2017/6/22
パリの雰囲気を醸し出す、フランス料理ビストロで出会った「女王様ネコ」との物語
前回の恵比寿のネコのお姫様に続き、今回は、赤坂の女王様に会いに。〝フランスの伝統料理をパリのビストロ気分で味わえるお店〟「Bistro le chat noir」(シャノワール、仏語で黒猫)、看板ネコは当然、黒ネコ。名前はノア(♀)。きっと媚びるタイプではないと予想しながら、ツンからデレをいかに引き出すか、燃える・萌える気持ちを抑えて、お店に足を踏み入れる。
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ネコ偏愛の達人
石井 芳征さん
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。

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赤坂駅から徒歩5分ほど、フランス国旗、ネコが描かれた看板、「ネコとワインとパリの食卓」を体現する店構えの「Bistro le chat noir」。店内には、ピカソ、フジタ、コクトー…、そして店名の由来でもあるフランス初のキャバレー「シャノワール」の黒ネコが描かれたポスター(スタンラン作)が大きく壁を飾る。
▲ポスターから飛び出してきたかのような相似形ポーズをとる看板猫ノア
シェフとマダム、ご夫妻で営むこのお店。19世紀、画家・音楽家・思想家様々な人が集い会話に華を咲かせ、当時の文化を生み出していったパリのカフェ(キャバレー)のような場所にしたいという想いで、つくられたお店だけありエスプリの効いた雰囲気がある。
▲フロマージュタルトフランベ(フランス風のピザ)をおいしく味わいながら、視線はネコにロックオン
▲あんた誰?という視線冷めた視線がたまらない
美味しいお酒に料理。エスプリある空間に、あまりに自然に溶け合う黒ネコ。うちのキジトラだと、見た目にも落ち着きのない性格的にも多分この雰囲気台無しになるだろうと思いつつ、お目当ての看板ネコ ノアにアプローチ。
▲まずは指先を差し出し、嗅いでもらってご挨拶
ワインの箱をベッドに、まどろむノアを軽くひとなで、ふたなで。築地の神社の境内で生まれたその日に保護されたノア。だから保護ネコには珍しく誕生日が判明している。誕生日の6月23日には、常連のノアファンのお客さんが、お祝いに訪れていいワインを注文してくれるなど、水商売のおねえちゃんの生誕祭がごとく、しっかりと集客に貢献してくれているという。
▲アゴ乗せてるだけだけど、横顔は、ジェーン・バーキンばりのアンニュイさ
▲正面から見るとそうでもないか…
マダム自身認める文字通りの「ネコ可愛がり」で育ったノア。家族のヒエラルキーの中では頂点に君臨する女王様だったが、そこに新たに弟分のネコ(アッシュ♂)が迎え入れられたことで状況が変わる。
▲知り合いの作家さんが描いてくれたノアとアッシュの肖像
「ノアは、それまでは、自分のことを人間だと思っていたと思うんです。そこになんだかわからない存在が来て、1週間くらいは混乱状態で、でも次第に弟分を受け入れていって、自分がネコであることを認識していったんだと思います」とマダム。ある日自宅に帰ると、ノアがアッシュを毛繕いしている場面を見て号泣。いい話だ。
▲首元とお腹には白い毛がちょこっと。オールブラックではないところにスキを感じ萌える
家では、甘えん坊の弟アッシュがマダムを占有してしまうことが多くなった分、かつての3人家族の時間をつくってあげようと、ノアをお店に連れてくることに。そういう意味では、このお店はまさしくノア女王様がシェフとマダムを独占できる我が城というわけだ。
▲お会計、電卓を弾く音を聞くと、サッとカウンターに飛び乗る
お客さんがいるときは、とてもクールな表情を見せるノアだが、お会計の際には決まって、カウンターに飛び乗り、お客さんを見送るサービスをしてくれる。看板ネコのツンデレ営業のお手本のような振る舞い。後ろ髪の引き方がうまい。
▲この営業上手め。おじさん、また来ちゃうよ
営業中はほとんど鳴かないのに、お客さんが帰ったあとは、急にシェフにニャーニャーお喋り、マダムの膝に乗って撫での要求をする甘々のノア、今日もしっかり働き、しっかり甘える。ネコにとっても、家族にとっても幸せな毎日を送ることに貢献する看板ネコであった。
石井芳征(ネコ偏愛者/クリエイティブディレクター/Cat’s Whiskers編集長)
Bistro le chat noir
電話:03-6459-1460
住所:東京都港区赤坂2-18-19 赤坂シャレーⅡ
営業時間:ランチ12:00〜14:00(L.O)※日・祝:休み
ディナー18:00〜24:00(L.O)日・祝:〜22:00 (L.O)
定休日:無休
最寄り駅:赤坂駅、溜池山王駅、六本木一丁目
この記事を書いた人

石井 芳征さん
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。