90年代の後半に大流行したメイドカフェ。メイドの衣装を着た女の子が、お客さんとコミュニケーションをするカフェだ。 今や秋葉原にはたくさんのメイドカフェがある。たんにメイドだけでなく「忍者カフェ」や「男の娘カフェ」など、様々なバリエーションが出ているほど。 しかし、日本で初めてのメイドカフェである「キュアメイドカフェ」は、ぼくたちがイメージするメイドカフェとはちょっと違うテイストらしい。いわゆる「メイド萌え」がわからない人でも大丈夫だとか。行ってみました。

元メイドと行く「元祖メイドカフェ」


▲元メイドの米田さんに案内してもらいました。萌え系メイドっぽいポーズ


ここをオススメしてくれたのは、指圧治療院の常連さんの米田梅子さんだ(ぼくの本業は指圧師なのですが、この記事には最後まで全く関係ないので一回忘れて下さい)。


米田さんは元メイドさん。ただし、キュアメイドカフェで働いていたわけではない。同業者の間でもキュアメイドカフェは有名なのだ。


おそるおそる入ってみると……。


▲入店する


メイド いらっしゃいませ。


米田 斎藤さん、メイドさんが今『いらっしゃいませ』っていってましたよね。これがキュアメイドカフェの特徴なんですよ。


--え? どういうことですか?


米田 普通は「お帰りなさいませ」じゃないですか。


メイドカフェ定番のあいさつがある。「お帰りなさいませ、ご主人様」というやつだ。一発でお客さんとメイドの関係性を定義づける、すごい言葉だと思う。それをキュアメイドカフェでは使用していないのだ。


「いらっしゃいませ」があまりにも自然で、メイドカフェとして不自然であるということに、気づかなかった。



店内は落ち着いた雰囲気である。英国のアフタヌーンティーを楽しめる空間のイメージで作られているそうだ。


メイドさんの服装も「メイドカフェの店員さん」というより「本物のメイドさん」という感じ。スカートがすごく長い。床スレスレである。


元祖メイドカフェは本物志向なのだ。




お茶を給仕する「所作」



ハーブティーや紅茶を注文すると、メイドさんが淹れてくれるのだが、



こちらも特別な演出は無し。


以前、ぼくが行ったメイドカフェでは「萌え萌え~~~きゅんきゅん!」などの呪文を唱えながらアイスティーをかきまぜてくれた記憶がある。


ただし、一つ一つの動作がとてもキビキビとしているのが印象的だ。「所作」とでも表現すれば良いのだろうか? 「演出がないなら普通のファミレスと一緒なのでは?」と思ってしまいそうだが、雰囲気は明らかに違う。


米田 変わったことはなにもありませんが、慕われている感じが伝わってこないでしょうか?


--ワビサビみたいなこと言いますね。でも、普通のメイド喫茶みたいに「萌え」を全面に押し出されても、びっくりしちゃいますからね。このくらいの方が心地いいのは間違いないです。



こちらは日本紅茶協会に「紅茶の美味しいお店」として認定されている。季節ごとの紅茶や、ハーブティーなども豊富に取りそろえている。


ちなみに、お茶の味が全くわからないぼくでも「なんとなくうまいな」くらいのことはわかったので、これは一般的にはものすごくうまいということである。




カツカレーでお腹いっぱい



食事メニューも豊富で、ちゃんとしたご飯でお腹いっぱいになれる。お店のおすすめは「チャンピオンカツカレー」だ。


サラッとしたルーと、付け合わせのキャベツ。細かく切ったトンカツが載っていて、いわゆる「金沢カレー」である。



米田さんからは「食事がおいしいことでも有名」と聞いていたのだが、全く期待していなかった。


しかし食べてみると、かなりうまい。カフェのレベルではなくて「行きつけにしたい洋食屋さん」という感じ。



米田さんにはメイドカフェの定番、オムライスを注文してもらった。こちらも「ケチャップで絵を描く」などの演出は無い。もっとも、ホテルで出てくるような高級感のあるオムライスなので、絵は似合わない。


チャンピオンカツカレーは880円、オムライスは750円(いずれも税抜き)。秋葉原でこれは安いと思う。チャージもない。




「萌え」とは



--米田さんが昔働いていたメイドカフェでは、ケチャップで絵を描いたりしていたんですよね?


米田 描いてましたねー。でも全然ちゃんと描けなかったです。果たして私はきちんと萌えていただけるメイドだったのか……。


--実はぼくは「萌え」のような感情が、あまりよくわからないんですよ。アニメにもハマったことがないです。


米田 これは私だけかもしれませんが、一生懸命働いている人に対して「いいな」って思うんです。


--それは、なんとなくわかりますね。


米田 一般的な萌え系のメイドカフェは、女の子自体で萌えを出していると思うんです。だけど食事が美味しくなる魔法をかけてくれるのは、メイドさんの格好をした女の子じゃなくていいという空気が、ここにあるんじゃないかと思います。


--ここは女の子自体というより、この空間全体が良い雰囲気ですよね。


米田 好みはあると思うんですが、私はこっちの方が好きです。




「癒やしの空間」のアイコンとしてのメイド


そもそもなぜ「メイドカフェ」というものを日本で初めて思いついたのか。運営会社の広報の方に聞いてみた。


--どういった経緯でメイドカフェを始めたのでしょうか。


広報 キュアメイドカフェを始めたのは2001年です。その頃の秋葉原には飲食店が少なく、ゆっくりと休める場所がありませんでした。
そこで秋葉原に『癒やしの空間』を作ろうとしたのです。そのアイコンとしてメイドの衣装が採用されました。


--現在、お客さんの層ってどんなかんじでしょうか。


広報 普通の会社員の方も多いですね。お昼にお食事にいらしたり、お茶を飲みにいらしたり。秋葉原は観光地であると同時に、オフィス街でもあります。


--そうすると、いわゆるオタクの方は少ないですか。


広報 もちろんそんなことはありませんよ。「ラブライブ!」という人気アニメに、メイドカフェが登場するのですが、そのお店のモデルがキュアメイドカフェなんです。「聖地巡礼」やお買い物の合間に休憩にいらっしゃっていますよ。


--最後に、広報さんからのキュアメイドカフェでおすすめのメニューはありますか。


広報 9月中旬より新しいオリジナルハーブティー 鮮やかな赤色が綺麗な「キュアガーネット(500円+税)」を提供させていただきます。
ハイビスカスやローズヒップなどを華やかに使用したオリジナルブレンドです。 オリジナル缶に入った茶葉(1,000円+税)もご用意しておりますので、お土産にもおすすめです。


元祖メイドカフェである「キュアメイドカフェ」。一般の人もオタクも区別無く楽しめるお店だった。静かなお店なので、秋葉原で歩き疲れたらゆっくりと休むことができる。そんな中で自分なりの「萌え」を育てていけるかもしれない。


▲自分のために一生懸命働いてくれているところを遠くから見る……。これが「萌え」か




CURE MAID CAFE
所在地:東京都千代田区外神田3-15-5 ジーストア・アキバ6F
電話番号:03-3258-3161
最寄駅:末広町

企画・執筆:斎藤充博

1982年生まれの指圧師(国家資格)。「下北沢ふしぎ指圧」を運営しています。インターネットで記事を書くことをどうしてもやめられない。


※2016年9月9日時点の情報です。情報、内容等は変更になる場合があります。

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※本記事内の情報は2016年09月09日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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