元宋の代表作《奥入瀬》の「秋」と「春」を2点同時に公開! また、20世紀の日本画壇をリードしてきた巨匠たちの優品も一堂に会します。
山種美術館では、戦後の日本画壇を牽引した奥田元宋(1912-2003)の生誕110周年を記念し、元宋とその活躍の舞台となった日展(日本美術展覧会)の画家たちの作品を紹介する展覧会を開催します。
元宋は広島に生まれ、19歳で上京し、遠縁にあたる同郷出身の日本画家・児玉希望に入門します。1936(昭和11)年、日展の前身である文展(文部省美術展覧会)に初入選、以後、新文展、日展へと出品を重ね、日展の審査員や理事長も務めました。画業初期は主に人物画を中心に制作し、1944年、郷里への疎開を契機に風景画を描くようになります。戦後は「元宋の赤」とよばれる赤を基調に、雄大な自然を描いた独自の風景画を確立しました。また和歌にも秀で、1981年には宮中歌会始の召人に選ばれています。
本展では、「元宋の赤」が際立つ《玄溟》、古希を過ぎてから取り組んだ大作《奥入瀬(秋)》と《奥入瀬(春)》を同時に公開するほか、宮中歌会始の際の和歌を記した作品も展示します。
さらに日展の前身である文展、帝展(帝国美術院美術展覧会)以来の官展の歴史を振り返りながら、帝展時代から活躍した福田平八郎をはじめ、川合玉堂の第1回日展出品作、元宋の師である児玉希望、「日展三山」と称された東山魁夷・杉山寧・高山辰雄のほか、山口蓬春、山口華楊など日展で活躍した名だたる画家たちの優品とともに、20世紀の日本画壇をリードしてきた人気作家たちの足跡をたどります。
※高山辰雄の「高」の正しい表記は、はしごだかです。