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ソロ活の達人に聞く!

2014/10/17

“ヨコトリ”終了間際!都市型アートフェスのやっつけ方

横浜美術館を中心に開催している現代美術の祭典「ヨコハマトリエンナーレ2014」。11月3日の会期終了を前に、一人で駆け抜けてみた。

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アート&カルチャーの達人

熊山 准さん

1974年徳島県生まれ。モノ系、旅行、恋愛など幅広くこなすフリーライター。自身のゆるキャラ“ミニくまちゃん”を世界中に連れまわすアート活動も展開中。

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ツイッター(@kumaya ) / KUMAYAMA.com
【第2回・“ヨコトリ”編】食わず嫌いの都市型トリエンナーレを克服

【第2回・“ヨコトリ”編】食わず嫌いの都市型トリエンナーレを克服

▲本を開いたようなエントランス。ちなみに『華氏451度』とは紙が燃え始める温度。レイ・ブラッドベリの同名小説では、焚書によって言論が封殺された未来が描かれています

イタリア語で「3年に1度」を意味する「トリエンナーレ」。転じて、3年おきに開催される国際芸術祭を指す言葉となり、いまや日本でも「横浜トリエンナーレ(通称・ヨコトリ)」をはじめ「あいちトリエンナーレ」「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」など、全国各地で例年なにかしらの“トリエンナーレ”が開催されるほどの盛況ぶりを見せています。

ヨコトリは2001年から始まった、都市型の現代アートフェスティバル。5回目となる今回は「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」をテーマに、国内外65組のアーティストの作品を、横浜美術館と新港ピアをメインに、横浜市中心部の各所に展示しています。

しかし初めて体験したトリエンナーレが新潟県十日町・津南町の里山で開催されている「大地の芸術祭」で、また瀬戸内国際芸術祭が開催される瀬戸内海の直島も毎年訪れているほど、「地方型」それも「ド田舎型」(失礼!)のアートフェスが大好きな筆者。夏のロックフェスでいうところのフジロックや朝霧JAMを志向する人間からすれば、サマソニみたいな都市型のヨコトリ(気のせいか音も似ている…)はちょっとアウェーで勝手がわかりません。

しかしながら昨年、訪れた都市型の「あいちトリエンナーレ」は好感触。やっぱり「食わず嫌いはよくなかろう」「そろそろ会期も終わることだし」というわけで、一路横浜へと向かったのでした。

▲横浜美術館前にドカンと乗り付けられた序章のヴィム・デルボア《低床トレーラー》。コンボイがゴチック様式で華麗に生まれ変わりながらも、不吉に錆びています。

1冊の本のようにまとめられた展示にだまされるな!

取材は平日だったこともあり、最初に訪れるのはオーソドックスに主会場の横浜美術館にしました。なぜオーソドックスかと言うと、今回のヨコトリは「『忘却巡り』の旅」をコンセプトに序章から第11話まで、あたかも1冊の書物のように展示が並べられていて、そのスタートが横浜美術館だからです。

その内訳は序章から第8話の一部までが横浜美術館で、第9話が演奏会(中止)、第10話と第11話が新港ピアという塩梅。そりゃアートディレクターの意図を汲んで、序章からまわりたくなりますわね。実際にほとんどの方が横浜美術館から鑑賞を始めているようでした。

ともあれ、作品数が膨大なので写真を中心にどんどん見ていきましょう。そうそう、現代アートは「撮影OK」「模写もOK」などと堅苦しくないのがいいところ。もっとも、撮影NGの作品もありますし、撮影に夢中になるあまり作品をよく観ていないハメにもなりがちなので注意は必要です。

▲美術館に入ると飛び込むマイケル・ランディ《アート・ビン》は、芸術的失敗作のゴミ箱。クリエイターは期間中、ここに忘れたい過去を捨てに来られます。ミニくまちゃんも?

