【おでかけ時のポイント】

・居住地やおでかけ先の都道府県の要請に従って行動しましょう
・体調に不安を感じるときは外出を控えましょう
・なるべく少人数で空いている時間に行きましょう
・周囲の人との距離をできるだけ保つようにしましょう
・マスクを着用し、手洗いは小まめに行いましょう


東京の真ん中でアートに浸る贅沢時間/アーティゾン美術館

アーティゾン美術館

東京駅、京橋駅、日本橋駅から徒歩約5分。「アーティゾン美術館」は、2020年1月に前身の「ブリヂストン美術館」から館名も建物も新たにオープンした美術館です。

印象派、日本近代洋画、20世紀美術、古美術、現代アートと幅広いジャンルがそろっているので、アート初心者も楽しめるのが魅力。今回はそんな同館を、アート好きのアナウンサー・宇賀なつみさんとともにご案内します。

普段月に1回以上は美術館に足を運ぶというアート好きの宇賀さん。「初めて来たのでとてもワクワクしています」と、楽しみなご様子。

4~6階は展示室で、1~3階はチケットなしで利用できるフリーゾーンです。まずは展示室に向かうべく、3階のメインロビーへ。WEBで事前購入したチケットのQRコードを提示し、エレベーターで6階に上がります。


アーティゾン美術館

6階の展示室入り口には、インテリアデザイナーとして活躍した倉俣史朗によるベンチが置かれていて、自由に座ることができます。

曲線と直線のバランスが美しいこの半月型の『ガラスのベンチ』。独特の存在感でステキですね。


新収蔵作品を満喫できる「STEPS AHEAD」展

アーティゾン美術館

現在開催中の展覧会「STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」(2021年9月5日まで)に展示されているのは、全てアーティゾン美術館の収蔵品。初公開の新収蔵作品90点を中心とした193点、さらに芸術家の肖像写真コレクション87点を鑑賞することができます。

セクション1「藤島武二の『東洋振り』と日本、西洋の近代絵画」の部屋の壁は、赤一色!展示は14セクションに分かれていて、部屋ごとに壁面の色に変化をつけているそうです。さまざまな時代のさまざまな作品があるので、旅をするような気分で楽しんで。

部屋を見渡しながら「東と西、両方の要素が散りばめられていますね」と話す宇賀さんの印象どおり、こちらの部屋の作品は“西洋と東洋の出合い”をテーマに構成されています。


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▲藤島武二『東洋振り』1924(大正13)年


今回が初公開となる新収蔵作品『東洋振り』は、西洋の技法で東洋の人物を描いたもの。宇賀さんは絵に見入ります。

「横顔って、魅力的ですね。想像力を掻き立てられるというか。服の赤と青が鮮やかで、女性の黒髪や黒い目の美しさが引き立っています」


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▲ジャン・メッツァンジェ『円卓の上の静物』1916年


キュビスムの作品を展示したセクション2の部屋には、パブロ・ピカソやジョルジュ・ブラック、そしてキュビスムに決定的な影響を与えたポール・セザンヌらの作品が並びます。写真のジャン・メッツァンジェ『円卓の上の静物』は、新収蔵作品の一つです。

抽象絵画の発生にも関わるキュビスムは、20世紀初頭のヨーロッパで誕生した芸術様式。一つの画面に複数の視点を表したキュビスムの作品は、さまざまな視点を意識してじっくりと鑑賞すると、とても面白いんです。


アーティゾン美術館

セクション3では、ともに理論的研究に基づいて造形の冒険を重ね、抽象絵画の創出と発展に大きな役割を果たした、カンディンスキーとクレーの作品が同時に楽しめます。

色鮮やかなヴァシリー・カンディンスキー『自らが輝く』(1924年)を鑑賞した宇賀さんは、「心を明るくする絵ですね。ポジティブな気持ちになれました」と笑顔を見せます。具象画から抽象画へと向かう直前に描かれたカンディンスキーの風景画『3本の菩提樹』(1908年)も、注目したい新収蔵作品です。

