「東京和牛ショー」が初のオンライン開催!(1月19日~31日)

オンライン和牛ショー


日本各地の和牛と全国の名店が集結する人気グルメフェス「東京和牛ショー」

2016年に駒沢オリンピック公園で初開催され、前回(2019年9月)は5日間で約14万人が来場。これまで累計60万もの“和牛好き”たちの舌をうならせてきました。


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本来であれば2020年にも開催される予定でしたが、新型コロナウイルスの影響を受けて中止に。その後、初の“オンラインイベント”という形に切り替えて準備を進め、2021年1月19日(火)、「東京和牛ショーONLINE」特設サイトがオープンしました。

従来のイベントは各飲食店が作る和牛料理を提供するものだったの対し、今回は全国から選りすぐった和牛を200g単位で販売。参加者は気になる産地・銘柄のものを選んで購入し、自宅で気軽に楽しむことができます。

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誰でも気軽に参加できるのがオンラインイベントのメリットですが、開催に至るまでにはさまざまな苦労があったはず・・・。

今回は、イベントの立ち上げから企画・運営を担当してきた木原朝規さん(写真左)と、「東京和牛ショー」実行委員会の委員長で、都内で食肉卸業も営む芹田孝司さん(写真右)を直撃!お話を伺ってきました。

トピックス

・和牛と国産牛の違い
・和牛業界を悩ませる課題
・お肉200kgを無料配布!?
・今オンラインでやるワケ
・全国の和牛を買って応援!
・おわりに



知っておきたい!「和牛」の定義

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――初めに、大前提となる「和牛」の定義を教えてください。

芹田さん(以下敬称略):「和牛」と聞いて、どんなイメージがありますか?

――高級で、上質かつ美味しくて安全な牛肉、でしょうか。

芹田:うれしいですね。それこそ、私のような卸業者も含め、日本の畜産関係者が大切に築き上げてきた和牛のイメージだと思います。和牛は、飼料はもちろんのこと、水や空気といった環境にもこだわって育てられています。育てるのに手間がかかり大量生産が難しいので当然高値になりますが、味わいは格別。それが「和牛」です。

木原さん(以下敬称略):日本人が改良に改良を重ねてつくり上げてきた「和牛」は、日本が誇るべき財産。さまざまなフードイベントがありますが、僕自身も初回から携わっている「東京和牛ショー」は“和牛文化を守ること”を目的にしているところが、他のフードイベントとは一線を画す点だと思っています。


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木原:僕もこのイベントを担当するまで知らなかったのですが、「和牛」と「国産牛」の違いについても知ってもらいたいですね。

芹田:そうだね。「和牛」は、日本古来種を長年かけて交配品種改良した牛種のことで、4品種しかない。全国各地で飼育され、和牛頭数全体の98%を占め、筋繊維が細く霜降り肉が特徴の「黒毛和種」、東北地方北部が原産で放牧適性が高い「日本短角種」、現在は山口県のごく限られた地域でしか飼育されていない幻の「無角和種」、熊本県や高知県であか牛(あかうし)として有名な「褐毛和種」。それら4品種と交配された牛だけが「和牛」の表示ができると厳格に定められています。

木原:日本国内で飼育された牛の総称である「国産牛」とは、明確に区別されているんです。

芹田:「和牛」は、両親ともに和牛認定を受けていなければいけない。「国産牛」は、日本国内で食肉用に飼育・加工された牛のことで、海外で生まれた牛でも日本で飼育された期間が最も長ければどんな品種でも「国産牛」と表示できる。そのほとんどは、ホルスタイン種とその交雑種です。


日本の和牛関係者を悩ませるさまざまな「課題」とは

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――先ほど“和牛文化を守ること”を目的にしているとお話しされていましたが、現状どのような課題があるのでしょうか。

木原:「東京和牛ショー」の立ち上げのきっかけになった事柄の一つが牛肉消費量の減少です。家計食料費を約20年前と比べると豚肉は20%以上、鶏肉は30%以上増えているのに、牛肉だけ25%も減っているのです。

