いすみ鉄道で日帰り女子一人旅♪里山に心癒される観光プラン

いすみ鉄道の始発駅「大原駅」はJR外房線の大原駅と隣接しています。JR大原駅へは東京駅で特急わかしお号に乗車すればおよそ1時間20分で到着。あっという間に行ける距離感ですよね。

大原駅に入ってすぐに感じるのは駅舎と改札のレトロな印象。「ようこそいすみ鉄道へ」の看板も手作り感が出ていてワクワクしちゃいます。

はやる気持ちを抑えつつ、大原駅ではやるべきことが二つ。まずは一日に何回でも乗り降り自由な「一日フリー乗車券（平日大人1,200円、土休日1,500円）」を駅の売店で購入します（※1日フリー乗車券は券売機、大多喜駅、乗務員からも購入できます）。いすみ鉄道の魅力を満喫するなら必須のアイテムです。

ちなみに土休日は大原駅から途中の大多喜駅まで急行列車が運行します。乗車には運賃のほかに急行券（大人300円、子ども150円）が必要ですが、土休日用の一日フリー乗車券を持っていれば急行券なしで乗れるので超お得なんです。

そしてもう一つが駅弁の購入。大原駅構内の売店では地元の食材をふんだんに使った5種類の駅弁をラインナップしています。

オススメは写真の「いすみの宝石箱弁当」。蓋を開ければ宝石箱のように地元の食材が散りばめられていていろんな味を楽しめます。おかずはどれも主役級の美味しさ！ボリュームも満点です。（※9月30日までの夏季期間中は販売されていません）

また、魚好きには「漁師のまかない飯弁当」がオススメ。房総の郷土料理アジの“さんが焼き”のそぼろご飯の上にサバ味噌、イカリングなど海の幸が並びます。食べ進めながらお好みでお茶漬けにすることもできるので味変も楽しめますよ。

なお、駅弁の販売は土曜・日曜・祝日限り。乗車日の前の木曜14時までに事前予約する必要があるのでご注意あれ。

大原駅

所在地：千葉県いすみ市大原（いすみ鉄道大原駅構内）

駅弁情報

受付時間：9:00～16:00

予約連絡先：0470-86-3535（製造元の傘屋商店※火曜日定休）

受け取り時間：10:00～14:00（土日祝のみ）

それでは列車に乗り込んでいざ出発！

いすみ鉄道は大原駅～上総中野駅間26.8kmを走るローカル線です。山手線の一周にも満たない短い路線ですが、沿線には田んぼや畑など里山ののどかな風景が続きます。途中、森林部を抜けることもあり、見どころ満載。車窓からの風景に癒されること間違いなしです。

里山をのんびりと走るいすみ鉄道。乗るだけで癒しを与えてくれる列車ですが、全国のローカル線と同じく利用客数の減少により一時は廃線の危機に瀕しました。

それでも市町村や住民、会社が一丸となって地元の足を盛り上げようと奮起。沿線に菜の花を植栽し続け、全線のいたるところに菜の花が咲くようになりました。

列車に揺られながら間近に花々を観賞できると人気に火が付き、今では観光列車として成功を収めています。

菜の花の開花は例年2月下旬から4月上旬（見頃は3月中旬～）で、3月下旬から4月上旬にかけては桜も開花します。黄色とピンクの華麗なコラボレーションは見る者を圧倒する美しさ。

車窓から優雅な景色を眺めることもできますが、沿線には花と列車を一枚に収めることができる撮影の定番スポットが点在しているので、カメラを片手に途中下車して巡るのもオススメ。一日フリー乗車券のメリットを最大限に活用しましょう。

観光客が最も訪れるのは春ですが、いすみ鉄道沿線では夏から秋にかけてもさまざまな草花や風景に出合うことができます。6月頃になると駅や駅間に青や紫のあじさいが咲き誇り、梅雨時には花弁にしずくが滴る艶やかなあじさいを楽しめます。