▲第1話『沈黙とささやきに耳をかたむける』。ジョン・ケージ《4分33秒》やカルメロ・ベルメホ《ブランク》など、禅問答のようなとんち作品が続きます。こちらは木村浩《言葉》。

▲第2話『漂流する教室にであう』。現代アートの名作群から一転、大阪あいりん地区発のアウトサイダー文化祭。ヨコトリでは、巨匠も日雇い労働者も等しく表現の場が与えられています。

▲釜ヶ崎芸術大学の活動拠点はあいりん地区にあるココルームというカフェ。酔っ払っていると出入り禁止。持ち込みも禁止ですが、差し入れは歓迎の模様。シェアすればいいってこと?

▲重みがある、気がする日雇い労働者の書。個人的には「まだ死ぬのは早いので土方のリュックサックにいっぱいつめこんでほくほく笑っています」がぐっときました。

▲ココルームに集う、シドウさん(75歳)と暮らす人形たち。シドウさんが「僕が死んだら育ててね」と話す人形の娘たちは、たまにココルームにお泊まり練習するらしい。他人事とは思えません…。

▲第3話『華氏451度はいかに芸術にあらわれたか』。世界でたった1冊の本《Moe Nai Ko To Ba》には戯曲や詩がつづられる。エドワード&ナンシー・キーンホルツ《ビッグ・ダブル・クロス》に向かい、時おり朗読のパフォーマンスも。

▲ドラ・ガルシア《華氏451度(1957年版)》。第2話では他に、北海道の修道院と和歌山の女子刑務所を対比した奈良原一高《王国》や、いまや禁書扱いされている戦中文芸書の大谷芳久コレクションが見どころです。

▲第4話『たった独りで世界と格闘する重労働』。福岡道雄の《何もすることがない》。

▲拡大図。確かに何と戦っているだろう。

▲今回の展示作品でもっとも好きなサイモン・スターリング《鷹の井戸(グレースケール)》。もとは1916年に初演されたアイルランド人戯曲家による翻訳能。その衣装を、あえて当時の記録写真の色彩(モノクロ)で再現。

▲特撮番組のキャラクターデザインみたいでカッコええー。東西の文化が翻訳される過程で抜け落ちて、忘れ去られていく情報や誤解が、また新たな創作を生むのだとか。確かに現代の文化ってあらゆるもののごった煮だものね。

▲あまりに素敵すぎたのでミニくまちゃんも並んでみました。

▲第5話『非人称の漂流~Still Moving』。林剛と中塚裕子による10年前の作品を、資料をもとに再構築したTemporary Foundation《法と星座・Turn Coat/Turn Court》。記号的に再現された無人の裁判所に、小槌が鳴る。

▲裁判所の裏側は鏡に向かうテニスコート。この世の中は、時に裁き、時に裁かれ、立場はコロコロ入れ替わるってことなのかしらね。それって吉田拓郎やん!(唇をかみしめて)

▲第6話『おそるべき子供たちの独り芝居』。坂上チユキによる超精密アートと極私的神話体系《博物誌》。ぜひ、狂気めいた実物の細密さをご覧くださいませ。

▲いきなり地下に移動してグレゴール・シュナイダー《ジャーマン・アンクスト》。湿気たっぷりの濃密な不吉さを味わうことができます。ほとんどお化け屋敷です。

▲その他、横浜美術館のホールには吉村益信の《豚》と《大ガラス》。

▲片方には和田昌宏《遠い昔、はるか彼方の銀河系で…》。ムー的な陰謀論と宗教間に侵されてしまった作家のお義父さん。その神話体系をまんま再現した誰得作品。会場では実際にお義父さんがお祓いした聖水が飲めます。飲みました。普通の水です。

▲そろそろお昼。美術館併設のカフェ小倉山では、第7話『光にむかって消滅する』の三嶋安住+三嶋りつ惠による光にまつわる親子丼作品を愛でながら食事が楽しめます。写真は限定メニュー「ポセイドンソーダ」(451円)。タピオカが入ったキウイソーダ。

▲きっと週末は食事なんてままらなぬはず。セサミのプチプチ感が楽しいスモークサーモンブレッド(720円)。

▲中に小さなシューが入ったスノーマウンテン。ケーキは売り切れ次第終了なのでお早めに!

