【第9回・“大英博物館展”編】雑誌感覚で学べる人類200万年の歴史
おもちゃ、パソコン、デジカメ、スマホにアウトドアギアなどなど、モノ好きが嵩じて自分のアバターぬいぐるみ“ミニくまちゃん”まで作ってしまった熊山です。
これはきっと子どものころ、家が貧乏だったせいでろくにモノを買い与えられなかった「やり残し症候群」によるものですが、そろそろ資本主義社会のゴミ箱みたいになってきた自宅を見るにつけいい加減、断捨離たい気分なんですが、気がつくと新しいMacBookとかスニーカーとかをポチっているわけですよ。
なんとかしたい、なんともできない。なぜならモノが好きだから。
というモノ中毒者にぴったりな展覧会が、上野公園にある東京都美術館で始まりました。その名も「大英博物館展─100のモノが語る世界の歴史」(2015年4月18日(土)~ 6月28日(日)まで)。これは同館所蔵の約700万点以上ものコレクションから100のモノを厳選し、人とモノの歴史をひもとくという趣旨で、もともとはイギリスBBCラジオの番組とその書籍から生まれた企画なのだそうです。
選ばれた100のモノは、200万年前の人類最初期の石器から、現代のクレジットカードまでバラエティ豊か。中には同館名物の《ウルのスタンダード》や《ルイス島のチェス駒》といったビックリマンでいうヘッドシール級の目玉も来日しています。
これはいわば、モノをきっかけにした脳内タイムトリップ。妄想ならば1人にこしたことはありません。というわけで上野動物園入り口の隣にある東京都美術館へと単身向かったのでした。
まるで全100号のミニチュア付き分冊百科のよう
展示は、《古代エジプトの棺》と、現代ガーナの《棺桶(ライオン)》の「過去と現在」が象徴的に並べられたプロローグから始まります。以降は第1章から第8章まで、「都市の誕生」や「儀式と信仰」「技術と藝術の革新」などのテーマごとに、時空を超えて関連するモノが集められているといった構成です。
各章の展示スペースには、展示品が時系列に並べられた年表のほか、世界中のどの場所から来たモノかがわかる地図が用意されているので、あまり地理や歴史に明るくない人でも、全体像を俯瞰することでバシッと理解できます。この辺はとても雑誌っぽいですね。毎号ミニチュアを付けて、デアゴスティーニみたいな分冊百科にしても売れそうなくらいお上手。
とはいえ100作品もあるので、じっくり見てまわるとそれなりに時間とパワーが吸い取られるのですが、考えようによっては「100作品だから鑑賞が楽ちん」とも言えます。それぞれの展示品に1から100までナンバリングされているため「あと、60作品もあるから急ごう」「残り20作品なら、ゆっくりでも大丈夫か」とペース配分できるからです。
ペース配分は人それぞれですが、これは他の展覧会でも真似してほしい展示方法かもしれません。
おもちゃ好きが気になるのはスタチュー関連
冒頭で触れたように、展示の目玉は大英博物館でも人気の高い《ウルのスタンダード》と《ルイス島のチェス駒》です。《ウルのスタンダード》は、紀元前2500年頃のシュメール人の都市ウル(現在のイラク)から発掘された謎の箱で、裏と表に戦争と平和がそれぞれ描かれています。用途はようとして知れないのですが、シュメール軍を描いた最古の図として貴重な資料なのだそうです。なかには戦車に踏みつぶされている敵軍兵もいるのですが、4500年後までその姿が刻まれるなら光栄とも言えましょう(言えないか)。
一方の《ルイス島のチェス駒》は、映画『ハリー・ポッターと賢者の石』にも登場したという、スコットランドの島で発見されたセイウチやクジラの歯で作られた見事な駒です。ちょっとユーモラスさも感じさせる造型は、いまフィギュア化しても人気が出そうですね……と思った矢先にミュージアムショップで販売されていたので、お好きな方はどうぞ。1万3000円になりま?す。
他にも、人類最古の道具や世界初の金貨、ダーウィンと世界一周した航海時計など激ヤバグッズが目白押しなのですが、ミニくまちゃん的に気になるのはやっぱりフィギュアやスタチュー(立像)関連。というわけでその他の展示品もミニくまちゃんライクなものを中心にご紹介しましょう。
と、そんなこんなで100作品中のごく一部だけをご紹介した大英博物館展。他にもさまざまな種類のモノが目白押しですので、自分の好きなジャンルに絞ってじっくりと眺め妄想時間旅行をしたり、謎の出自を巡ってミステリーハンター気分で推理したりと、それぞれの楽しみ方ができるのもまた同展のフトコロの深さでありましょう。もっとも、会場ラストにはミュージアムショップが待ち受けていますので、物欲のおもむくままに散財するとフトコロがさびしくなるのでモノ好きは心してお出かけくださいませ。
また、同展では未来へ繋がる歴史の新たな1ページを飾るにふさわしい101点目を、来場者からの投票と公式HPで選ぶという企画もおこなっています。100点のモノを観ながら、自分なら展示の最後に何を持ってくるか、とあれこれ考えながら同展を楽しむのも面白いかもしれませんね。
ぼくなら101点目はもちろんミニくまちゃんですけどね!
ソロで“大英博物館展”を楽しむための心得
その1 雑誌ライクにまとめられた各章で地理歴史をお勉強
その2 モノが生まれた時代に妄想タイムトリップ
その3 謎の出自を巡ってミステリーハンター気分で推理
その4 自分なりの101点目を考えてみよう
その5 特製グッズが手に入るショップももちろんチェック
- 東京都美術館
-
-
所在地
東京都台東区 上野公園8-36
-
最寄駅
上野
-
電話番号
03-3823-6921
-
- 本記事内の情報に関して
-
※本記事内の情報は2015年04月30日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
※本記事中の金額表示は、税抜表記のないものはすべて税込です。