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【スイーツ連載 Vol.1】カカオを香りごと“かじる”感覚!? ひと味違うBean to bar専門店「Minimal」

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連載「スイーツライターchicoの東京お菓子めぐり」では、スイーツをこよなく愛するライターのchicoさんならではの目線で注目のお店を毎回ピックアップ。第1回は、今流行の“Bean to bar”の中でも異彩を放つチョコレート専門店をご紹介!

Date2015/03/23

連載 スイーツライターchicoの東京お菓子めぐり

カカオの個性弾ける、ざくざくBean to bar

数年前から日本でもじわじわきていた、Bean to bar(=選別・焙煎・摩砕・調合・成形のすべてを自店で行う、カカオ豆から作るチョコレート)。今期は大ブレイクし、味わった人も多いのでは?

元々ヨーロッパでは良いクーベルチュール(製菓用チョコレート)を手に入れるため、ショコラのプロが行っていたこと。それとは別の流れとして2007年頃からアメリカで、異業種の人を中心にサブカル的ムーブメントとして拡大。日本でもお店が増えている。なかでも昨年12月にオープンした『Minimal(ミニマル)』は商品もお店も独特!

スタイリッシュに並ぶタブレットは全てシングルオリジン(ひとつの産地のカカオ豆だけで作るもの)。とくれば、商品名は産地名になることが多いけれど、ここでは、『NUTTY』とか、『FRUTY』とか、味の印象が商品名になっている。

「産地の特徴は当然ありますが、細かい地域や農園で豆の特性は変わりますし、品種、環境、天候、農法、発酵……あらゆる要素が影響します。豆の個性はカラフルで、地名だけでは表しきれないなと。それに、お客さんが、自分はどんなチョコレートが好きなのかを見つけやすいよう、届けたい印象を載せたんです」と、オーナーの山下貴嗣さん。ミニマルではあれこれ試食もしながら選べるから、自分好みのカカオにきっと出会える。

商品名にならなくても、もちろん産地はパッケージにしっかり書いてあるし、壁にタイルで地図が描かれていて、それぞれのカカオ豆の産地は一目瞭然。

タブレットはレトルトパウチのように密閉されていて、封を開けると、豊かで複雑なカカオの香りが溢れんばかり! 『NATTY』(1,080円)を一片いただくと、ローストアーモンドのように骨太な味わいが口いっぱいに。香ばしくコクがあり、でも後味はすっきり。

ひと口で魅了されたのが『PRIMITIVE』(1,404円)。口どけとともに穏やかな酸味と、極上のレーズンみたいな熟香がふわり。たちまち、驚くほどふくよかな香りに包まれてしまう。

どれも個性くっきりの味わいだけど、共通しているのは、あえてコンチング(時間をかけて滑らかにこねる作業)しないで、ざくざく、しゃりしゃりとしたカカオの独特な食感を残していること(『CONCH』をのぞく)。このワイルドなカカオ感は、ついクセになってしまうのだ。

「うちはチョコレート店というより、カカオ屋ですね」と、山下さん(写真中央)。豆の品質やトレーサビリティ(いつどこで作られ、どのようにここまできたか)にこだわり、カカオラボさながらに日々研究。カカオ豆の個性をどう生かして、本来の味わいや香りを表現できるかに情熱を傾けている。

コンチングしないざくざくの口あたりも、カカオを感じられるように。
「素材をいかに活かすか」。そんな料理的な発想から生まれるチョコレートなのだ。

またユニークなのが、「カカオのあるライフスタイル」の提案。飲み物とのペアリングもそのひとつで、『FRUTY』(1,296円)は酸味があるからワインや紅茶と。濃厚な『NUTTY』や『CONCH』(1,296円)ならコーヒーと一緒に、なんてお客の好みに合わせて教えてくれたりもする。

さらには、「テオブロミンたっぷりの『BITTER』(1.080円)は、体の目覚めを助けるので朝食べるのがオススメ」など、日常に寄り添う提案も。「単にお菓子というだけでなく、ライフスタイルの名脇役になる」。そんなチョコレートのあり方が新しく、楽しい。

主役のカカオ豆は世界から厳選。カカオハンター、小方真弓さんから送られる、コロンビアの希少なカカオを使ったチョコレートも2種並ぶ。『PRIMITIVE』と『SWEET〜limited edition〜』(2,000円)がそれ。とくに『SWEET〜』は、世界でここでしか味わえない、アルワコ族のカカオ豆を使ったもの。グレープジュースのような酸味と芳純な後味に、カカオは果実なんだと改めて実感させられる。

そうしたカカオをダイレクトに味わえるようにと、チョコレート作りに使うのは、カカオ豆と砂糖のみ。ミルクはもちろん、材料を混ぜ合わせるときに、作業しやすく滑らかにするカカオバターすら加えない。口どけは、すり潰すとにじみ出てくるカカオ豆本来がもつカカオバターのみで充分よくなるそう。でも、作業性が悪くなるのに、なぜ?

