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文化人類学・言語学者として世界を旅した西江雅之(1937〜2015)は学者としての活動の傍ら、数多くの写真を遺しました。没後5年を迎える今回の写真展ではその長い旅路の中で西江が出会った景色を感じさせる、もっとも印象的な作品を選びました。人間がつちかってきた伝統的な暮らしがかつてないほど急激に変化した時代。図らずも、その目撃者となった西江の眼がとらえたかけがえのない一瞬を感じていただければ幸いです。尚、展覧会初日16:00より、文化人類学者の加原奈穂子さんによるお話を予定しておりましたが、昨今の新型コロナウィルスの影響により中止することとなりました。
文化人類学・言語学者として世界を旅した西江雅之(1937〜2015)は、双ギャラリーが1985年にオープンした当時からのお付き合いがあり、ギャラリーに携わる様々な人々に多大な影響を与えた人物です。
専門の文化人類学、言語学のみならず、実に多彩な知識と圧倒的な語彙、まるでパフォーマンスのような西江の話に時を忘れて引き込まれたのが思い出されます。
西江は学者としての活動の傍ら、数多くの美しい写真を遺しました。双ギャラリーでは2011年に写真展を行っています。没後5年を迎え、今尚色褪せない西江の世界をご紹介いたします。
今回の写真展では、その長い旅路の中で西江が出会った景色を感じさせる、もっとも印象的な作品を選びました。
西江雅之の旅の足跡は、20代のはじめ、早稲田大学在学中に参加した「アフリカ大陸縦断隊」にさかのぼります。現在のモザンビークから南アフリカ、タンザニア、ケニアなどを経て、「悪霊も逃げ出す土地」といわれたソマリアを単独で縦断。さらに、ジブチからエチオピアへと足をのばし、海を越えてアラビア半島にわたり、イエメンのアデンへ。アデンやソマリアでの旅は、10代半ばの西江がとりつかれるようにして読んだというフランスの詩人ランボーが詩を捨てた後に暮らした世界とも重なって、とりわけ強い印象を残したようです。
人生を変えたアフリカとの出会い。その後、半世紀あまりにわたって、ピジン・クレオール諸語(異言語接触により形成されることがあり得る新しい言語)の日本における先駆的研究者として知られた西江が滞在した土地は、アフリカ大陸、インド洋、カリブ海域、南米、オセアニアなど、各地に広がっています。人間がつちかってきた伝統的な暮らしが、かつてないほど急激に変化した時代。図らずも、その目撃者となった西江の眼がとらえた、かけがえのない一瞬を感じていただければ幸いです。
尚、今回のプリントはアーティストの多田正美が行いました。多田は西江と長い親交があり、その人間性に魅せられてきました。彼の技術と配慮によって、もとのフィルムの味わいをいかした素晴らしい写真が生まれています。
尚、展覧会初日16:00より、文化人類学者の加原奈穂子さんによるお話を予定しておりましたが、昨今の新型コロナウィルスの影響により中止することとなりました。尚、加原さんのご厚意で、プロジェクターや資料となる画像などををお借りできる事となり、2月28日(金)〜30日(日)の3日間は双ギャラリーにてご覧いただくことができます。是非足をお運びくださいませ。
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