【第18回・江戸東京博物館】1日じゃ足りない? 東京を学ぶ満腹ツアー

▲四つんばいで立っている犬にも見える江戸東京博物館。建築家・菊竹清訓が倉をイメージして設計したそうな

▲四つんばいで立っている犬にも見える江戸東京博物館。建築家・菊竹清訓が倉をイメージして設計したそうな

2016年の初場所で、10年ぶりに日本出身力士が優勝したニュースで沸いた両国。両国といえば、宇宙に向けて出発しそうな勢いで建つランドマーク「江戸東京博物館」が印象的です。



「江戸東京博物館」は、江戸時代の江戸の町から、明治・大正・昭和、そして平成に至る、東京の文化と歴史が体験できるミュージアム。実は、以前たずねた「江戸東京たてもの園」の本館なのです。



先にバラしてしまうと、そのボリューム感たるや半日ではまわりきれないほど。暇な休日に朝から出かけて夕方まで存分に楽しみ、せっかくなのでシメに両国駅周辺で一人でちゃんこ鍋でも食べて帰りたい。そんな満腹請け合いのショートトリップが、江戸東京博物館&ちゃんこ旅なのです。

▲日本橋を渡って、いざ江戸時代へタイムスリップ!

▲日本橋を渡って、いざ江戸時代へタイムスリップ!

江戸東京博物館の見どころはなんと言っても5階と6階にまたがる常設展。来館者は、まず復元された19世紀前半の日本橋を渡って江戸ゾーンにタイムスリップし、江戸時代から近代東京、そして現代へと帰ってくるのです。

▲江戸時代のハイパー格差社会をものがたる《寛永の町人地》と《寛永の大名屋敷》

▲江戸時代のハイパー格差社会をものがたる《寛永の町人地》と《寛永の大名屋敷》

日本橋を渡ってすぐ左右に配置されている寛永期の町人地と大名屋敷の2つのジオラマ。いずれも同じ30分の1のスケール、つまり町民は異様に人口密度の異様に高いエリアでせこせこと暮らし、武士はゆったりとした空間で優雅に過ごしていた、という江戸時代のハイパー格差社会をものがたっているのです。



お隣にある江戸城の模型にもちゅーもーく!天守だけ白木で作られています。実はこれ、江戸時代が始まってすぐ1657年の「明暦の大火」で速攻焼け落ちて以来、再建されることがなかったからだとか。だから、天守ごと江戸城が描かれる時代劇の大半は間違いなのだ(ドヤ!)。



そんな小ネタ満載の江戸ゾーン。もうね、いちいち見てて面白いのです。

▲数々の模型や映像、図表などで江戸東京が体感できる同館ですが、甲冑や刀剣などほんものの文化財も入れ替えながら展示されていますでな

▲数々の模型や映像、図表などで江戸東京が体感できる同館ですが、甲冑や刀剣などほんものの文化財も入れ替えながら展示されていますでな

▲実物大の《棟割長屋》。独身大工の生活を再現。寝食そして仕事まですべて4畳半の小宇宙で完結させる。江戸町民は究極のミニマリストだったんですね

▲実物大の《棟割長屋》。独身大工の生活を再現。寝食そして仕事まですべて4畳半の小宇宙で完結させる。江戸町民は究極のミニマリストだったんですね

▲出版文化も花開いた江戸時代。《武鑑》は大名や武士を網羅した、いわばお家パワーのスカウター。これを片手に、失礼のないお付き合いをしたのだとか

▲出版文化も花開いた江戸時代。《武鑑》は大名や武士を網羅した、いわばお家パワーのスカウター。これを片手に、失礼のないお付き合いをしたのだとか

▲江戸ゾーンのラストを飾るのは日本橋からも見下ろせた《中村座》

▲江戸ゾーンのラストを飾るのは日本橋からも見下ろせた《中村座》

その他にも、江戸の盛り場(まさに両国!)や歌舞伎、浮世絵、遊郭などの文化にまつわる展示が目白押しなんですが、ここで注意点がひとつございます。日本史の授業と同様に、面白いからといって江戸時代ばかり見ていると、近代がおろそかになるという点です。



江戸東京博物館も同じで、江戸ゾーンをじっくりまわりすぎると、文明開化からの東京ゾーンを楽しむ時間と体力が消耗しがちです。なのでペース配分には特に注意しましょう。

▲というわけで東京ゾーンへGO。文明開化で自転車や郵便ポストが登場します。このダルマ自転車は館内イベントで乗車体験できるとか(またぐだけですが)

▲というわけで東京ゾーンへGO。文明開化で自転車や郵便ポストが登場します。このダルマ自転車は館内イベントで乗車体験できるとか(またぐだけですが)

