●仕事帰りの歌舞伎「一幕見席」がオススメのワケ
・1,000~2,000円で本物の歌舞伎が楽しめる!
・平日夕方からでも間に合う!
・格調高い、でも笑って楽しめる充実の時間が過ごせる!


日本の伝統芸能、歌舞伎。大人のたしなみとして一度くらいは観ておきたいところですが、難しそうだし、料金も高そう…というイメージ、ありますよね。でも1回30分~2時間程度、1,000~2,000円くらいで仕事帰りにサクッと立ち寄れたらどうでしょう? 実は銀座の歌舞伎座には、「一幕見席」という嬉しいサービスがあるんです。


▲劇場最上階の一番後ろの席が「幕見席」



初心者にぴったり! 1,000~2,000円で歌舞伎を楽しむ「一幕見席」

歌舞伎をお手軽に楽しめるのは、「一幕見席(ひとまくみせき)」と呼ばれるサービス。劇場の最上階、一番後ろにある「幕見席」で一幕だけ楽しむことができるんです。


「一幕だけってどういうこと?」と思った方、これから説明しますから、ご安心を!
そもそも歌舞伎は、一日に昼夜二公演を行う「昼夜公演」(例年8月は一日に三回の公演を行う「三部制公演」が主流。通常のチケットは、この「昼夜公演」)か「三部制公演」)の中からどちらかを選んで購入します(例えば「●日の昼の部」)。ただ、公演は、通し狂言を3つ4つに分けたり、舞踊などを交えて3つ4つの演目が上演されることもあるんです。この複数ある演目をひとつだけ見る、というのが「一幕見席」のシステムなんです。


好きな幕だけリーズナブルに楽しめるため、しょっちゅう訪れる通の人、歌舞伎初心者の人、そして近年は外国人観光客にも人気です。



いざ!初「一幕見席」体験。
早めに行ってチケットを手に入れよう!

▲幕見用チケット売り場。座って待つことができるのが嬉しい!


公演内容と出演者は月替わり。記者はこの月18:24から始まる「髪結新三(かみゆいしんざ)」を観ることに。2時間20分とちょっと長いのですが、カッコイイ小悪党が主人公で、江戸のいなせな雰囲気が味わえるとか。楽しみです!


ホームページによると、チケットの発売開始は16:45。
幕見席は当日券のみなのだそう。16:30ごろに幕見用チケット売り場へ行くと、すでに行列ができていました。ですが、座って待てるのがありがたいところ。外国人旅行者らしき人々もいっぱい!
※チケットは、発売開始時間前に行かないと買えない場合もありますが、定員に達していなければ開演5分前でも購入できることもあるそう



時間ぴったりに売り場が開き(混雑状況によっては早まる可能性もあります)、チケットをゲット! 大きく書いてある数字は入場番号。全席自由席ですが、劇場には買った順に入場するんです。席は90席。48番なら余裕で座れそうです。



開演までは、木挽町広場で歌舞伎グッズに名物スイーツをウインドウショッピング

無事、チケットが買えたので、入場まで1時間ほど余裕ができました。せっかくなので、歌舞伎グッズや名物スイーツがある地下フロアをぶらぶらすることに。



途中、エスカレーターの近くで小さな鳥居を発見! 可愛らしい稲荷神社です。公演初日には役者さんがそろってお参りするんだそう。一般の参拝もOK。芸事全般にご利益があるそうなので、興味のある人はぜひお参りを。



エスカレーターを下りると、「東銀座駅」に直結している地下フロア「木挽町広場」です。
大きな提灯がお出迎え。お土産処やお弁当処の他にコンビニやカフェもあるので、時間をつぶすのに不自由はありません。



お土産処には、眺めるだけで楽しい和小物がいっぱい。一番人気はやっぱり隈取フェイスパックだそう。



和風のカフェには、揚巻ソフトなど魅惑的なスイーツも!



そんなこんなで、あっという間に開演30分前に。地上に出て、幕見専用入り口に戻ります。係の方にチケットを見せると入れてくれます。



解説が流れるガイドの貸し出しもあるから、
予習なしでも大丈夫!

エレベーターで4階に着くと、そこは赤いじゅうたんが敷かれた廊下。土産物店や飲食店のある通常席の2~3階とは違います。とはいえ、トイレにコインロッカー、飲み物の自販機と必要なものはそろっています。



舞台の進行に合わせて音声で解説が流れるイヤホンガイドのレンタルもあります。料金は500円。別途保証金1,000円が必要ですが、返却時に返金してくれます。事前にあらすじを調べておけば、なくてもOK。細部までちゃんと理解したい、という人向けです。



1,080円でオペラグラスも販売しています。舞台まではかなり距離があるので、視力に自信のない人や小道具など細部まで見たい人は、あった方がいいでしょう。
開演20分前、職員の方の誘導でチケットの番号順に並びます。



いよいよ開場!
席からの景色は…見たことのある三色の定式幕(感動)!


