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【川口葉子カフェ連載 Vol.4】コーヒーの優しい時間/coffee caraway

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カフェライターの第一人者である川口葉子さんの連載「川口葉子の東京カフェクロニクル」。開店から3年以上経ち、地域に愛される存在になったカフェの歴史やエピソードを毎回綴ります。第4回は、祐天寺の「coffee caraway」をご紹介。

Date2015/05/22

[連載] 川口葉子の東京カフェ クロニクル 〜カフェの上にも3年〜

祐天寺でおいしいコーヒーを飲みたくなったら、女性店主が焙煎するコーヒー専門店へ。飲み慣れない人にも優しいお店。

「コーヒーのおいしさが、よくわからない…」

そんな人におすすめしたいお店のひとつがcoffee caraway。耳慣れない専門用語を使わずに、さりげなくコーヒーの普遍的な魅力を伝えてくれるはずだ。

祐天寺駅から北西に10分ほど歩いていくと、若い銀杏並木の陰に小さな白いお店が現れる。店主にして焙煎人の芦川直子さんは、2008年にこの小さな焙煎所兼カフェを開いた。

白砂色に塗った外壁。ドリップポットをあしらったロゴ。並木の緑を映すガラス戸に、金色の文字で綴られた店名。心を惹きつける、けれども決して扉を開けるのに気おくれを感じさせることのない、優しい店構えだ。

メニューは自家焙煎のコーヒーのみ5~6種類。テイクアウトしても店内で楽しんでもいい。芦川さんは注文を受けるつど新鮮な豆を挽き、円錐形ドリッパーを用いて注意深くドリップしてくれる。

何を注文すべきか迷ったら、芦川さんに相談するのがいい。彼女が大切にしているのは、お客さまが抱いているイメージに合致したコーヒーを提供し、「こういうのが飲みたかった」と喜ばれること。

そのために中煎りから深煎りまでバリエーションを揃えて、「どういう味がお好きですか?」と訊ねながらコーヒー選びのお手伝いをする。

初心者のための素敵な工夫のひとつは、コーヒーにフランス語で名前をつけていること。「アプレミディ(午後)」、「キャトゥルール(おやつの時間)」など、直感的にそのコーヒーがふさわしいシーンをイメージすることができる。

「豆の産地や精製方法、焙煎度などについて、提供する側はきちんと理解している必要がありますが、お客さまには頭ではなく感覚で楽しんでいただければいいんじゃないかなと思っています」と、芦川さんはおっとりした口調で言う。

丸いスツールに浅く腰かけて、コーヒーが抽出されるのを待つ。これは映画のオープニングテーマを聴いているような時間だ。

コーヒー豆を挽く音や、漂ってくる香りに包まれて、物語への期待を膨らませる幸せな時間。そして最初のひとくちを味わうときに、小さな起承転結の物語が始まる。

「起」はカップの中の琥珀色の液体の色に鼻を近づけ、たちのぼる香りを吸い込むこと。「承」はコーヒーを口にふくみ、舌触りや味を感じること。「転」はコーヒーを飲みこみながら、鼻から抜ける香りや喉ごしを楽しむこと。そして「結」は、口の中に漂う余韻を味わうこと。一連のストーリーは何を囁いてくれるだろうか?

カップの中に物語があるように、店内にも物語が紡がれている。
それは店主とお客さまが共有する毎日の淡々としたエピソードや、芦川さんがコーヒーについて、また店主が果たすべき役割について、自分のキャラクターと生き方について真摯に考え、悩みながら試行錯誤を繰り返した歴史から生まれる物語だ。

「開業前は企業に勤務し、転職もしましたが、4年以上続いた仕事はなかった。だからお店が5周年を迎えられた時は本当に嬉しくて」

通ってくれる人々、支えてくれる人々に感謝を伝えるために、事前に告知をして、その日の営業時間終了後、コーヒーを無料でふるまった。

7周年を迎える今年、coffee carawayは物語の「転」を迎える。7月下旬に祐天寺駅により近い場所へと移転し、焙煎所兼コーヒースタンドとしてリニューアルするそうだ。

多くの人に親しまれてきたコーヒーの定番を続けながら、新しい舞台へ。そこにもきっと優しい物語が紡がれていくだろう。


text&photo / Yoko Kawaguchi

HISTORY

2006/09 自宅でコーヒー豆を焙煎し、通信販売を始める。
2008/12 祐天寺の住宅街の一角にあった6坪の飲食店に最小限の改装を加え、焙煎スペース兼カフェをオープン。
2008~2010 写真展やギターのライブなど、アーティストの個展やイベントを積極的に開催。
2010/10 10月1日の「コーヒーの日」にちなんで、期間限定のコーヒー、コーヒーを使ったお菓子、雑貨などコーヒーにまつわるものを販売。以降、毎年続けている。
2011~ 日常に寄り添うカフェであることを大切にして、「お菓子とコーヒー」をテーマに、お客さまにコーヒーの魅力を楽しんでもらうことに力を注ぐ。
専門家にお菓子作りを依頼し、期間ごとに「和菓子とコーヒー」や「ケーキとコーヒー」などのメニューを提供(2014年春まで)。
2012/07 コーヒーショップらしい店構えに改装してリオープン。以降、コーヒーのテイクアウトや、コーヒー豆を購入するお客さまが増える。
2013/05 ニューヨークへ1週間のコーヒーショップ巡りの旅に出かける。街の人々の生活のリズムの中にコーヒーが組み込まれて定着していることに強い印象を受ける。
2013/07 5周年記念に、日々訪れてくださる方々への感謝として、営業時間終了後に無料でコーヒーをふるまった。
2014/10 学芸大学の書店「SUNNY BOY BOOKS」とのコラボレーションによるフリーペーパー「カップと本棚」を発行。
2015/06 祐天寺の駅近くへの移転が決定。6月末に移転先の改装工事をスタートし、7月下旬頃にオープン予定。

SHOP DATA

coffee caraway
住所:東京都目黒区上目黒5-32-4-1F(現店舗での営業は7月中旬まで。移転先住所は後日HPで公開予定)
最寄り駅:祐天寺

まだある!川口葉子おすすめの祐天寺のカフェ

フリーポア・ラテアート世界チャンピオンの澤田洋史さんが率いるコーヒーショップ。東横線の高架下に作られた広々とした店内に、自慢の6連エスプレッソマシンが輝いている。バリスタが描く華麗なラテアートを目の前で楽しんで。

STREAMER COFFEE COMPANY Gohongi
住所:東京都目黒区中央町2-36
最寄り駅:祐天寺

戦前に建てられた一軒家を西洋風に改装し、1階をカフェ、2階をインテリア雑貨ショップに。インテリアデザイナーがオーナーだけに、美しく居心地のよいしつらいに魅了される。国産小麦粉を使ったパンケーキやパン、スイーツが人気。

トワル ド リベルテ
住所:東京都目黒区中町2-1-1
最寄り駅:祐天寺

祐天寺商店街に面した小さなビルの2階に、ひとりでもグループでもゆっくり食事が楽しめるカフェがある。パスタやグリルなどの洋食のほか、アサイーボウル、ピタやボウル、グリーンスムージーなどのヘルシーなメニューが充実。

SERENE CAFE 288
住所:東京都目黒区祐天寺2-8-8 2F
最寄り駅:祐天寺

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川口葉子

川口葉子さん

東京在住

プロフィール

喫茶時間を愛するライター。カフェについての著書多数。様々なメディアでカフェやコーヒー特集の監修、執筆を手がける。

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