▲木造ゆえに焼失しやすかった江戸に対し、レンガ造りで近代化した東京ですが、今度は関東大震災が襲って崩壊してしまいます。当時ぽっきり折れた《凌雲閣(浅草十二階)》

▲木造ゆえに焼失しやすかった江戸に対し、レンガ造りで近代化した東京ですが、今度は関東大震災が襲って崩壊してしまいます。当時ぽっきり折れた《凌雲閣(浅草十二階)》

▲関東大震災からの復興がひと段落つく頃、今度は軍靴の足音が聞こえ始め、再び大空襲で東京は荒廃するのです

▲関東大震災からの復興がひと段落つく頃、今度は軍靴の足音が聞こえ始め、再び大空襲で東京は荒廃するのです

▲展示はまだまだ続きますが、一気にすっ飛んで戦後の高度経済成長期の団地生活《ひばりヶ丘団地》。先日引っ越した新居(築47年!)とあんまり変わらないような気が……

▲展示はまだまだ続きますが、一気にすっ飛んで戦後の高度経済成長期の団地生活《ひばりヶ丘団地》。先日引っ越した新居(築47年!)とあんまり変わらないような気が……

▲東京をテーマにした博物館なので現代を象徴する展示もおこなっています。70年代~80年代コーナーは欲しかったものでいっぱい!

▲東京をテーマにした博物館なので現代を象徴する展示もおこなっています。70年代~80年代コーナーは欲しかったものでいっぱい!

最後はめちゃくちゃ急ぎ足でご紹介しましたが、マジでこのン十倍のボリューム感がありますから心して臨んでくださいませ。

▲さらに1階では日伊国交樹立150周年を記念した特別展『レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦』が4月10日まで公開中。写真は日本初公開の《糸巻きの聖母》(バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト蔵)だよ

▲さらに1階では日伊国交樹立150周年を記念した特別展『レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦』が4月10日まで公開中。写真は日本初公開の《糸巻きの聖母》(バクルー・リビング・ヘリテージ・トラスト蔵)だよ

▲恒例のお土産チェックは、犬張子のハリー。なお、同館では他にもギボちゃん、赤絵みみずくなど、キャラが乱立気味です

▲恒例のお土産チェックは、犬張子のハリー。なお、同館では他にもギボちゃん、赤絵みみずくなど、キャラが乱立気味です

●一人ちゃんこ鍋は頼みすぎに注意だよ!

こうして江戸東京タイムスリップの旅から現代の両国に戻ってきた後は、お楽しみの一人ちゃんこ鍋です。基本的に鍋といえば大勢でつっつくもの。注文も2名分からしか受け付けてくれないちゃんこ屋もあるので、一人ちゃんこ鍋を楽しむなら事前に電話で確認して予約した方が無難です。

▲やって来たのは『孤独のグルメ』にも登場した「割烹ちゃんこ 大内」

▲やって来たのは『孤独のグルメ』にも登場した「割烹ちゃんこ 大内」

▲時津風部屋に代々伝わる基本の「鳥そっぷ(2750円)」。まるで筑前煮をお鍋にしたような懐かしくもじんわり体があたたまる一杯

▲時津風部屋に代々伝わる基本の「鳥そっぷ(2750円)」。まるで筑前煮をお鍋にしたような懐かしくもじんわり体があたたまる一杯

▲シメは雑炊かうどんかで悩んでうどん! 薬味のネギと天かすが嬉しいね、おいちーね。ちなみに一人だと鍋だけで満腹になるので頼みすぎ注意!

▲シメは雑炊かうどんかで悩んでうどん! 薬味のネギと天かすが嬉しいね、おいちーね。ちなみに一人だと鍋だけで満腹になるので頼みすぎ注意!

というわけで頭もおなかも満腹保証の両国江戸東京ツアーでした。それにしても江戸と東京の歴史は、荒廃と復興のくり返しなんですね。日々どんどん変わっていくという点では、国立競技場の建て替え問題なんて些細なことなのかもしれません。税金の無駄遣いはよくないけどね!

“江戸東京博物館”と“一人ちゃんこ鍋”をソロで楽しむための心得

その1 ボリュームたっぷりなので時間に余裕をもって行こう

その2 平日は団体客が多いので狙い目は土日祝だと心得よう

その3 時には東京ゾーンを先にまわってみよう

その4 ちゃんこ鍋は一人でも注文できるか確認・予約しておこう

その5 ちゃんこ食べ過ぎで相撲レスラー化しないよう注意しよう

東京都江戸東京博物館
  • 所在地

    東京都墨田区 横網1-4-1

  • 最寄駅

    両国

  • 営業時間

    9:30~17:30 土曜日は9:30~19:30  ※入館はいずれも閉館の30分前まで

  • 定休日

    毎週月曜日(月曜日が祝日または振替休日の場合は、その翌日) ※国技館で大相撲本場所開催中は臨時開館します。 年末年始

  • 電話番号

    03-3626-9974

この場所の詳細

ちゃんこ大内

電話:03-3635-5349

住所:東京都墨田区両国2-9-6

最寄り駅:両国

※2016年2月時点の情報です。メニュー、価格等は変更になる場合があります。

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2016年03月18日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。