「昔は分不相応に感じた銀座も今は居心地がいい場所。老舗や古きよきものは残っていてほしい」

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―映画にドラマにと活躍する俳優、長谷川博己さん。大人の男性ならではの落ち着いた雰囲気の漂う長谷川さんだが、プライベートはいったいどんな過ごし方をしているのだろうか。

「食事でも買い物でも、銀座へ行くことが多いですね。昔は自分には分不相応な場所という印象が強かったのですが、最近は年齢的にもあってきたのか、銀座の街の居心地がとても気に入っています」


―学生時代には銀座の出版社でアルバイトをするなど、長谷川さんにとって銀座は思い出深い地でもあるのだとか。

「『ナイルレストラン』のカレーなど、よく食べに行っていました。銀座は老舗から新店まで、本当に美味しいお店がたくさんありますよね。いつもどこで何を食べようか真剣に迷います」


―銀座と並ぶ思い出深いスポットがもう一つ。

「大学時代は、京橋にある『東京国立近代美術館フィルムセンター』に毎日のように通って、昔の邦画をよく見ていました。ビデオやDVDではなくて、ちゃんとフィルムで見られるという贅沢はたまりませんね。今俳優というお仕事をさせてもらっていますが、その原点はまさにそこにあるような気がします」


―最近でも時間があれば、一人で映画館に足を運ぶほど映画好きの長谷川さん。実は最近の映画館事情に危惧していることがあるらしい。

「昔ながらの二本立ての劇場か無くなっていくのは、もったいないですよね。シネコンが昔の映画を上映するのが主流になってきて、今後はそういう形態も増えていくのかなと思いますけど。最近まで三軒茶屋にあった映画館(三軒茶屋中央劇場)のようなレトロな映画館は残っていてほしかったです」


―『シン・ゴジラ』の劇中で、東京湾に突如現れるゴジラ。もし現実にゴジラが東京に現れたら、長谷川さんが「ここだけは潰さないで欲しい」と思うスポットは?

新宿ゴールデン街ですね。最近は行ってないですが、新宿に行ったら寄りたくなる場所です。良い意味で変な人がたくさん集まる不思議なエリアですし、あそこからゴジラが生まれたんじゃないかっていうくらい異様な空気が漂っていて(笑)。昔ながらのお店や古きよきものは、これからもずっと残っていてほしいです」

「とにかくカッコいいゴジラの映像を楽しんで、何かを考えるきっかけにしてもらえたら嬉しい」

【インタビュー連載 17】 長谷川博己さんの休日スタイル_71970

―映画『シン・ゴジラ』で長谷川さんが演じたのは、ゴジラに翻弄されつつも日本を必死で守ろうとする、内閣官房副長官役。これまでも多くの役柄を演じてきた長谷川さんではあるが、政治家役は初めてだったのだとか。

「政治家という職業自体にすごく謎めいた部分が多いので、そういう未知なる世界が垣間見えると思うと撮影前からとても楽しみでした。政治関係に詳しい人や大学時代の友人に実際に会って、今の政界がどういう状況なのかを聞いたりして役作りをしました」


―そんな中でも最も苦労したのが、錚々たる俳優からなる各キャラクターとの関係性だ。

「官僚や研究者などが大勢いるので、その人たちと私が演じる矢口との関係性を表現するのに、とても苦労しました。役柄的にその人たちに対して私が指示を出すわけですが、実際に若い矢口がベテラン官僚に普段から反感を買うような言い方をしていれば、政敵と見なされて今の地位にいるとも限らないわけです。関係性を間違えると辻褄があわなくなるので、監督に確認しながら丁寧に演じました。難しい作業でしたが、そうやって人間関係の微妙な間合いを詰めていくことがこの役の醍醐味だったかなと思っています」


―脚本・総監督は、世界中にファンをもつアニメ界の巨匠・庵野秀明さん。アニメの技法を取り入れた独特の撮影は、いつもとひと味違ったものだったそう。

「普段よりもカメラの数が多かったんです。iPhoneも使って色々な角度からカメラを回していたのですが、全部で8~9台くらいあって、1シーンを撮るのにすごく時間をかけていました。庵野さんは各カメラマンさんに「そこ、3cm右にずれて」とか細かく指示をしていてこだわりを感じましたね。「僕がミリって言わないだけマシだと思って」っておっしゃっていましたが、結構な名言ですよね(笑)」


―本作は社会性を色濃く反映した内容となっているが、長谷川さんが本作を通じて伝えたいこととは?

「伝えたいことは特にないです(笑)。観ていただければ、皆さんそれぞれが色々と感じていただけると思います。そういう意味ではただのエンターテインメントではなく、作品として楽しく観終わったあとに、考えるきっかけになってくれればいいなと思います。もちろん小さいお子さんなどは政治や世界情勢などはわからないでしょうから、ゴジラという存在を単純に楽しんで欲しいです。難しいことがわからなくても、映像だけでも納得できると思います」

photo:Megumi Uchiyama、text:Kei Osawa、Styling:Takashi Kumagai(LAKE TAJO)、Hair&Make-up:Yasushi Miyata(VaSO)

アナトミカのジャケット40,000円、シャツ24,000円、パンツ30,000円(アナトミカ 東京 ☎03-5823-6186)

PROFILE & INFORMATION

長谷川博己(はせがわ・ひろき) 1977年3月7日生まれ。東京都出身。


TPT『BENT』で初舞台を踏む。2011年にドラマ『鈴木先生』で民放ドラマ初主演を飾ると、その後多くのドラマや映画に出演を果たす。近年では映画『進撃の巨人』2部作(樋口真嗣 監督)や『劇場版MOZU』(羽住英一郎監督)などに出演。

『シン・ゴジラ』

『シン・ゴジラ』

東京湾アクアトンネルが崩落する謎の事故が発生。官邸では緊急会議が開かれ、原因は地震や海底火山という意見が大勢を占める中、内閣官房副長官・矢口蘭堂(長谷川博己)だけが、海中の巨大生物による可能性を指摘した。その直後、海上に巨大な生物が姿を現す…。7月29日(金)全国東宝系にて公開。出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ ほか
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国立映画アーカイブ
  • 所在地

    東京都中央区 京橋3-7-6

  • 最寄駅

    京橋

  • 電話番号

    050-5541-8600

ナイル レストラン
  • 所在地

    東京都中央区銀座4-10-7

  • 最寄駅

    東銀座

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※本記事内の情報は2016年07月22日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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