「カカオバターは豆と違って、産地が分かるものはほぼありません。せっかくシングルオリジンでも、ほかの豆の要素が混じってしまうと、その豆を表現しきれないと思ってしまって。そこまでしなくてもいいかもしれませんが……」。こだわるならとことん、とにかく突き詰めたタブレットなのだ。

ガラス越しの厨房でチョコレート作りを担当するのは、朝日将人さん(写真上)。ソムリエ、コーヒー店店主を経て、「土地や環境で味が変わるテロワール性や、果実から自分で味を引き出せる、そんなワインやコーヒーと通ずる魅力にひきこまれ」、カカオの世界へ。

早くから講習会を開いていて、2年ほど前にはBean to barとコーヒーのお店を構え、その楽しみを広めてきた彼。今回はカカオ1本に絞り、さらに掘り下げて、カカオの可能性を広げてくれそうだ。

朝日さんは豆によって砂糖も、焙煎やテンパリングの温度や時間も変えている。たとえば酸味のある豆なら、低温の焙煎で酸味が飛びすぎないように気を配るなど、これまでに探り出してきた、「それぞれの豆の個性を最大限に活かせる方法」で作っていくのだ。詳しく知りたいなら、パッケージについているレシピカードを見るといい。

「レシピカードは僕たちの追求、挑戦の軌跡です」と山下さん。カードには、豆の出どころと製法が書かれている。しかも驚くほど細かい! 品種や産地、カカオ含有率はもちろん、収穫時期、地域、わかるものは農場も明記。また、ローストの温度や時間、さらには砂糖の種類、カカオ粒子のサイズまで!

その裏面には、色合い、味わい(甘み、苦み、酸味)、香り(果実香、スパイス香etc…)を表すチャートも記載。このカード、自分の好みを見つけ、もっと深くカカオ豆を知るための道しるべにもなってくれそうだ。

タブレットのフォルムもここならでは。オリジナルの型を起こしていて、さまざまな形で仕切られている。「好きに食べてもらえばいいのですが」とのことながら、この形にもしっかり心遣いが。

・一番上の4つの長方形は、口の中で溶かして楽しむ用。表面に一部細かく縞模様を入れていて、なめらかとザラザラの舌触りの違いも味わえる。

・次の細長いのは、自ずとかじることになり、ザクザクのカカオ粒子を感じる用。「香りを噛む」幸せを体感できる。

・小さいツブツブは、自分の好きなサイズに割る用。

・最後の2つに分かれているのは、おいしかったらだれかとシェアする用(素敵!)。

そしてどのパーツも(小さい粒々以外)3〜4gになっている。いろいろ試してみたところ、口にした時、香りや味が一番出やすいのがこのサイズだったとか。

タブレットだけでなく、カカオニブ(焙煎したカカオ豆を砕いたもの。1袋972円)も人気。カカオそのものなので、最近はポリフェノールたっぷりのスーパーフードとしても話題の的。ビターな味わいもカリポリ軽快な歯ごたえも、食べ出したらとまりません。お酒のおつまみに最高だけど、シリアルに混ぜてもおいしい!

また、フレーク状にしたチョコレートを瓶に詰めた、『チョコレートフレーク』(1,296円)も、60℃くらいに温めた牛乳に溶かすだけでチョコレートドリンクを作れると好評。アイスクリームやパンケーキのトッピングなんかにもいいかもしれない。

店内のカウンターで、スタッフとカカオ話をしながらいただくのもよし、これからの季節なら、テラスで味わうのも気持ちいい。

その『チョコレートフレーク』を使った『チョコレートドリンク』や『チョコレートアイスクリーム』(各702円)もお店で出していて、やっぱり個性的。心地よい口どけの中で、カカオがカリカリ主張。アイスやドリンクになってもなお、カカオを存分に感じられる。

店内のカウンターで、スタッフとカカオ話をしながらいただくのもよし、これからの季節なら、テラスで味わうのも気持ちいい。

周辺は都心に近いのに落ち着いた住宅街。しかも最近、感度の高いパン屋さんやコーヒー店、お菓子屋さんが続々できているホットスポット。おいしい散歩には最高だ。また、代々木公園へもてくてく歩いて10分くらいなので、チョコレートやドリンクをテイクアウトしてのんびり過ごすのも手。この春、カカオとの素敵な出会いを!


text / chico photo / Kayoko Aoki

SHOP DATA

Minimal-Bean to Bar Chocolate-(ミニマル ビーン トゥー バーチョコレート)
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-1-9
最寄り駅:代々木公園、代々木八幡

渋谷・代々木上原エリアの注目スイーツショップ

お菓子と料理のさかい目のない自由な素材使いで、記憶に残るおいしさをつくる、森田一頼シェフのパティスリー。フォアグラとリンゴのシブースト「ゼニス」をはじめ、類い稀なセンスで生み出す味の調和に、渋谷でも出会える。

リベルターブル 渋谷ヒカリエShinQs店
住所:東京都渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエShinQs B2
最寄り駅:渋谷

オーナーパティシエは数々のコンクールで受賞する和泉光一シェフ。独自の手法で作る、焼き菓子なのにしっとり瑞々しいケイクなど、研究者肌の彼らしいほかにないお菓子がそろう。味の濃い愛媛の中山栗を使った「モンブランクレメ」も人気。

アステリスク
住所:東京都渋谷区上原1-26-16 タマテクノビル1F
最寄り駅:代々木上原

チョコクリームや自家製チェリージャムを挟んだ、笑顔型に癒される「nicoクッキー」など、桜林直子さんが作る作るクッキーは、愛らしくてプレゼントに最高。繊細なアイシングクッキーや季節のイベントごとのクッキーにも心踊る。

SAC about cookies(サク アバウト クッキーズ)
住所:東京都渋谷区富ヶ谷2-17-12 1F
最寄り駅:駒場東大前、代々木八幡、代々木公園、代々木上原

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女子力応援レストラン

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chico

chicoさん

東京在住

プロフィール

スイーツのトレンドに精通し、雑誌、web、TVなどで活躍。『an・an』で「chicoのお菓子な宝物」連載中。共著『東京最高のパティスリー』(ぴあ)発売中。

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