前回、バーベキューに勤しむリア充についての思いの丈をぶちまけさせていただいた。だが、公園や河川敷でバーベキューをする連中はまだいい。凶悪なのは、海でバーベキューをする輩たちである。真っ黒い肌に海パンで、サングラスでビールでビーチバレーで二言目にはウェーイなどと言い出しそうで……嫌すぎる。そんな偏見のもと、海には極力近寄らない人生を送ってきたのだが、実は隠れたソロ向きレジャーなのではないかと常々思っていたのが、潮干狩りである。熊手を使って砂浜をひたすら掘り、バケツに貝を放り込んでいく。海なのに、なんて地味なんだろう。

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71507
▲まずは熊手を借りる

▲まずは熊手を借りる

潮干狩り場に着いてみると……思った通りである!!!!

▲この、砂浜を歩く人々の、リアルが充実していない感じ!(失礼)

▲この、砂浜を歩く人々の、リアルが充実していない感じ!(失礼)

おじいさんにおばあさん、家族連れに、若者グループもいるけれど、サングラスじゃないし、ウェーイって言わなそう! 何より、グループで来ているにも関わらず、誰も彼もが当たり前だが個人作業。貝を掘る瞬間は、いつだってみんな一人。各々が各々の掘り作業に邁進する、そんな光景が広がっていた。

ここは、ソロ活民にとっての楽園かもしれない。言い知れない安心感に包まれながら、さっそく砂を掘り始めた。

▲こういう、砂浜に穴が空いているところを狙う

▲こういう、砂浜に穴が空いているところを狙う

しばらく掘っていると、

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71511

それらしきものが見えてきた。

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71512

が……、駄目っ……!

▲ただの砂にまみれた貝殻だった……

▲ただの砂にまみれた貝殻だった……

 ……。

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71514

 不発も少なくはないが、一度金脈を見つけると、一気に複数見つかることも。

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71515
▲僥倖っ……!

▲僥倖っ……!

 そんなことを繰り返し、

▲掘っても採れなかったときの顔

▲掘っても採れなかったときの顔

 採れたり採れなかったりの悲喜こもごもがありつつ、

▲掘ってわりと採れたときの顔

▲掘ってわりと採れたときの顔

 30分がたった。

▲掘ってかなり採れたときの顔

▲掘ってかなり採れたときの顔

ふと周りを見渡してみると、来たときと変わらず、やっぱり誰もがひたすら下を向き、黙々と掘っている。海、という場所に一般的に抱くイメージとは、あまりに大きくかけ離れている。その様子を眺めながら私は、「距離感」について思いを馳せていた。

一人行動を好む者の中には、先天的なタイプと後天的なタイプがいるように思う。先天的なタイプは、いつの時代も一人で行動することに疑問を持たず、中学・高校でのグループ行動もなんのその、他人の目を一切気にすることなく一人でどこへでも行ける、生まれついてのソロプレイヤー。対して、後天的なタイプは、最低限のグループ行動は不本意ながらも受け入れてきた。いや、受け入れない選択肢を取れるほど、強くはなかった。けれども、集団の同調圧力や近すぎる距離感に息苦しさを覚え、社会に出てから徐々に一人行動に目覚めた。私は、この後天的なタイプである。潮干狩り場には、「みんなで一緒に同じところを掘ろうねー」という近すぎる距離感の息苦しさが、なかった。団体客だろうが家族客だろうが一人客だろうが、誰もがそれぞれのスペースで掘り、踏み込まれ過ぎない距離感が蔓延していた。それでいて、貝を掘るという同じ目標に向かうことでの、薄っすら感じる連帯感。“ソロ活”をしているからといって、世界で一人ぼっちになりたい、というわけではないのだ。それぞれが一人で自由に行動することで、「一人行動っていいよね」と暗に認め合いたい、そんな気持ちが根底にあるのかもしれない。潮干狩り場にあったのは2つ。意外と短時間で掘れる貝と、心地良いソロ空間。

海には近寄りたくないけど思い立って一人潮干狩りに行ってきた_71520
▲…というような、ややこしいことを考えながら掘った貝。最後に採ったグラムに応じて料金を払う仕組み

▲…というような、ややこしいことを考えながら掘った貝。最後に採ったグラムに応じて料金を払う仕組み

潮干狩りをソロで楽しむ3ヵ条

その1 貝は思った以上に採れる(30分に30個程度)ので気楽に構えよう

その2 潮干狩りにはリア充はあんまりいない(多分)ので安心しよう

その3 “それぞれ自分の場所を掘る”という心地よい距離感を楽しもう

※なお、この連載の写真はすべてセルフタイマー&三脚で撮影しています。

ふなばし三番瀬海浜公園
  • 所在地

    千葉県船橋市 潮見町40

  • 最寄駅

    二俣新町

  • 電話番号

    047-435-0828

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2015年05月13日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。