
12月の赤はずるい。
レジカウンターに置かれたホットプレートの上に
ステンレスの大鍋。
ほんのりあたためられた林檎ジュースの表面に
ぎっしりと浮かんでいるのは、
赤い林檎と赤いクランベリーの実、
オレンジとシナモンとクローブ。
甘酸っぱい赤の誘惑。
注文してしまったコーヒーを急いで取り消して、
目の前のホットアップルサイダーに替えてもらった。
スタッフが鍋からレードルで汲み上げて、
エスプレッソマシンのスチームで熱くしてくれる。
もうひとつの魅惑の赤は、
千歳烏山に本店のあるフランス伝統菓子のパティスリー
「ラ・ヴィエイユ・フランス」のフレジエ。
赤い水玉模様の可愛らしいルックスに反して、
きちんとキルシュを効かせた大人仕様。
水玉は正統派の甘さ、ベースの生地は快いほろ苦さ。
次はおもたせに買っていこう、と思い立ち、
DEAN & DELUCAに電話して取り扱い期間を尋ねてみたら、
この先も扱います、という返事とともに
「僕も大好きなんです!」
というひとこと。
まるでケーキの箱に赤いリボンをかけてもらったような。