つい意味を考えたくなってしまう抽象画。宇賀さんは「昔は律儀に展示用キャプションに書かれた解説を読んでいたのですが、最近は読まないこともあります。知識を入れずとも、素直に感じるまま楽しむのも良いのかなって」と明かします。難しく考えなくても十分楽しめるんですね。


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▲エレイン・デ・クーニング『無題(闘牛)』1959年 © Elaine de Kooning Trust


続いて、セクション5「抽象表現主義の女性画家たちを中心に」へ。第二次世界大戦の際、抽象表現の中心はパリからニューヨークへと移りました。近年、その時代に活躍した抽象表現の女性画家たちが注目されています。

新たに収蔵された彼女らの作品を展示するこちらの部屋では、パートナー同士の影響も意識されています。エレイン・デ・クーニングはオランダ出身の画家、ウィレム・デ・クーニングと師弟関係を結び、後に結婚。『ムーンタイド』を描くリー・クラズナーも、アメリカの画家ジャクソン・ポロックと長年にわたるパートナーでした。

宇賀さんは互いに影響を与え合った画家たちの作品をじっくり見比べ、「パートナーの影響って大きいんですね」と頷きます。


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続けて、個性的な小部屋がある4階へ。こちらの階では、「STEPS AHEAD」展の作品もそれ以外の作品も、両方同時に楽しむことができます。まずは「STEPS AHEAD」展以外の作品が展示されている、照明を落とした黒壁の空間から。

こちらは古美術などを鑑賞するために特別に用意された部屋で、低反射で透明度の高い幅15mの一枚ガラスの向こうに、雅やかな屛風絵が浮かび上がります。 「鑑賞している私たちが映らないように、壁が黒いんですね」。宇賀さんの言うとおり、黒が光を吸収するため、映り込みが最小限に抑えられています。じっくり作品と向き合えそうですね。

尾形光琳の『孔雀立葵図屛風』(2021年7月25日まで展示)は、衝立の表裏だったものを2枚に仕立て直したのだそう。「華やかな都らしさを感じます」。


アーティゾン美術館

次は、吹き抜けで5階とつながった部屋。こちらは「STEPS AHEAD」展の展示室で、オーストラリア先住民による現代アボリジナル・アートが展示されています。国内でのまとまった収蔵と展示は珍しいというアボリジナル・アート、とくに見逃せません。

宇賀さんは作品について「土や木、太陽など自然をモチーフに描いているんでしょうね。生命力を感じます」と印象を語ります。抽象的な作品は、受ける印象も、何に見えるかも、人によって全く違うのが面白いところ。「あれ、何に見える?」なんて話しながらデートしたら、鑑賞の視点がより広がりそうです。


アーティゾン美術館

広いスペースには、草間彌生や菅井汲など日本の抽象絵画の作品が展示されています。「場所によって展示の仕方が全然違いますね」と、宇賀さんは順路を進むたびに違う表情を見せる展示空間に感心しきり。

ご紹介したのはほんの一部ですが、こちらで「STEPS AHEAD」展の鑑賞は終了。次に特集コーナーをのぞいてみましょう。


マリノ・マリーニの世界に浸る特集展示も

アーティゾン美術館

「特集コーナー展示 マリノ・マリーニの彫刻と版画」(2021年9月5日まで)では、20世紀イタリアを代表する彫刻家、マリノ・マリーニの作品計25点を展示。生涯を通じて表現をし続けた、馬と騎手をモチーフにした作品が並びます。

「ずっと同じ一つのテーマを表現し続けるっていうのがすごいですよね。その情熱の源は何なのだろうと思います」

この部屋は、下がり天井で絨毯敷きの小さな展示室。かつてのブリヂストン美術館を思い起こさせる空間となっています。


アーティゾン美術館

4階と5階のロビーには、同館のコレクションの情報が見られるタッチパネル式モニター「デジタルコレクションウォール」が設置されています。作品画像に触れると、作品・作家名・制作年などが表示される仕組みで、検索もできます。

宇賀さんは「楽しい!一日中遊べるじゃないですか」と大興奮。これを使って鑑賞を終えたばかりの作品についての感想を伝え合うなど、恋人とのコミュニケーションを深めるのも◎。

さらに理解を深めたい人は、スマホで楽しめる無料音声ガイドを利用できる公式アプリをダウンロードしてみて。イヤホンは持参するか、2階のミュージアムショップで購入しましょう。


逸品ぞろいのミュージアムショップ&アート作品展示もあるカフェ

アーティゾン美術館

旅行のたびにその街の美術館を訪れ、鑑賞後は気に入った作品のポストカードを買うのがお決まりという宇賀さん。もちろん、2階のミュージアムショップも外せません!


