2016/3/27
美少女ミイラも眠る?渋谷の穴場ミステリースポットを探検してきた【辛酸なめ子連載】
独特の視点と語り口で世間を斬るコラムニスト・辛酸なめ子さんが、一人でのおでかけ先で出会う人やシーンを辛酸ワールド全開で観察&分析する連載企画。第9回は、渋谷にある「古代エジプト美術館」に潜入。都会のコンクリートジャングルで孤独を癒してくれる?知る人ぞ知る穴場スポットで、辛酸さんが目にしたエジプトの秘宝とは…。
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一人観察の達人
辛酸 なめ子さん
漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。現在も漫画やイラスト、コラム執筆のほか、TV、ラジオ出演など多彩に活躍中。

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ミイラとクイズの異次元空間『古代エジプト美術館』
▲見た目はどこにでもあるようなビル。この8階に古代の息吹が……。
渋谷のオフィスビルに古代エジプトの宝物がひしめいている、そんな噂を聞いて行ってみました。
美容室やDJ機材の店、不動産屋などが入った、ごくふつうのビルの8階に「古代エジプト美術館」の文字が。ドアを開けると出迎えてくれたのはインディジョーンズ的な探検家風ファッションのスタッフです。
マンションの1世帯分の広さしかなくて入場料大人1,500円……? と一瞬高く思えますが、中でガイドさんがマンツーマンで接客してくれるので、ソロ活にもおすすめです。博物館のエジプト展のように混んでいないし、快適な環境でじっくり鑑賞できます。他には外国人男性と日本人女性のカップルなど来ていました。知っている人は知っている穴場です。
インディジョーンズの風ガイドらによる“クイズ攻め”に遭う
入るといきなりガイドの青年にクイズを出題されました。
「古代エジプトは何年続いたでしょう? 1、5000年、2、3000年、3、1500年」
ここは実はクイズの館でもあったのです。2と答えると「ピンポーン」と音が鳴って正解。
最初の部屋で、まず、エジプトの歴史のVTRを観て学習。ツタンカーメンという単語を聞くとなぜかテンションが上がります。新王国時代、ヒッタイト条約、プトレマイオス朝といった、世界史の授業で聞いたようなワードも。試験前に訪れたら点数アップしそうなスポットです。
続いて、ガラスケースに様々な遺物が展示されている部屋へ。オーナーらしき男性が待機していて、ここからは博学なオーナーにクイズ攻めに。「問題です。この壷には何を入れて使っていたでしょう? 現代でも使っているものです」「アイラインでしょうか」「ピンポーン」といった感じで……。ちなみにクイズ5、6問全問正解しましたが、とくに賞品はなかったです。「エジプトを調査している方ですか?」と聞かれましたが……。
古代エジプトの美少女ミイラも!珍しい展示を探検家気分で見学できる
▲唯一撮影OKなのはこの入り口。小道具などけっこう凝っていて期待が高まります。
エジプト展関係が好きでよく行っているのですが、ここには今まで見たことがない珍しい物がたくさん展示されていました。当時の女性の顔が描かれたレリーフはアイラインやヘアスタイル、耳飾りにバングルなど現代でも通用するおしゃれさで、旬が封じ込められているようで素敵です。
「私なんかバブルのときのワンレンやボディコンに見えますけどね」とオーナー。巨大な男性器を巻きつけた石像(古代エジプトは性生活が豊かだったことを表しているそうです)や、ネズミが豪華な椅子に座り猫が立って守っているという逆転した立場を描いた「最古の風刺画」も印象的でした。
別の部屋に鎮座していた、紀元前の神殿の柱は直径1m以上ある巨大な物体。かなり重そうですが、どうやってマンションのエレベーターで運んだのか気になります。
最後の部屋は懐中電灯を渡され、探検気分で見学。暗い中、埋葬品のシャブティー人形やミイラなどを見るのは肝試し気分で楽しいです。扉もいくつかあり、開けたら原型をとどめた少女のミイラの頭部が……。富裕層の娘で14歳だそうですが、エジプトの少女も厳粛な博物館ではなく、渋谷の街中に安置されて喜んでいるような気がします。またミイラに会いたくなったら訪れたいです。
この場所の詳細
古代エジプト美術館
電話番号 |
03-6809-0718 |
---|---|
住所 | |
営業時間 | 一般開館日時 土・日(年末年始は休館) 12:00~18:00(入館は17:30まで) ※貸切:平日 応相談(一般開館時間は貸切不可) 10:00~12:00、12:00~18:00、土日 19:00~21:00(営業時間外) |
定休日 | 月~金 |
最寄り駅 |
渋谷 |
※2016年3月時点の情報です。
この記事を書いた人

辛酸 なめ子さん
漫画家・コラムニスト。東京都生まれ、埼玉育ち。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。現在も漫画やイラスト、コラム執筆のほか、TV、ラジオ出演など多彩に活躍中。