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東京カフェマニア川口葉子が選ぶ!清澄白河の穴場カフェ4選

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カフェライター・川口葉子さんの連載「川口葉子の東京カフェクロニクル」。開店から3年以上、地域に愛される存在になったカフェの歴史やエピソードを毎回綴ります。第15回はコーヒータウン・清澄白河の「mamma cafe 151A」を紹介。

Date2016/05/19

[連載] 川口葉子の東京カフェ クロニクル ~カフェの上にも3年~

【川口葉子カフェ連載vol.15】大人も子どもも安心できるおいしさ。理想はお店とお客の相思相愛。

週末になるとコーヒーショップ巡礼者たちでにぎわう清澄白河の街。空腹をおぼえて、おいしいごはんを食べながらひと休みしたくなった人々が向かうのがmamma cafe 151Aだ。

まだ、この街がコーヒータウンと呼ばれるようになるとは誰も想像しなかった2013年の春にオープンして以来、味だけではなく食材の背景にも目を向けるお客からも信頼を集めている。

木場公園のしたたる緑に面した、明るく気持ちのいい空間。店名にはすべてが表現されている。マンマ(イタリア語でお母さん)が子どもたちの健康を気づかうように、安心して口にできる食材を選んで、新鮮さをその「まんま」活かしてテーブルに運び、その瞬間に交差する人やモノとの「一期一会」を大切にすること。

人気の「赤城ポークの有機生姜焼き」は、いつでも食べたい!というお客のリクエストに応えて、日替わりメニューから定番化された名作。お箸でひらりとつまみあげる上州銘柄豚「赤城ポーク」の大きくて薄い食感がいいのだ。

店主の店部(たなべ)浩司・真起さん夫妻は、子育てをしながらカフェを切り盛りしている。

「薄い方がタレがお肉に絡みやすいし、お母さんが子どもに分けるときも便利なんです。サシが多くて、脂に添って箸が入れやすいのも特長」と、管理栄養士の資格を持つ真起さんはにこやかに語る。言葉のはしばしに、自身の体験に裏打ちされたこまやかな配慮がにじむ。

ごはんが進む甘辛い味つけには、自家製ジンジャーエールにも使われる有機生姜と上赤糖「琥珀」が活躍。厨房ではこれに加えて「本和香糖(ほんわかとう)」、伝統的製法の赤糖を継承した「亜麻」の3種類の砂糖を使い分けている。コーヒーを注文すると添えられる3種類の小さな角砂糖も、琥珀、本和香糖、亜麻だ。ひとつつまんで、風味の違いを比べてみると面白い。

デザートの「本和香糖の焼きプリン」を注文すると、平飼い有精卵の風味と本和香糖の柔らかな甘みがしっかり味わえる。流行の今にも崩れそうなふるふるした食感ではなく、昔ながらの素朴な食感が懐かしい。瓶の底に見える褐色は、ほろ苦いカラメルではなくて「亜麻」を煮詰めたふんわり甘いシロップだ。

カフェは朝8時にオープンするので、清澄白河散策をmamma cafe 151Aの朝食からスタートするのもいい。

浩司さんは毎日、6時30分にはもう厨房に入って一日の準備を始める。最初の仕事は味噌汁作りとごはん炊きだ。たっぷりの鰹節と鯖節で出汁をとる。そして、無農薬有機栽培の房総のコシヒカリ「菜の花育ち」を精米して、子どもでもおいしく食べられるよう五分づきにして炊飯器にセットする。
「雑穀米や豆入りのごはんは嫌がる子もいるんですよね。うちの子にいろいろ食べさせて実験しました(笑)」

店部さん夫妻の心の師匠は、真起さんが京都で学生時代に4年間アルバイトをしていた「洋食屋キチキチ」のご主人である。
「職人気質で、下ごしらえに手間を惜しまない姿から多くを学びました。そして、マスターの『お店とお客さんとが相思相愛でありますように』という理想も、私たちが理想とするものです」
自分たちがおいしいと思って差し出した料理を、食べる人においしいと感じてもらえる幸せ。このお店にまた来たいと思ってもらえる幸せ。それがお店とお客の相思相愛。