――牛肉だけが下がってしまったのですね…。

木原:ただ、消費金額は大幅に落ちているのに、消費重量自体は7.5%と減少幅が小さいんです。価格の安い輸入肉が増え、国産牛、とりわけ値の張る和牛があまり買われなくなってしまったということが伺えます。


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芹田:他にも後継者不足や経営難、子牛や飼料の高騰など、和牛業界にはさまざまな課題があります。

木原:日本の大切な食文化である「和牛」を未来につなぐために、消費者の方々にもそういった背景も知ってもらうことが「東京和牛ショー」を開催する意義であると考えています。

芹田:まあ、難しいことを言ったけど、まずは皆さんに「和牛」が美味しいということを体感してもらいたいですよ。

木原:そうですね!消費者の方々にはまず美味しく食べてもらうことで、「和牛」について考えてもらうきっかけになれば良い。そして、生産者をはじめとする関係者の皆さんへ支援をしっかりと届けていくことが僕たちの役割だと思っています。

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コロナの影響でお肉が消えた後、芹田会長がとった「ある行動」

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▲画像はイメージ

――今回のオンライン開催の背景には新型コロナウイルスの存在があったと思いますが、そもそも和牛業界へのコロナの影響はどのようなことがあったのでしょう。

芹田:あくまで私が知っている範囲になりますが、2020年4月に発出された緊急事態宣言により飲食店が休業あるいは営業時間短縮になり、消費が急激に落ち込みました。学校給食が休みになった影響も大きく、和牛業界というよりも食肉業界全体が一旦ストップしてしまいました。

木原:消費は止まっている間にも牛は育ちますよね。生き物ですから。

芹田:そう。肉用牛は出荷できる月齢が決まっていて、和牛であればさらに厳格な規定がある。それを超えた牛は出荷できないから、ひとまず加工だけして冷凍保存する。在庫を抱えなくてはいけない事態が起こりました。

芹田:ちょうどそのころ、近所のスーパーへ行ったらお肉の棚が空っぽなんです。流通が止まるんじゃないかと不安になった人たちによる買い占めが起こった時期です。店員さんに聞いたら、売れてしまってお肉が全然ないと言うから驚きました。在庫を抱えて困っているところもあるのに、ないわけがないだろう!と叫びたい気持ちでしたね。

木原:そこで芹田会長は、近所の方々へ無料でお肉を配ったそうなんです。

芹田:今の場所に会社を移転してから1年あまりだったこともあり、ご挨拶がわりに2kgずつ合計200kgほど近所の方へ差し上げました。お肉がなくて困っていると聞いたら、何もしないわけにはいかない。やっぱり、皆にお肉を食べてもらいたいんだよね。私は肉屋だから。

木原:そういう想いって広がりますよね。

芹田:そうだね。後に足を運んでくださる方も多く、喜んでいただけたことを実感できてうれしかった。またいつああいう事態が起こるとも限らないけど、できる範囲で構わないからそれぞれができることをしっかりやっていくことの大切さを改めて実感しました。


今、このタイミングでオンライン開催する理由

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木原:そういった中で今後の「東京和牛ショー」の実施についてさまざまな話し合いを重ねてきました。すると、ありがたいことに飲食店や生産者の方々からのお声掛けや、イベントのファンの皆さまからも応援したいという声が届き始めたんです。

芹田:「自分たちにできることをやりたい」というみんなの熱意が伝わってきたよね。

木原:リアルイベントも含めてどうすべきか模索しましたが、皆さんからの声に素早く応えるためにも「今この時期だからこそできること」「今すぐに踏み出せる最初の一歩」として、オンラインイベントを開催することにしました。

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売上の一部は寄付に。お肉の購入が和牛業界の応援につながる!