幕見席は2列。順番に入場した後は自由席です。幕見席の座席はかなりコンパクトなので、端の席を狙いましょう。脚の長い欧米の方々はかなり窮屈そうでした。また、小柄な人は前列だと前に手すりがあるので、後列がおすすめです。



記者は運よく中央後列の端の席をゲット。舞台は遠いものの、真正面から見られるのはお得です! 左手に花道も少し見えます。



座席の後ろは立ち見のスペース。座席を確保できた人が席をとった後、立見の方が入場します。60人くらい入れるそうですが、この日は一人もいませんでした。並ばなくても座れたかも…。



幕間は飲食OK!歌舞伎座ならではのスイーツに満足♪


定式幕の3色の縦縞に歌舞伎揚げを連想したせいでしょう。急にお腹が空いてきました。
幕間であれば座席での飲食はOK。たくさんの人お客さんで埋まった劇場を眺めながら、「隈取こしあんぱん」(170円)をいただきます。テーブルはないので、パンやおにぎりのように手軽に食べられるものがいいでしょう。



劇場全体を見下ろせるのは気分がいいもの。着物姿の女性もちらほらいて、おしゃれを楽しんでいる人が目立ちます。花道の真上にある2階の桟敷席では、ゆったりテーブルでお弁当を楽しむ人の姿も。ちょっとうらやましい・・・。



セリフもわかるし、
役者さんの演じっぷりに舞台に引き込まれる!!


やがて定式が開けられ、美しい緞帳(どんちょう)の紹介が始まります(幕によっては見られないときもあり)。桜やコサギなど4種類あってどれも見事ですが、記者は朝日に輝く富士山に大感動! 舞台だけでなくこんなに立派なものまで見られるなんて、思いがけない幸せです。


照明が落とされたら、いよいよ開演。
セリフが理解できるか不安だったのですが、問題なし! 言いまわしや相手のリアクションがわかりやすいので、知らず知らずのうちに話に舞台に引き込まれていました。


主人公は、女を誘拐して金を巻き上げようとする小悪党の新三(しんざ)。男らしくて威勢が良くて、男前な雰囲気です。悪者なのに人気があると聞いていましたが、納得です。


途中、「成田屋ぁ!」とか「音羽屋ぁ!」などと役者の屋号を大声で呼びかける声が飛んだりして、歌舞伎観劇の雰囲気も満点。あっという間に時間が過ぎていきます。



歌舞伎はわかりやすくておもしろい! 充実の2時間20分


終演後は、入って来たのと同じエレベーターで1階へ。夜の部が終わった直後の玄関口は大混雑。みんな、ライトアップされた歌舞伎座の建物を写真に撮ろうとスマホをかざしていました。


率直な感想は、「歌舞伎ってわかりやすい!」ということ。事前にあらすじを調べてさえおけば、ときどきセリフがわからなくても、役者さんの衣装や立ち振る舞い、小道具、音楽などが教えてくれます。舞台から遠い幕見席でも楽しめるのは、歌舞伎だからといえるでしょう。


イヤホンガイドもオペラグラスもなしで、十分楽しめました。最後の方に、欲深の大家が強引に主人公を言いくるめる掛け合いがあるのですが、おかしくて思わず隣の外人さんと顔を見合わせて笑ってしまいました。



<まとめ>
・幕見席は当日券のみ、全90席、立ち見60名
・開場時間によっては、仕事帰りでも行ける!!
・公演は毎月1日~25日で、内容と出演者は月替わり※月によっては初日が2日や3日の場合もあり
・一幕500円の演目も! 所要時間と価格は公演によって違う
・舞台から離れていても楽しめる
・近くでかけ声を聞けて、雰囲気満点!

※以下の点に注意してください。他の人に並ばせてチケットを買うのは不可、連れが後から来た場合は最後尾に並び直す必要あり、支払いは現金のみ


チケット販売時間については、毎月初日にホームページで公開。休館日は載っていないのでご注意を。遅い時間に始まるものもあるので、自分に合ったものを見つけて、一度足を運んでみては?



歌舞伎座
所在地:東京都中央区銀座4-12-15
電話番号:03-3541-3131
最寄駅:東銀座




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ライター:佐々木志野

※2015年11月時点の情報です。

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