稲穂が顔を出す初夏も見逃せません。夏空の下で青々と輝く田んぼたち。清々しい景色の中を列車は進みます。車窓から流れゆく田園風景を眺めれば、まるで映画のワンシーンに入り込んだよう。

秋は作物の収穫作業をする人々を横目にゆっくりと列車が走っていきます。里山に暮らす人々の生活が垣間見られるのもいすみ鉄道の魅力。東京からわずか1時間半ほどで日本の原風景に出合えるなんて・・・。都会の喧騒を忘れさせてくれます。

1両編成のかわいい車両やレトロな駅舎たちもいすみ鉄道の魅力。それぞれが良い味を出しているんです。

14ある駅のうち大原駅には売店が、大多喜駅にはいすみ鉄道本社がありますが、基本的にはすべての駅が無人駅です。ホームと待合室の素朴さはまさにノスタルジー。駅舎に佇んでいるだけで、誰でも簡単にフォトジェニックな一枚を撮ることができます。

東総元駅には珍しいものが！駅舎を修繕する際に名工が遊び心で作ったという木製のおみくじです。

こちらの駅には随所に桜のモチーフがあしらわれていて受験生がよく訪れるのだとか。「サクラサク」という意味を込めての合格祈願といったところでしょうか。みなさんも大吉を引いたら良いことがあるかもしれませんよ。

いすみ鉄道沿線最大の町はいすみ鉄道の本社もある大多喜町です。大多喜城が座す大多喜の町は、古くから房総半島の東西を結ぶ宿場町として栄えてきました。古い商家などが保存されていて江戸時代の城下町の町並みを今に残しています。ぜひ大多喜駅で途中下車して町巡りを楽しみましょう。

駅を降りたらまずは道路を挟んで目の前にある「大多喜町観光本陣（大多喜町観光協会）」へ。ここでは大多喜町の観光情報やパンフレットを入手でき、お土産購入やコインロッカーで荷物を預けられる観光拠点です。

1日300円で借りられるレンタサイクルの用意もあります。少し離れた場所へも足を伸ばせるのでとっても便利。夏場や体力に自信のない人は電動アシスト自転車（1日500円）がオススメ。

自転車にまたがって最初に向かうのは、大多喜町観光本陣を出て大手通りを東に少し走ったところにある「渡辺家住宅」。藩の御用金用達を任されていた名家・渡辺家の商家で国の重要文化財に指定されています。

建築は170年以上も前の嘉永2（1849）年。江戸時代末期の商家造りの邸宅で構造部分は当時のまま。残念ながら中に入ることはできませんが江戸時代の民家の造りが見て取れます。

渡辺家住宅から400mほど離れた場所にある「豊乃鶴酒造（トヨノツルシュゾウ）」。1781年～88年ごろの創業で「大多喜城」の銘柄で知られる地元を代表する酒蔵です。母屋と赤レンガの煙突、元精米所を含む酒蔵全体が国の有形文化財に登録されています。

「豊乃鶴酒造」からさらに数分南に行った場所にあるのが江戸後期創業の旅籠「大屋旅館」。現在の主屋は明治18（1885）年に建てられたもので、入口の天井や階段から年季の入り具合がわかります。

平成11（1999）年には国の登録有形文化財に指定されましたが、こちらの旅館はなんと今も現役！事前に問い合わせれば主屋に泊まることもできるのだとか。

町巡りの最後に訪れたいのが町のシンボル「大多喜城」。徳川四天王のひとり本多忠勝が初代城主をつとめた名城で、現在は跡地に天守を再建しています。

城内は「千葉県立中央博物館大多喜城分館」になっており、房総の城と町をテーマに刀や鎧、衣装を展示。4階からは城下町を見渡せるので、これまで巡ってきたスポットを見おろすことができます。