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――オンラインイベントでは、どのような和牛がどのような形で販売されるのでしょうか。

木原:今回のオンラインイベントでは、全国8産地の和牛の予約販売(1月19日~1月31日)を行います。それぞれ「ステーキ」または「しゃぶしゃぶ」用から選んでいただき、1人前200gから購入できます。

芹田:和牛については、みついし牛(北海道)、いわて牛(岩手県)、福島牛(福島県)、常陸牛(茨城県)、信州プレミアム牛肉(長野県)、オリーブ牛(香川県)、宮崎牛(宮崎県)、鹿児島黒牛(鹿児島県)をそろえました。今回に限ったことではないけど、定番の和牛はもちろん、過去の「東京和牛ショー」に出ていない産地や、現状の消費に課題を抱えていてもっと皆さんに知ってもらいたい銘柄を中心にピックアップしました。

木原:今回のオンラインイベントでは和牛業界を支援すべく、売上の一部を地域の食肉協会または自治体に寄付します。皆さんの応援する気持ちを確実に生産者の方々のもとへとお届けしたいと考えています。


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▲画像はイメージ

――和牛の選び方のコツやオススメの銘柄はありますか。

芹田:間違いないのは、どの銘柄も自信を持って美味しい肉と言えることだね。当たり前だけど、それぞれ味が違うんですよ。気になる産地・銘柄のお肉をいくつか買ってみて、好みの銘柄を見つけてほしいよね。

木原:サイトでは、産地の特徴や各ブランドがこだわっている点なども紹介しているので参考にしてみてください。

芹田:和牛の魅力は、肉の「軟らかさ」、噛むほどに芳醇な「味」、あとは何と言っても甘さを感じる「脂」にあります。どれも本当に良い肉だからどう調理しても美味しいんだけど、私はシンプルに味わうのがやっぱり一番美味しいと思う。

木原:通常の「東京和牛ショー」は出店店舗が提供する和牛メニューを楽しんでもらうスタイルですが、今回は「ステーキ」「しゃぶしゃぶ」用をそれぞれ用意するので、シンプルな食べ方で和牛本来の味わいを堪能してもらいたいですね!


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おわりに

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木原:僕が所属する(株)アルファセンセーションはイベントを運営する会社ですが、「東京和牛ショー」で儲けを出そうとは考えていません。先にもお話ししましたが、このイベントは“和牛文化の啓蒙”を目的にしているので、実施することに大きな意義があると考えているからです。

芹田:これまでのイベントでも利益は出ていないって聞いているけど本当なの?

木原:はい、正直なところ出ていません(笑)。ただ、このイベントを開催すること自体がうちの会社の大きな実績になると考えています。だからこそ、赤字になってしまうと継続が難しくなる。今回のオンラインイベントは、芹田会長をはじめとする卸会社の方々やそこにつながる生産者の方々とともに踏み出した、あくまで「はじめの一歩」。

芹田:うん。ようやくスタートラインに立ったところだね。

木原:はい、その通りです。今回はシンプルにお肉の販売のみ行いますが、今後はオンラインでも飲食店の方々を巻き込んだ施策を重ねると同時に、リアルイベントについても引き続き取り組んで行く予定です。まだまだこれから。日本が誇る「和牛」の文化を守っていくために、和牛業界の現状や和牛の魅力と美味しさを伝え続けていきます!

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東京和牛ショーONLINE
予約受付期間:2021年1月19日(火)~1月31日(日)
配送期間:2021年2月5日(金)~7日(日)を予定

>>>詳細は「東京和牛ショーONLINE」公式サイトへ





インタビュイー

インタビューに答えてくれたのは、
木原朝規さん(左)

株式会社アルファセンセーション所属。「東京和牛ショー」の立ち上げから企画・運営を担当。好きな銘柄は淡路牛。


芹田孝司さん(右)

東京和牛ショー実行委員会の委員長で、都内で食肉卸業も営む。和牛と歩み続けて30年以上。



 

取材・文/君島 有紀
情報提供/株式会社アルファセンセーション

※2021年1月19日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、 掲載している情報に変更が生じる場合があります。最新情報は直接お問い合わせください。



本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2021年01月19日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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