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福岡陽子写真展『Biblioscenery / ビブリオシナリー』

  • 2019/03/04(月) ~ 2019/03/09(土)
  • Art Gallery M84
  • 東銀座駅
    1分
  • 福岡陽子写真展『Biblioscenery / ビブリオシナリー』_1

    Biblioscenery#07(James Beattie) © Yoko Fukuoka

  • 福岡陽子写真展『Biblioscenery / ビブリオシナリー』_2

    Biblioscenery#06(Plinius) © Yoko Fukuoka

本を題材に別な何かを語ろうとしている写真が多い中で、福岡は本や本の運命そのものに寄り添った作品を創ろうとしている。現代においては非日常な存在である古書が、かつて今とは違う世界があったことを私たちに語りかけてくる写真家 福岡陽子の作品をお楽しみください。

タイトルの『Biblioscenery』は、作家による造語でビブリオシナリーと読み、古書の景色とでも言いましようか、扱いを知らない人には絶対触れない超高価な古書で、古書店の店員で無かったら見ることも、触ることすら無かった何百年も前に出版された重厚な存在を自然な姿で造形的に撮影した貴重な作品です。古書も現代のスピードで売買され、何時迄も古書店の棚にある訳ではない。図書館や博物館など公的機関に購入されれば、一般の人は手を触れることが出来なくなる。個人が購入すると、次の世代に引き取り手のない古書は廃棄されるかもしれない。それに、文書のデジタル化の流れの中で、本と言う形態が以前より軽んじられている気がする。

「初めて何百年も前に出版された本を前にした時、その存在感に圧倒され、本の価値や値段を知らずとも、思わず触れるのをためらってしまった。いわば紙の束を綴じただけの物が年月を経ることで、こんなにも重厚な存在になり得ると言うことに驚いた」と言う。古びた本のざらざらした表面をそこに歴史が刻まれたものとして眺めることによって、本に対する新たな価値が見る人の中に生じる。それは、読み継がれ、触れられ続けた本には、代々の所有者の気配が蓄積されているからだろうか。

本を題材に別な何かを語ろうとしている写真が多い中で、福岡は本や本の運命そのものに寄り添った作品を創ろうとしている。並んでいる背表紙、表紙のディテール、頁、印刷された文字、長年に渡って付けられた傷など、本自体に纏わるものだけを色々な角度から表現することによって、本が秘める物語に思いを馳せることになる作品は観る側の心を深く揺さぶる。現代においては非日常な存在である古書が、かつて今とは違う世界があったことを私たちに語りかけてくる写真家 福岡陽子の作品をお楽しみください。約30点を展示します。

【作家からの一言】
母が死に、私も癌になった時に、本格的に写真に取り組み始めた。人は死の直前に自分の人生を走馬灯のように見るという。そんな人生のダイジェスト版が写真ではないかと思う。また昔の人は写真に撮られると魂を奪われるなどと言っていた。何だか写真には被写体から吸い取った生命のようなものが潜んでいる感じがする。私はカメラは目に見えないものでも写せると信じている。高校生の頃、学校の図書館で写真集「古寺巡礼」を発見した。土門拳さんの「念力で写す」という言葉にいきあたり、こういう気迫の込もった写真はやっぱり念力で撮っているんだ!と納得した。撮影者の気持ちやその場にある気も写し込む。それが私にとっての写真だ。

子供の頃、祖母に「本をまたぐと足が曲がる」と言われたのを良く憶えている。私にとって本は全て大切に扱われるべき尊い物だった。だから本好きが高じて古書店に勤務するようになり、値段重視でビジネスライクな本の扱いに驚いた。私の本への関心は紙への興味でもあった。本によって微妙に違う紙の質感、埃やインクの匂いに愛着を感じる。その本作りに携わった人々や所有してきた人々の人間的な温かみや生々しさと機械を通した印刷物であるクールさの絶妙な取り合わせに魅かれるのかもしれない。古書に魅せられ、その存在感を捉えるような写真を撮ってみたいと思った。

ビブリオ(biblio)の語源は、ギリシャ語のbiblionで本という意味であり、シナリー(scenery)とは、18世紀イギリスで起こったピクチャレスクという美学上の概念において風景を表すのによく使われた言葉だ。当時の人々がごつごつした岩山や谷などの自然を絵画的視点から見ることによって面白みを見出したように、古本の傷や汚れも景色として撮影したという意味で、私は本の作り出す景色『Biblioscenery』と言う言葉を作った。

