台東区役所を過ぎ、細い路地に入ると見えてくるグリーン

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はじめて訪れた編集部・赤坂。


「ここが本屋さん?」と、一瞬戸惑いましたが窓から本棚が見えてひと安心。早速入店してみましょう。中央の階段の右側がROUTE BOOKS、反対側の看板には「Route pain」という文字。

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ガラスから中を覗くとパン屋さんでした。名称からして関連するお店なのでしょう。のちほど詳しく聞いてみます。11時から営業開始ですが、すでに開店を待つお客さんの姿がありました。常連さんでしょうね。


ROUTE BOOKSを経営しているのは、「ゆくい堂」というリノベーションを専門で行う工務店さん。ROUTE BOOKの反対側の建物がオフィスということでそちらも覗いてみると……。

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カッコいい空間!


ここで、ゆくい堂の代表取締役 丸野信次郎さんにお話を伺います(写真での登場は辞退させてくださいとのこと!残念!)。


丸野さん:「別の場所に事務所があったのですが、取り壊しが決まっているこの物件を見つけて『借ります!』と入居しました。


向かいの建物(現在のROUTE BOOKSの場所)も元々は同じオーナーさんの所有物件だったらしいのですが、工務店の上にあったROUTE BOOKSを今の場所に移転して、2階建てにしたんですよ。


ベーカリーも以前は店子さんに貸し出していましたが、今では自社で経営しています。店先や店内にある植物は熱帯や亜熱帯、乾燥地帯のものを中心に揃えていて、すべて売り物なんです。私が奄美出身なので。東京の気候も熱帯みたいなもので、手入れもそれほど気を遣わなくて良いんですよ。


このファクトリースペースは、音楽イベントにも使っています。メインの工務店は建築現場のお仕事もありますが、オーダー家具の製作も多いですね」。

ファクトリースペースのとなりにある「ROUTE BOTANICALS」さん。

ファクトリースペースのとなりにある「ROUTE BOTANICALS」さん。

なるほど、書店以外にも楽しいスペースがいっぱいありますね。


ちなみに「ゆくい」とは奄美や沖縄でいう「ゆっくり」を意味しています。



丸野さん:「周りの方からは、ROUTE BOOKSはカフェとして認識されているかもしれませんね。平日はカフェに仕事しにいく感覚でこられるお客さんもいらっしゃいます。2階に上がればもっとカフェのような空間なので、ぜひ見ていってください。本についてはスタッフの石川さんにお任せしているので詳しくは彼女に聞いてください」。


では早速、ROUTE BOOKSさんに潜入していきます!

「本好き以外の人にも来てもらいたい」そんな願いが詰まった空間

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入店すると、木と緑の空間が広がっていました。椅子の配置やカウンターもカフェそのもの。


ここで選書を担当されている石川歩(あゆみ)さんにご登場いただきます(石川さんも登場NGとのこと。残念!)。ちなみに石川さん、フリーランスのライター・編集者としてもご活躍されていらっしゃいます。


石川さん:「丸野さんからは選書を任されていますが、『話題の新刊を平置きする』というセレクトは面白くないよねっていうことだけ共通の認識を持っています。何か新しいものに出会いたくて書店に行く本好きはもちろん、そうではない普段本を読まない人にも、多様な人たちが来てくれる場だからこそ本との”出会い”を提供できれば、と思っています。


例えば、昨今のロシアとウクライナの戦争も『どちらか悪い〜』みたいなことではなく、双方の国民にも私たちと同じ日常がある、という気付きのキッカケになるような本を並べています。


さらに昔から語り継がれている本も仕入れていて、家族何代にも渡って読めるような懐かしい本も置いています。本を通じて世代が繋がっていく感覚がありますね。


またROUTE BOOKSの特徴として、お客さんが平日と土日でガラッと変わる感じがあります。平日は常連さんやカフェでお仕事をする方が多くて、土日はおでかけの途中で立ち寄られる方が多いのですが、けっこう混むタイミングがあるんですよ」。


