Lets ENJOY INTERVIEW vol.55



心が一番穏やかになるのは、レトロな純喫茶のような場所

池松壮亮さん



―普段から頻繁におでかけをするという池松壮亮さん。どこに行くかは、映画鑑賞とセットで決めることが多いそう。

「観たい映画がベストな時間帯で上映されている場所に行くので、エリアはそのときによって変わるのですが、最近は日比谷界隈によく行きますね。
映画を観た後は、その足で日比谷公園を散策したり、自宅まで1時間くらいかけて歩いて帰ったりしています。頭で色々と考え込んでしまうタイプなので、ずっと家の中にいるとパンクしそうになるんですよ。
でも外気に触れながら歩いていると、30分を過ぎた頃から、頭の中がクリアに整理されていくというか。なので、普段から街を歩くのは大好きです」


―映画館の他には、喫茶店や居酒屋に足を運ぶことが多いという。

「昔ながらの純喫茶で読書したり、町の食堂のようなお店で食事やお酒を飲んだりするのが好きですね。もちろんそのときの気分や一緒にいる相手によって行く場所も変わってきますが、心が一番穏やかになるのが、そういうレトロな場所なんだと思います」


―そんな池松さんにとって思い出深いエリアが、高円寺。

「2009年に上京してから4年間ほど住んでいたのですが、今でもあの辺りに行くと、すごく懐かしく感じますね。
高円寺は一度住んでしまうと出られなくなるほど居心地の良い場所だと聞いていたのですが、住んでみたら本当にそうで。このままではダメになると思って引っ越したんです(笑)。街の懐が深いというか、人が優しくて甘えちゃうんですよね」


―今号の特集エリアである青山一丁目についても尋ねてみると、

「あまり詳しくありませんが、とても良い雰囲気のエリアですよね。緑が豊かで、霊園や大きな公園もあるようなので、今度散歩してみたいです」


―ちなみに、池松さんには意外な野望もあるという。

「上京してからというもの、住んでいる場所が徐々に都心に近づいてきているんです。10年かけて、ようやく山手線のギリギリ外側のところまで来ているので、いつかは山手線内のエリアに住んでみたいですね。
あと、最近親しい人が浅草に引っ越したので、東側も気になっています。それこそ浅草の純喫茶や立ち飲み屋さんに、今度リサーチを兼ねて行ってみたいですね」


作品のために歯を抜くことも考えましたが、全力で止められました(笑)

池松壮亮さん2



―2008年のドラマ化を経て、このたび映画化された『宮本から君へ』。熱血営業マン・宮本浩の暑苦しくも切ない生き様を描いた極限の人間賛歌エンターテインメントだ。ドラマ版に引き続き宮本を演じた池松さんだけに、完成時の喜びはひとしおだったそう。

「今回は制作するにあたって色々な壁があったんです。キャストやスタッフの中にも、原作をものすごく愛している人が集まっていたので、中途半端なことはできないという思いもあって。
原作を読んだときの衝撃をいかに届けられるかというプレッシャーもあったので、完成した映画を観たときは、正直ホッとしました」


―主人公の宮本浩を演じるにあたって、意識したことがあるそう。

「キャラクターの心理と、自分の身体がどれだけ融合できるのか。簡単に言えば、どれだけ(役に対して)嘘をつかないかということは意識しましたね。
特に“痛み”の表現にはこだわりました。肉体的な痛みはもちろん、心の痛みも含めて。瞬間瞬間で傷ついていく姿って、映画に必ず映ると思うんですよ。なので、そういう部分を宮本という人物として、しっかりと表現しなければならないと思って取り組んでいました」


―役作りのために前歯を抜くつもりだったという池松さん。それほどまでに入れ込んだ本作との出合いには、意外なエピソードが。

「7年ほど前、信頼している2人の知人から同時期にこの漫画をおすすめされたんです。『池松くんが演じたら面白いと思う』って。
それから原作を読むまでしばらく時間が空いたんですけど、そんな出合いも含めて、この作品には特別な思い入れがあって。今までこれほど原作を意識して芝居をしたことはなかったですし、本当に良い作品になるのなら、歯の数本くらい捧げてもいいと思ったんです。
最終的には、原作者の新井英樹さんと蒼井優さんに全力で止められたので思いとどまりましたけど(笑)」


―今回演じた宮本という役が、池松さんの今後の役者人生に与える影響とはどんなものなのか。

「これまで僕は、感情を全て爆発させるようなお芝居と距離を置いていたんです。内面から滲み出るものや、普段の生活に通じるようなリアリティを見せるのがお芝居だと思っていたので。
だから今回、感情をフルスロットルで出す役をやってみて本当に苦労しました。演技的な面で言うと、感情表現のボリュームを今までよりも上げただけなんですけど、それでも相当エネルギーを使ったので。
ここまで感情ダダ漏れの役は今後ないだろうし、もしあったとしてもやりたくないな(笑)。それぐらい『宮本から君へ』という映画には捧げたつもりですから」


photo:Mariko Tosa text:Kei Osawa




PROFILE&INFOMATION

池松壮亮

いけまつ・そうすけ 1990年7月9日生まれ。福岡県出身。
10歳の頃、劇団四季のミュージカル『ライオン・キング』のヤングシンバ役でデビュー。2014年には映画『ぼくたちの家族』や『紙の月』などの演技が評価され、ブルーリボン賞やキネマ旬報ベスト・テンなど多くの助演男優賞を受賞。また同年人気を集めたドラマ『MOZU』シリーズでは第39回エランドール賞・新人賞を受賞している。



『宮本から君へ』

『宮本から君へ』

中野靖子(蒼井優)と恋に落ちた宮本浩(池松壮亮)はある日、営業先で気に入られた大野部長(佐藤二朗)らに誘われ、靖子を連れて飲み会に参加する。だが宮本は日本酒の一升瓶を飲み干し泥酔してしまう。泥酔する宮本と宴会を楽しむ靖子、このあと二人の間に最大の試練が訪れる…。9月27日(金)より新宿バルト9ほか全国ロードショー。監督:真利子哲也 出演:池松壮亮、蒼井優、井浦新 ほか 配給:スターサンズ/KADOKAWA


©2019「宮本から君へ」製作委員会




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個性あふれる計60店舗がラインナップ。都心最大級のシネコンプレックス「TOHOシネマズ 日比谷」での映画や、エキシビジョンスペース「Q HALL」でのステージも楽しめる複合施設。


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珈琲天国

ホットケーキがウリの「珈琲 天国」は“ちょっと幸せ”になれるしかけが沢山。


珈琲天国

最寄駅:浅草/田原町
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※本記事内の情報は2019年09月24日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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