表紙やページをたどってゆくと、毛羽立った紙の質感や傷ついた革装、古い書き込みなどを通して、本が巡った運命や見てきた景色が現れてくるようだ。私は写真を通して、本自体が言葉を介さず伝えてくる物語をすくい上げたつもりだ。ひととき日常を離れ、古書の流転に身をゆだねる時間を持っていただければ幸いです。写真家 福岡陽子

【代表作品について】
Title:Biblioscenery#07(James Beattie)は、19世紀にロンドンで出版されたジェームス・ビーティの詩集で、ロマン派の初期の作品の一つとされている。口絵としてロマンティックな雰囲気の版画が綴じ込まれており、そこからインスピレーションを得て、古びた、状態の良くない装丁を一番美しく見える角度からロマンティックに表現しました。

Title:Biblioscenery#06 (Plinius)は、16世紀にバーゼルで出版されたプリニウスの「博物誌」で、装丁は黒い厚紙です。背表紙に赤いタイトルラベルがついているが、こういった稀覯本(きこうぼん)は茶色の革装にされていることが多く、黒と赤という取り合わせはあまりないように思う。このモダンなデザインを生かして、モンドリアンの絵画のように構成しました。何かの絵のようにも見える本の傷は、写真の重要な要素として大きく扱いました。

【福岡陽子(ふくおか・ようこ)氏の略歴】
栃木県出身
青山学院大学文学部第二部 英米文学科卒業
2007年 東京写真学園レベルアップフォトレッスンコース終了
2010年4月より2014年3月まで写真家 松本路子氏のワークショップに参加
現在、神田神保町の古書店に勤務、東京都在住

【受賞歴】
2010年05月 東京写真月間『写真の日 記念写真展2010』自由作品部門 入選
2013年09月『INTERNATIONAL PHOTOGRAPHY AWARDS 2013』
       Non-professional still life部門 佳作受賞
2015年02月『御苗場vol.16横浜』エプソン賞受賞
2017年01月 写真展『アートの競演 2017睦月』フレームマン賞受賞
2018年10月『INTERNATIONAL PHOTOGRAPHY AWARDS 2018』
       Non-professional architecture:Cityscapes / Urban部門 佳作受賞

【展示歴】
2010年01月 個展『世界パズル』 ギャラリー・ニエプス(東京・四谷)
2011年11月~2012年6月 個展『本の街から』本と街の案内所(東京・神田)
2015年02月『御苗場vol.16横浜』パシフィコ横浜・アネックスホール(横浜・MM21)
2015年04月 個展『本と物語、または時間の肖像』森岡書店(東京・日本橋)
2017年01月 写真展『アートの競演 2017睦月』Art Gallery M84(東京・銀座)

【写真展概要】
名  称 : 福岡陽子写真展『Biblioscenery / ビブリオシナリー』
作 品 数 : 約30点
作品販売 : 展示作品は、全て購入可能
主  催 : Art Gallery M84
期  間 : 2019年3月4日(月)~3月9日(土)  ※休館日を除く
場  所 : Art Gallery M84
所 在 地 : 〒104-0061 東京都中央区銀座四丁目-11-3 ウインド銀座ビル5階
電  話 : 03-3248-8454
開館時間 : 10:30~18:30(最終日17:00まで)
休 館 日 : 日曜日
入 場 料 : 無料
URL : http://artgallery-m84.com/?p=5699
以上

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基本情報
  • 開催場所・
    最寄駅

    Art Gallery M84
    東銀座駅(徒歩1分)

  • 所在地

    〒104-0061

    東京都中央区 銀座4-11-3 ウィンド銀座ビル5階

  • 会場

    Art Gallery M84

  • 開催期間

    2019/03/04(月) ~ 2019/03/09(土)

  • 時間

    開場 10:30 / 開始 10:30 / 終了 18:30
    最終日17:00

  • 料金・費用

    無料

  • 主催・共催・協力

    Art Gallery M84

  • 問い合わせ

    Art Gallery M84
    03-3248-8454
    artgallery.m84@icloud.com

  • 公式サイト

    Art Gallery M84

※掲載内容が変更となっている場合があります。最新情報については、会場・主催者の公式サイト等でご確認ください。

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