
セントル ザ・ベーカリーには、北欧の椅子がある。
ことにいちばん奥の書斎のエッグチェアは特等席だ。
でも昼間、ひとりでサンドイッチを食べるなら、カウンターがいい。
料理をつくっているのを眺めながら食事をするのは心が躍る。
ここはもうひとつの特等席だ。
この世に生まれて間もないようなやわらかさの食パンにふわっと盛られる
たまごやハム、あるいはフルーツ。やさしく挟んでもう一枚をかさねたら、
パンに指のあとがつかぬようそっと、ほんとうにそっと、スライスされる。
バターの清潔なかたまりを、慎重に切り分けるひともいる。
そうした作業が次から次へ、目の前で繰りひろげられる。
オーダーが飛びかう。シェフがオーブンを見守る。まなざしと指先。音。
そして香り。なんて楽しい!
料理人の手によるサンドイッチをつまむひとときも格別だ。
つくったひとに、いただきます、とごちそうさま、のサインを送る。
もうひとつの特等席から。
今回紹介したスポット