渋谷から代官山方面に路地を少し進み、お洒落なピンクの壁の建物に、これまたお洒落なネコの合わせ技。ヘアサロン&ネイルサロンにカフェを併設する、PELLSにお邪魔した。実は、自分の仕事場から近く、以前お店の方がネコを抱えてお客さんをお見送りしているところを目撃し、気になって横目でちょいちょいのぞいていた。
お店の人の返す視線から、変な人だと思われているのは承知の上でそれでもあいつを見たいと思う欲求は抑えきれず、ついに取材という名目で堂々とモフりに訪れた。
名前は“銀”。ペルシャのオス3歳。毎日丁寧にブラッシングされているため、毛並みがとてもきれいだ。ウチのネコは茶系なので、常々白い毛が欲しいと思っており、白い毛のネコに対する憧れがあるため、その欲求も十二分に満たされる。さらにこの長毛、モフモフを抱く、これぞ冬の醍醐味。
元々ネコ好きで実家でもたくさん猫を飼っていたという真紀さんと、それほどネコ好きではなかった雄大さん夫妻。そんな雄大さんも今では、「かわいくて食べちゃいます」とデレデレ。「おなかの辺りが、バニラみたいな甘い匂いがするんですよ」。この人、ネコの味わい方を知っていると思った。
毛足が長いのでケアが大変そうだが、さすがは美容師。夏には自らサマーカットを施す。ブラッシングで抜けた毛を丸めてネコ玉をつくる楽しみも当然知っていた。長毛は抜け毛が多くて大変そうと思うかもしれないが、小まめにブラッシングすれば問題ない。美容室だけあってその辺は怠りがない、銀を抱いても抜け毛はほとんどつかなかった。毛玉ができないように、おなか周りの毛も入念にカット。本当にこのフワフワ、顔うずめずにはいられない。ネコ食べちゃう気持ち、納得。
ブラッシングの手間と引き換えにこのモフモフ感を堪能できるならおつりが来るくらいだ。自分ならモフれるんだったら服が毛だらけになるくらい全然構わない、むしろ毛だらけになりたいくらいである。
口の周りが汚れるから、缶詰のエサはあまりやらないようにしている。銀もカリカリを好んで食べる。やはり美容室の看板ネコ、飼い主に似て、美意識高めなのか。と思いきや、「銀は毛繕いサボりがちなんですよ。毛が長いから面倒なのかな」と笑う真紀さん。運動神経も悪く、高いところは苦手。ちょっとどんくさいところがまた愛おしい。「香箱座りができないみたいで、手が横にはみ出てるんです、こんな風に」と銀の座り方を腕で表現してくれた。
常連さんもネコ好きが多く、予約の電話で銀を指名する人もいるほど。好物は“またたび玉”で、お客さんからおやつの差し入れをもらうこともある。飼っているネコを連れてきたり、銀をみて、同じ種類のネコ飼い始めました!という人までいた。類は友を呼ぶ。ネコ好きの連鎖。そうだ、自分も呼ばれて来てしまったんだった…。
お店の入り口にいる銀を見て、立ち止まる通行人も多い。営業中もマイペースに店内を闊歩する“銀”。お客さんの膝に乗ったり、シャンプー台のシートで昼寝したり、ネコとしての仕事を全うする。「銀を見てると、あーかわいいって思って、仕事したくなくなっちゃいます。レジ横がお気に入りのスペース。スタッフの通り道だから邪魔なんですけど」と真紀さんはニコニコ話す。怒る気がしない。しょーがない。だってネコだもの。
昼間は寝ていることが多いので、夕方以降の来店がおすすめだ。ヘアサロンでネイルも同時にできて、帰りに隣のHOT STAND PELLSに寄ってお茶をしながらまたネコの話に花を咲かせるというのが、ネコ好きにはおススメのプラン。
ちなみに銀はカフェでも掛け持ちで看板ネコの仕事をしている。カフェは、今月から夜も営業しているらしいので、仕事帰り、銀に会いに寄ろうかな。ネコが足りないという時、マラソンの水分補給スポットのように、ネコ欲を補給できる場所を得たことに満足なソロ活だった。
ライター紹介
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。
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※本記事内の情報は2015年12月17日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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