だが、子育てをしながらのカフェ経営は時間に追われる日々が続く。カウンター前のベビーベッドには、生まれたばかりの二人目の子どもが眠っている。真起さんは出産の3日前までお店で立ち働いていた。

「いずれ学校に通うようになって、そのつどいろいろな課題に直面していくんだと思いますが、夫婦で協力しあい、周囲の方々にも助けてもらいながらカフェを続けていきます。いくら大変でも、やっぱりこの子たちの存在はとても大きいんですよね」

慌ただしい日々を送りながらも、店部さん夫妻の笑顔には愛嬌がのぞく。カフェの空気も日々、かけがえのない存在を育てているからこそ健やかで優しく、訪れた人々が大人から子どもまで安心できるのだと思う。


text&photo / Yoko Kawaguchi

HISTORY

HISTORY

2013/04 木場公園の豊かな緑をのぞむ三ツ目通り沿いにオープン。
「まだ誰もブルーボトルコーヒーさんの出店を知らない頃で、この立地の開業をみんなに心配されました(笑)」
2013/11 日替わりで提供していた「赤城ポークの有機生姜焼き」がお客のリクエストに応えて定番メニューとなる。
2014/01 江東区の写真館スタジオクレアールが毎月「ランチ付き撮影会」を開催。参加者は、mamma cafe 151Aの店内でプロに親子写真を撮影してもらった後でランチ。
2014/03 子育て絵本アドバイザーの前田ちひろさんが、親子のための絵本の読み聞かせイベントを開催。毎月恒例となる。
2014/04 1周年記念として来店者に知多産おにぎり海苔をプレゼント。
2015/04 2周年記念として来店者に材木をかたどった「木場の角乗りビスコッティ」をプレゼント。角乗りは木材業者が川に浮かべた角材を乗りこなす伝統芸能。

SHOP DATA

mamma cafe 151A(マンマ カフェ イチゴイチエ )
住所:東京都江東区平野3-4-6
最寄り駅:清澄白河

まだある!川口葉子がおすすめする清澄白河カフェ

PORTMANS CAFE(ポートマンズカフェ)

築30年を越えたビルの1階をセルフリノベーションして2011年に誕生した、清澄白河のカフェの先駆けのひとつ。ヨーロッパのアンティークを集めた趣ある空間でくつろぎの時間が過ごせる。グルテンフリーの「玄米のフェットチーネ」など、健康に配慮したメニューもさりげなく登場。

PORTMANS CAFE(ポートマンズカフェ)
住所:東京都江東区清澄2-9-14
最寄り駅:清澄白河

ヒキダシ カフェ

かつては革製品を扱う工房だったという路地裏のビルの一室を、センス溢れる空間にリノベーション。壁にも家具にもリフレインされる無数の引き出しが印象的だ。肉料理/魚料理が選べるランチやスイーツが人気。

ヒキダシ カフェ
住所:東京都江東区白河3-8-5
最寄り駅:清澄白河

fukadaso Cafe(フカダソウ カフェ)

解体寸前だった築50年のアパート兼倉庫「深田荘」が、持ち主の家族によって、歳月を経た建物の魅力を活かした複合施設へと生まれ変わった。101号室はゆったりした空間に古い家具が並び、パンケーキやスコーンが楽しめるカフェ。他の各部屋にもギャラリーや雑貨店、ボディケアのお店などが入居している。

fukadaso Cafe(フカダソウ カフェ)
住所:東京都江東区平野1-9-7 101
最寄り駅:清澄白河

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川口葉子

川口葉子さん

東京在住

プロフィール

喫茶時間を愛するライター。カフェについての著書多数。様々なメディアでカフェやコーヒー特集の監修、執筆を手がける。

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