招き猫を買うと決めたが、さてどこに行ったらいいのか正直分からない。それにせっかく部屋に飾るなら、招き猫の意匠(デザイン)にもこだわりたい。いわゆるよく蕎麦屋などで目にする伝統的なスタイルのものもいいが、インテリア的にはちょっと濃い気がする。いろいろ調べ行き着いたのが「豪徳寺の招き猫」だった。
ネットで調べると、「招き猫発祥の地、豪徳寺」とある。文字通りオリジン・オブ・招き猫! これは行くしかない。都電世田谷線に揺られ、一人ぶらり招き猫探しの旅。あいにくの天気だったが、雨上がりの境内は緑が溢れほっとする。
しばらく招き猫を求め彷徨うと、ついに発見、オリジン・オブ・招き猫。あっさり醤油顔で、シンプルモダンな意匠(デザイン)でかわいい。サイズも大中小様々だ。なによりフォルムというか、佇まいが、本物の猫に似ているのがいい。来てよかった。早く買いたい、買える場所はどこだ! と視線のなかに飛び込んできたのは奉納されたたくさんの招き猫。
すごい量の招き猫が、所狭しと並ぶ。ネコネコネコネコネコ…ネコだらけ。俺、いま相当招かれてる。この感じ、言葉では中々表現できないので。現場の雰囲気をお伝えするために、ここからはしばらく招き猫の群れを写真でお楽しみください。
今日一日で、人生で目にする招き猫の数のカウント表示が一気に上昇した。だいぶお腹いっぱいになったところで、箸休め的に境内の風景を楽しむことに。この招き猫ゾーンのすぐ横には三重の塔があり、寺巡りファンにもお勧めだ。ソロ活寺巡りをしている女性の姿も見かけた。
豪徳寺は彦根藩井伊家の墓所で、大老井伊直弼もここに眠っているという。招き猫がなぜ生まれたか、その発祥のストーリーは実は井伊家と関係している。
昔、豪徳寺のネコ好きの和尚さんが、ある日いつもエサをやって世話していたノラ猫に、恩があるんだから、何か果報を招いてみなさいよと猫に言いい聞かせたところ、ある日門の前にうずくまり手をあげて招くネコを見て、通りがかった譜代大名井伊直孝が寺に立寄る。これにお茶をふるまったり説法するなどした和尚に、直孝が喜び、以降伊家の墓所となり寄進をうけることになったのだという。
和尚はそのネコがなくなった後、逆にその恩に報い墓をつくり祀った。後にこれが、猫のカタチをかたどり、招福猫児(まねきねこ)と名付けられ、いまの招き猫になったのだという。とても勉強になりました! 猫偏愛者としては、知るのが遅かったと反省。
さて、お目当ての招き猫をついに購入。小さめ(2号)と中くらい(5号)の二匹を選んだ。犬と違い、猫は散歩させられないのが、残念だとつねづね思っていた(中にはリードを付けて猫を散歩させている人もいるが)。なので、招き猫を街中に置いて散歩気分をついでに楽しんでみた。
看板猫に会いに行くのもいいけど、ひとりぶらりと猫ものを探しまわるのも楽しいものだ。猫を追って歴史に出会うソロ活の一日だった。
豪徳寺
住所 東京都世田谷区豪徳寺2-24-7
最寄り駅 小田急豪徳寺駅から徒歩10分、東急世田谷線宮の坂駅から徒歩5分
ライター紹介
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。
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