時間と体力に余裕があるなら大多喜駅から北に15分ほど自転車を走らせた場所にある「大多喜ハーブガーデン」もぜひ訪れたいスポットです。

全天候型の室内ガラスハウスでミントやラベンダー、ローズマリー、ゼラニウムなど約200種類のハーブを育てているハーブ園です。バジルやパクチーなども栽培しており不定期でハーブピッキングなどの体験イベントも開催しています。

園内にはハウスのほかハーブを使ったカフェレストランもあるので休憩場所としてもオススメ。ハーブから抽出した香油をはじめ、オリジナルハーブティーの販売などもあってお土産の購入もできますよ。

また、毎月第3日曜日には地元の農家や作り手たちが出店する「あつまんべ市」を開催。無農薬野菜や天然酵母のパン、アクセサリーなどが所せましと並ぶので、このタイミングで訪れるのも良いかも。

いすみ鉄道の終点・上総中野駅に到着したらここでも途中下車。駅から歩いて3分ほどの場所に女子にオススメのランチスポットがあります。地域の人も通う人気のカフェ「寺ノ下Cafe COCORO（カフェココロ）」は、竹林に囲まれた寺院の石段の下で営業する隠れ家的なお店です。

時間を掛けて丁寧に淹れられたハンドドリップコーヒーを飲みながら窓から緑を眺めれば、極上の癒しを味わえます。また、こちらのお店は地元・大多喜町を愛するオーナーのこだわりで、料理の素材はもちろん、飲み物の器にも地元の陶芸作家の品を使用。

ランチ時に訪れたなら家庭料理のようなほっこりできる「COCOROプレート」（1,000円）をぜひ食べてみてください。

メインは油淋鶏とロールキャベツから選べて日替わりの小鉢3品とスープもついてきます。ご飯は自家栽培の天日干し製法にこだわった十六穀米or白米から選べるのもうれしい！

ティータイムには地元の食材を使用したプリンやケーキ、デザートなど手作りのスイーツもピッタリ。大多喜町でとれた新鮮な野菜や卵など、体が喜ぶ食材を使った料理の数々を堪能してみて。

寺ノ下Cafe COCORO

所在地：千葉県夷隅郡大多喜町中野249-1

電話番号：0470-83-0272

最寄駅：上総中野

一日をいっぱい楽しんだ後は国吉駅で最後の途中下車。駅から西に10分ほど歩いた場所にある「國吉神社（くによしじんじゃ）」を目指しましょう。

約1500年前に創建されたとされる由緒ある神社で、辺りには草木が茂る霊験あらたかな空間が広がっています。

こちらの神社、最近若い女性たちが頻繁に参拝にやってくるのだとか。その理由が境内に鎮座する「出雲大社上総教会」。なんと、縁結びのご利益で知られる島根県の「出雲大社」から正式に分祀されたお社なのです！

数年前までは訪れる人が多くはなかったそうですが、ここを参拝したカップルが無事にゴールインしたり、好きな人と結ばれたという声が口コミで広がり、房総半島でも有数のパワースポットとして知られるようになりました。

こちらの神社には面白いエピソードも。業績悪化の一途をたどっていたいすみ鉄道の社長が当時廃れていたこちらの神社を参拝した際、500円の賽銭を入れたそう。すると菜の花効果でいすみ鉄道に多くの観光客が訪れるようになり、いすみ鉄道の業績がV字回復。

鉄道人気の高まりとともに口コミで神社の参拝客も増え、浄銭で社殿も新しく修繕できるまでになったんだとか。縁結びの不思議な力を信じたくなる話ですよね。

いすみ鉄道を満喫する日帰り旅はいかがでしたか？JR大原駅からJR東京駅行きの特急わかしお号最終列車は20時22分発。夜まで目一杯楽しんでも余裕があるダイヤです。「明日行ってみようかな」という軽い気持ちで足を運んでみるのもOK。ただただ列車に乗って風景を楽しむも良し、アクティブに沿線の観光スポットを巡るも良し、いろんな楽しみ方でいすみ鉄道の旅を楽しんでみてください。

※2020年9月15日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。

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