第2メイン会場の新港ピアへ

▲20分に1本出ているシャトルバスで新港ピアに移動します。「華氏451度」にちなんだ、「菓子451」というお土産が秀逸。しかし買いそびれたあ。

▲なぜか先に第11話『忘却の海に漂う』が展示。土田ヒロミ《ヒロシマ・コレクション》。忘れ去られようとしている原爆の記憶。

▲第10話『洪水のあと』は、福岡アジア美術トリエンナーレからの映像作品が多め。撮影NGが多いので割愛しまーす(助かった…)。個人的にはヤスミン・コビールの絵作りが美しかったです。

▲笠原恵実子《OFFERING》。ヨコトリのところどころにあるオブジェは、同氏によるキリスト教会の賽銭箱なのでした。偏執的とも思える、世界中の教会の賽銭箱コレクションに圧倒されます。確かにコインの投入口って惹かれる。排水口みたいに。

▲新港ピアの最奥部には、各地のトリエンナーレでおなじみ大竹伸朗の《網膜屋/記憶濾過装置》。今まで同氏の作品にはピンとこなかったのですが、初めてその造り込みに心打たれました。その反対側にある松澤宥《プサイの部屋》はもっとヤバいです。必見。

▲いくつかあるお土産のうち、手作りの「ヨコトリ」がおすすめ。

▲新港ピアからシャトルバスでBank ART Studio NYKへ。東アジアのアーティストの作品群がまとめられた地上3階の美術館です。

▲川俣正の《川俣ホール》。チクタクと歩き続ける人影でチルアウトできます。こちらの施設は会期中有効なパスポートを発行してくれるので、後日ゆっくりまわるという手も。

▲さらに欲張って、京急線沿いの長屋を利用した黄金町バザールまで足を伸ばします。こちらもパスポート制。シンディー・望月の占い部屋。壁に塗り込まれたクリスタルの鳥が美しい。

▲長屋の階段を昇れば、どこかにつながっていそうな小さなドアが。黄金町はもう一度ゆっくり訪れたいかもです。

▲なお、黄金町のパスポートはスタンプラリースタイル。最終のシャトルバスの関係で今回はここまで!

▲それにしてもヨコトリのメインビジュアルに使われている作品を観てないなーと思っていたら、みなとみらい駅にありました。ギムホンソック《8つの息》。ずっとハローキティだと思ってたけど、テディベアなんすね。

というわけで、これでも駆け足で巡ったヨコトリ2014。とにかく盛りだくさんであることはご理解いただけたかと存じます。ゆったり作品と対峙している場合じゃありません。臨機応変にサクサクと美術鑑賞をこなすにはソロがベストなのです。

また経験上、トリエンナーレは会期終了間際の週末に激混みします。できれば平日に訪れるのがベストですが、難しいのであれば、せめて四国八十八箇所参りでいうところの逆打ち、つまり新港ピアから鑑賞スタートすることをおすすめします。ただ、新港ピアは映像作品が多いのでまともに取り合っているといくら時間があっても足りないのでほどほどに。

ともあれ、都市型アートフェスながら、十分楽しかったヨコトリ。地方型に比べ作品がコンパクトにまとまっていながら、1日では足りなかったのですから、その密度はかなりの濃さ。なめてかかると痛い目に遭いますよ!

“ヨコトリ”を楽しむための心得

その1
朝一番から会場入りしよう
その2
週末は新港ピアからまわってみよう
その3
シャトルバスの時間をチェックしよう
その4
お土産は欲しいと思った時に買おう
その5
サテライト会場もまわってみよう
その6
臨機応変に美術鑑賞したいなら、ぜひソロで!

この場所の詳細

横浜美術館

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電話

045-221-0300
※お問い合わせの際はレッツエンジョイ東京を見たとお伝えになるとスムーズです

住所

神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1

営業時間

10:00~18:00 ※入館はいずれも閉館の30分前まで

定休日

木曜日、年末年始

最寄り駅

みなとみらい

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横浜美術館

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045-221-0300
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