毎日から教わったのは、技術を超えた、「食の楽しさ」というかけがえのないもの。「アヴランシュでの経験は、僕のお菓子作りの原点なんです」。

『モンドル』(496円)も、ゲネーさんとの日々からうまれたお菓子。
ゲネーさんにアヴランシュからほど近い、ブルターニュのドル(ドル・ド・ブルターニュ)に連れていってもらったときの景色を映しているのだとか。
「町からドル山(モンドル)って、丘みたいなこんもりした山が望めて。そこをイメージしたんです」。

ノルマンディー名物、カマンベールチーズのレアチーズケーキにシャンティーをこんもり。底の生地にもノルマンディー名産のカルヴァドスをうって同郷同士でなじみよく。

純白のケーキはふんわりしつつ、カマンベールらしいちょっとまったりとした口あたり。カマンベールのほどよいクセや塩気が心地よく、軽やかな食感とうらはらに味わいは濃密。

こういう、「味はしっかりで軽い口あたり」は上霜シェフのお菓子の真骨頂! このバランスについヤミツキになってしまうのだ。

『アンベリール』(496円)もそう。
「ベリーのムースって、味が優しすぎてあんまり好みじゃないんです」と上霜シェフ。だからこそ、優しいだけでない、くっきりと舌にも心にも印象的な、彼ならではのベリーのムースを作ってみせた。

水分多めに仕上げたムースは、なんとも儚い口あたり。それでいて、センターにつぶしたいちご果肉を潜ませているから、ベリーの甘酸っぱい風味がぱっと鮮やかに弾ける。

底の生地もひと工夫されていた。ムースと一緒に溶けるような薄い生地でなくて、サブレとベリー入りの厚めの生地が埋め込まれて、なかなかの存在感。厚みがあるのに、クレームダマンド(アーモンドクリーム)でなく柔らかなフランジパン(アーモンドクリーム+カスタードクリーム)を使うことでムースと一体にとけるよう。おかげでムースをじゃませず、食べ応えは充分!

「今朝できあがったんです」と、ほやほやの新作、『シャルロット パンデピス』(507円)も出してくれた。ショコラのビスキュイ・ア・ラ・キュイエールで囲まれているのは、パンデピス(スパイス効いたパンみたいなお菓子)のババロア。

実際、焼いたパンデピスを粉々にして混ぜこんでいるんだそうで、食べてみるとなるほど、確かにつぶつぶのパンデピスがいる! 上品なスパイスの香りを、中に潜ませたヘーゼルナッツブリュレがこっくりと、ミュールのジャムがみずみずしく彩っていった。

広い店内には、生菓子のショーケースのほかに、『オテル・ド・ミクニ』時代の師、寺井シェフが『エーグルドゥース』で以前使っていたオープンショーケースもどんと鎮座している。ここにおさめられるのは『クラシックショコラ』や『パン ド ジェンヌ』、マロンやバナナなどのケーク類といった、数日~1週間くらい日持ちする焼き菓子、“ガトー ド ボワイヤージュ”。

「もっとこういうお菓子を贈ってもらえたらなぁと思って」。だから派手さはないけど美しい姿を生かしてクリアケース入り。確かな味わいはきっと極上の手みやげになる。

(写真はオープン前なので少しだけど、実際はたくさん並びます。)

『コロンビエ』(1944円)もそのひとつ。
キリスト教のパンテコート(聖霊降臨の日)に南フランスで食べられる伝統菓子で、本来はアーモンドたっぷりのしっとりした生地に刻んだ砂糖漬けフルーツを混ぜ込んで焼いたもの。『アヴランシュ・ゲネー』ではそのときどきで、いろんな味を予定している。この日は抹茶入りのアーモンド生地にイチゴのバタークリームをサンドしていて、かなり親しみやすい雰囲気。

これまで抹茶のお菓子をほとんど作らなかった上霜シェフだけど、宇治で茶摘みしてみてお茶に開眼したんだとか。使っているのは宇治の抹茶。豊かな香りがシックなお菓子になんともよく合う。

もちろん、より気軽な小さな焼き菓子も揃えている。ころんとかわいらしいこちらは、『ルレブレ』。写真は左からキャラメルサレ(200円)、ショコラオランジュ(200円)、ピスターシュ(248円)。

驚くのはフレーバーごとに生地が全く違うこと。ショコラなら、「じとっとさせたいから」と、マドレーヌの作り方で油分多めに。「キャラメルは重めの方が好きだから」、ケークぽい生地でずしっとした印象に。しかも上霜シェフはそういうことを声高に言うこともなく、当たり前のようにやって、自在に理想のおいしさを叶えていく。

焼き菓子棚には、ニカッと輝く笑顔のゲネーさんの写真が。ゲネーさんが教えてくれた食の楽しさ、純粋なお菓子の喜びを、今度は上霜シェフのお菓子が発信していく。ノルマンディーから遠く離れたここ春日で。



text / chico photo / Kayoko Aoki

SHOP DATA

アヴランシュ・ゲネー
住所:東京都文京区本郷4-17-6
最寄り駅:春日、後楽園、水道橋

まだある!都営三田線沿線の注目スイーツショップ

『西洋銀座』などで腕を磨いた木村忠彦シェフが2014年にオープン。どこかにパンチのある味わいが潜んだ印象派のお菓子が揃う。あえて販売員をおかず、パティシエたちが直に接客。「こういうのないの?」の声から新作が生まれることも。

トレカルム
住所:東京都文京区千石4-40-25
最寄り駅:千石

フルーツどっさりの『季節のフレッシュフルーツタルト』をはじめ、旬を味わうタルトとキッシュが並ぶ。フィリピンのマスコバド糖など、「おいしいものを求めていたら」自然とオーガニックなものを多く使うように。夕方には売り切れも多いので、取り置きが確実。

Style's cakes&co.(スタイルズケークス&コー)
住所:東京都千代田区神田小川町3-16-5
最寄り駅:神保町、御茶の水

プレーンガナッシュ入りの『パレ ド オール』のようなシンプルなショコラから、乳酸菌や燕の巣を配合した独自のショコラまで自在に生み出す三枝俊介シェフ。2014年にはショコラティエの知識と経験を生かしたBean to barの取り組みもスタート。

ショコラティエ パレドオール
住所:東京都千代田区丸の内1-5-1 新丸の内ビル1F
最寄り駅:大手町、東京、二重橋前

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chico

chicoさん

東京在住

プロフィール

スイーツのトレンドに精通し、雑誌、web、TVなどで活躍。『an・an』で「chicoのお菓子な宝物」連載中。共著『東京最高のパティスリー』(ぴあ)発売中。

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