波動高い系、いわゆるパワースポットや霊格が高い人が集うスポットで「一人観察」というソロ活を行っている辛酸と申します。

今回訪れた場所は、世界最大級の寺社フェス、「向源」です。増上寺を会場に、二日間、お坊さんのトークイベントや、いけばな、坐禅、念仏、仏前結婚式など様々な催しが行われる大規模な文化祭。


かつて増上寺の境内で写真を撮ったら大量のオーブ(白い球状の霊体)が飛び交っていて、やっぱりお寺に霊は集まるんだ……と思ったことがあり、若干恐怖心がありますが、イベント会場にたくさんお坊さんがいて結界を張ってくれているのできっと大丈夫です。

▲お坊さんと話そうコーナーも。一対一で話す勇気が出ずに今回は申し込みませんでした。

▲お坊さんと話そうコーナーも。一対一で話す勇気が出ずに今回は申し込みませんでした。

まず、講堂で行われている「お寺で宇宙学」というトークショーを見学。宇宙物理学や生命科学の研究者と、天台宗の住職が語り合うという企画。ヒトゲノムとか光エネルギーなど研究者のアカデミックな話のあと、住職のお話がありました。


「私も皆さんも宇宙なんです。お釈迦様も瞑想して気付きました。それが悟りなんです」「私が宇宙というより、むしろ宇宙が私。自分と宇宙の間に境目はありません」「アインシュタインは、宇宙は一つの大きなエネルギー、と言っていて、仏教と符合します」など、深遠なお言葉の数々。住職は45歳と言っていましたが、肌のハリ具合は青年のようで、やはり日々の修行と規則正しい生活がアンチエイジングになっているのでしょう……。と、つい煩悩まみれの目で見てしまいます。


煩悩の一つを満たしてくれたのは、京都と東京の人気のお店の屋台が集まるマルシェコーナーです。「いのしし汁」「豚角煮」「エゾ鹿ソーセージ」といったワイルドな料理もありますが、ガッツリ肉食系、大丈夫なのでしょうか? これだけお坊さんがいればきっと供養されるでしょう。とはいえ、禁欲的な気分に浸りたくて生麩のあんかけを購入し、野外でひとり食事。

▲お坊さん人形劇。人形も全て手作りで、お坊さんのクリエイティビティに驚かされます。

▲お坊さん人形劇。人形も全て手作りで、お坊さんのクリエイティビティに驚かされます。

午後はお坊さんの人形芝居を観覧しました。「紙芝居や人形劇、全て一人でやっていて、全国を回っています」と、ソロ活の鑑のようなお坊さんが登場。一人何役もやっていてエモーショナルな演技です。お寺の小僧が山姥に襲われたのを住職に救われるというストーリー。最後、小僧が住職におんぶされて帰る、という演出にひとり萌えました。


など、楽しい企画が充実していたのですが、中でも最も印象に残ったのは、お化け屋敷です。しかもお化け屋敷プロデューサー五味弘文氏が手がける、本格的な恐怖空間。

▲お化け屋敷入り口。シンプルでムダのない作りがまた怖さを倍増させます。

▲お化け屋敷入り口。シンプルでムダのない作りがまた怖さを倍増させます。

ストーリー設定があり、清恵という義理の父母にこき使われている不憫な少女が、ある時訪ねてきた僧侶に髪の毛をほめられて意識するようになります。それを快く思わない義母に髪の毛を切られそうになり抵抗したら鋏(はさみ)が義母に刺さって死亡。清恵も、髪の毛を編んだ毛綱で首を吊って自殺してしまいます。……という、むしろお坊さんの余計な一言が惨劇を生んだような設定なのですが、そんな呪いの毛綱が、真っ暗闇の中に張り巡らされていて、客は毛綱をつたって進んで行く、という構成です。


お化け屋敷に入る前「もしかして、人が出てくる系ですか?」と確認したら「それは秘密です」と言われてしまいました。そしてもうムリだという時に鳴らすブザーを渡され、恐怖倍増。不気味な感触の毛綱を頼りに進むと「行かないで……」と耳元でささやかれたり、鈴の音が聞こえてきたりします。そして白く顔が光った無表情の女性がすーっと横切ったり……。


この、霊の出かたが、霊あるある的な感じでやたらリアルでした。だからこそ、恐怖感が大きかったのですが、このお化け役の人たち、絶対霊からの演技指導が入っているのでは? というか、乗り移られているのかも? と感じました。お寺の部屋を暗闇にするなんて、霊に集まれと言っているようなものです。恐怖にかられたお客がお坊さんに助けを求め、そして仏教へ導かれる、という狙いがある企画かもしれません。


会場を出たら、エグザイルみたいなちょいワル風の僧侶(と思われる男性)がいて、その適度な現世感でおかげさまで恐怖心が薄らぎました。やはりバランス感覚が重要です。

【辛酸なめ子連載】世界最大級の寺社フェスで幽玄ソロ活_70845
増上寺
  • 所在地

    東京都港区芝公園 4-7-35

  • 最寄駅

    芝公園

  • 電話番号

    03-3432-1431

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※本記事内の情報は2015年06月16日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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