アーティゾン美術館

定番のポストカード(110円)のほかに、歯ブラシ(825円)やオリジナルトートバック(1,650円 ※缶バッチ別売)、オリジナルボールペン(990円)、マスキングテープ(275円~)など、おしゃれなオリジナルグッズがそろっています。デートの思い出に、おそろいのグッズを購入するのもオススメです。

また一部の商品はオンラインショップでも購入可能。買い逃してしまった!なんて時には、ぜひ活用してみて。


アーティゾン美術館

ショッピングの後は、1階のミュージアムカフェで休憩。飾り棚には、イタリアのデザイン界の巨匠、エットレ・ソットサスによるヴェネチアンガラス器を中心とした貴重な作品がズラリ!アートに囲まれながら、ゆったり作品の余韻に浸れることでしょう。


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こちらではガレットやオープンサンドといった軽食だけでなく、ランチタイムには3種のコース(2,000円~)を用意。もちろんスイーツも充実していて、企画展とコラボした「フルーツとソルベ」(900円)や、かわいらしい見た目の「ミルフィーユ」(ドリンク付1,500円)などがあります。


まとめ

アーティゾン美術館

展示に加え、ショップにカフェも満喫した宇賀さん。「吹き抜けで上の階と一体感のある展示室もあれば、こぢんまりとした展示室もあって、変化に富んだ空間でゆったりと楽しめました。知らなかった女性作家の作品をたくさん見ることもできて良かったです」と大満足のよう。

また、「二人で感想を話しながらゆっくりできるカフェがあるので、大人のデートにもオススメです。駅近でアクセスが良いので、時間のあるとき一人でも気軽に来れて良いですね」と、さまざまなシーンで活用したいと語ってくれました。

展示室帰りに通る吹き抜け空間には、泡をモチーフにした独創的なオブジェもあり、最後の最後まで“アート”に触れることができます。隅から隅までとにかく魅力たっぷりの「アーティゾン美術館」、ぜひ知的で大人な休日を過ごしたいとき訪れてみては?


アーティゾン美術館
所在地:東京都中央区京橋1-7-2
電話番号:050-5541-8600(ハローダイヤル)
入館料:チケットは日時指定予約制。料金は展示により異なる ※「STEPS AHEAD: Recent Acquisitions 新収蔵作品展示」と同時開催の「特集コーナー展示 マリノ・マリーニの彫刻と版画」はWEB予約1,200円(窓口販売の当日チケットは1,500円。WEBチケットが完売していない場合のみ販売)、学生無料(要予約。予約枠には上限があります)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館して翌平日休み)、展示替え期間、年末年始 ※展覧会により異なります
開館時間:10:00〜18:00(最終入館17:30)※金曜20:00までの夜間開館は当面の間、中止
最寄駅:東京/京橋/日本橋

>>>「アーティゾン美術館」公式サイトはこちら!(外部サイト)


宇賀なつみさん
宇賀なつみさん


テレビ朝日「報道ステーション」でデビュー後、複数番組を幅広く担当し独立。現在は「池上彰のニュースそうだったのか!!」や「川柳居酒屋なつみ」、「土曜はナニする!?」ではメインMCを担当中。趣味は旅行・お酒・アート鑑賞。

Twitter:@natsumi_uga
Instagram:@natsumi_uga


写真:後藤秀二
スタイリング:近藤和貴子・小林まみ
ヘアメイク:HAIR&MAKE ATELIER KAUNALOA
取材・文:佐々木志野


情報提供:アーティゾン美術館

※2021年6月25日時点の情報です。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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