たしかにこの居心地の良さ、長く滞在したくなるのがわかります。Wi-Fiもあるし。

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そして、書棚を一つ一つ見ていくと……。

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ひときわ目立つ『ビッグマムアンちゃん』。ビッグイシュー日本版で連載されている4コマ漫画の愛蔵版ということで15年分の全作品が1冊にまとまっています。


その左右に並んでいるタイトルも、どこか繋がりがあるというか興味を引くものばかりですね。石川さんの「発見してほしい!」というメッセージが店内のアチコチに散りばめられているようです。


ちょっとレトロな雰囲気に、手作りのウッドラック、そしてさりげない雑貨などなど、全部見て回りたくなりますね。


もしかして、これらの本棚って……。


丸野さん:「全部、工場で作ったものです」。

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2階はボタニカルなカフェスペース!! そして新作カレー!!!

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1階の書店スペースにある階段を登ると、またグリーンの多いカフェスペースが広がっています。

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このテーブルやチェアなどもオリジナルで製作されたものばかり。4月に登場したばかりのカレー(平日限定)もROUTE BOOKSさんイチオシメニューということで、こちらもチェック!

18種類のスパイスで煮込んだ牛旨味カレー 1700円(税込)

18種類のスパイスで煮込んだ牛旨味カレー 1700円(税込)

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18種類のスパイスで煮込まれた牛スジカレー。カラフルな付け合わせに燻製半熟たまごと、旨味の詰まったひと皿です。

石川さんのオススメ3選!

石川さんに今推したい本を挙げてもらいました。

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左から

・『私のアルバイト放浪記』鶴崎いづみ 著 観察と編集/土曜社 2197円


・『どうぶつ会議』エーリヒ・ケストナー 文 ヴァルター・トリアー 絵 光吉夏弥 訳 岩波書店 1100円


・『トマト・ブック』坂田 阿希子 著 東京書籍 1650円


石川さん:「『私のアルバイト放浪記』は、様々な職種のアルバイトをしながら自分や社会をどこか俯瞰する視点を与えてくれる1冊です。著者は様々なアルバイト経験を通して、大学卒業後に就職して定年まで勤めるといった”普通”の働き方に混じりきれない自分を発見していきます。著者に共感する方、実は多いのではないでしょうか。


『どうぶつ会議』は1954年に刊行された古い本ですが、今読んでも人間が環境に与えている影響について深く考えられる内容になっていると思います。子供の頃に読んだ方が若い人に伝えていけるような普遍的な一冊ですね。


『トマト・ブック』は一冊まるごとトマト料理の本です。キレイな写真でレシピが紹介してあって、実際作ってみるとどれも本当に美味しくできる実用的な本です。トマト料理だけでもこんなに種類があるのだと驚きもあります」。

おわりに

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新しい一冊との出会いを求めてでかけるも良し、コーヒーを飲みながらじっくり読書をして過ごすのも良し。


人それぞれ、自由な楽しみ方を提供してくれる書店(カフェ)だと思います。

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新しい本を探す、美味しいコーヒーを飲む、楽しいスタッフとおしゃべりする、ライブを観に行く、観葉植物を買いに来る。


ROUTE BOOKSに来れば、こんなにも多くの楽しいチャンネルがあるということ。何かのついでに寄ると、いつの間にか時間が経過している。そんな光景が目に浮かぶ本屋さんです。


銀座線の上野駅か隣の稲荷町駅、どちらからでもアクセスできますので、おでかけ候補にいれてみてはいかがでしょうか?


ROUTE BOOKSのみなさん、ありがとうございました!

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店舗情報

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ROUTE BOOKS


住所 〒110-0015 東京都台東区東上野4-14-3 Route Common 1F

URL https://route-books.com/

営業スケジュール 12:00-21:00(当面の間19:00まで)曜日不定休

TEL 03-5830-2666

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本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2023年05月22日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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