▲お店の前にメニューと一緒に掲げられていた店内マップ。

▲お店の前にメニューと一緒に掲げられていた店内マップ。

昔ながらの“喫茶店”らしさの残る“ディー・カッツェ”。来る途中ハッピ姿の人たちが、路上でお祭りの打ち合わせをする姿を目にした。新しい飲食店がいろいろある一方、昔ながらの文化が同居する穴場的な街といった印象。

▲手前から息子のカイザー、店長で父ネコのケーニッヒ、イスの上には娘のオーちゃん

▲手前から息子のカイザー、店長で父ネコのケーニッヒ、イスの上には娘のオーちゃん

店の扉を開ける、ネコ王族の皆様の神々しいオーラにやられる。店長の「ケーニッヒ(国王)」、その妻「クイーン(女王)」通称クーちゃん、その子どもたち、「王女」通称オーちゃん、店長代理も務める「カイザー(皇帝)」。4匹とも手入れの行き届いた美しい長毛で、王族らしい穏やかな性格。普段はお店のオーナー夫婦のお宅にお住まいだ。

▲壁に飾られた“王族アルバム”。左下、子どもたちに囲まれる国王と女王の姿、英国王室のような気品

▲壁に飾られた“王族アルバム”。左下、子どもたちに囲まれる国王と女王の姿、英国王室のような気品

平日は子どもたちのみの出勤、土日(雨除く)は国王夫妻も出勤し、計4匹に一度に謁見できるのでオススメだ。王族の血は濃く、息子は父に、娘は母に、それぞれ瓜二つの風貌。



ただし、そっくりに見えても、見た目の微妙な差はもちろん、その振舞いから性格の違いも観察できるなど、家族ネコならではの楽しみ方ができて、まさに一石四鳥である。

▲獅子の雄叫びのごとく大あくびするケーニッヒ。実際のライオンと違い、子育てにはしっかり参画する優しさを持つ

▲獅子の雄叫びのごとく大あくびするケーニッヒ。実際のライオンと違い、子育てにはしっかり参画する優しさを持つ

ケーニッヒは、店長らしく落ち着いた、12歳のアメリカンカール。耳がクルっと外にカールしている。フワフワの毛並みが気持ちよく、撫でに夢中になっていたらネコパンチをくらった。



しかしツメを立てないから全く痛くない。フワフワパンチ。むしろ気持ちいい。「あぁ…もう一度お願いします」とまた撫でる、パンチされる、を繰り返すプレイ。

▲もっと、もっと、もっとください! ふわっふわのネコパンチ

▲もっと、もっと、もっとください! ふわっふわのネコパンチ

▲おとなしい性格の母猫クーちゃん、ダンボールの中でじっーと様子を伺う

▲おとなしい性格の母猫クーちゃん、ダンボールの中でじっーと様子を伺う

その妻クーちゃんは、カール、チンチラ、マンチカンのmix。小柄ながら、五つ子を産んで育てた立派なお母さん。この日は、終止眠そうにしていたが、クイーンの名が相応しい女王の気品を持ち合わせる。娘のオーちゃんは、五つ子のうちの一匹。マンチカンの血が濃いのか、手足が短く、トコトコと歩く姿に悶絶する。

▲母親似の娘ネコ、オーちゃん。足の短さがたまらない、抱きあげたい!

▲母親似の娘ネコ、オーちゃん。足の短さがたまらない、抱きあげたい!

▲息子のカイザー、主張控え目で静かな印象

▲息子のカイザー、主張控え目で静かな印象

末っ子のカーくん(カイザー)は、お父さんのケーくん(ケーニッヒ)よりも大きく見えるが、実は甘えん坊で人懐っこい。カイザーくんが生まれたのは、オーちゃんが生まれたその翌年。



飼い主のご夫婦が、ある朝起きたら枕元に仔猫が! 父親のケーニッヒが去勢手術を済ませた後だったため、クーちゃんが妊娠していること自体にも気付かず、獣医さんに尋ねたところ、術前に体内に残っていた精子で最後にできた子供だったという。

▲成猫だが、子ネコのような愛くるしさのオーちゃん

▲成猫だが、子ネコのような愛くるしさのオーちゃん

「毛の色が白いネコは目立つから、臆病な性格らしいんです」。オーちゃんについてと語る奥さん。なるほど。ここら辺から、割と深いネコ談義が始まる。こちらもお店の方の顔色を伺いつつ、質問したり誠心誠意ネコへの愛を話したりしていると、最初は普通に接客調だった奥さんと、ネコ偏愛トークで盛り上がった。

▲ち近いよ、オーちゃん(デレ)

▲ち近いよ、オーちゃん(デレ)

その可愛さに、お店に通うオーちゃんファンの常連さんもいるらしい。メイド喫茶も顔負けのツンデレ加減とそのまん丸で愛らしい瞳で見つめられたら、虜になってしまうのも無理はない。



その常連さんは、愛猫と奥さんを亡くし一時期落ち込んでいた。だがオーちゃんに出会い、大好きになって、お店に来て一緒に過ごすことでしだいに元気を取り戻していった。いまでも一番のオーちゃんファンだそうだ。

▲自分も無意識にオーちゃんの写真ばかり撮っていた、それくらいかわいい

▲自分も無意識にオーちゃんの写真ばかり撮っていた、それくらいかわいい

▲真ん中が、子ネコの頃のオーちゃん、面影が残る

▲真ん中が、子ネコの頃のオーちゃん、面影が残る

愛情あるエピソードを聞いている足元をクーちゃんがヒョコヒョコ小走りで通り過ぎる。そのしっぽを父のケーニッヒがちょいと猫パンチする。人と猫がいっしょに生きている穏やかな日常。

▲全員集合、ネコ草に集まる王族の方々

▲全員集合、ネコ草に集まる王族の方々

▲カイザー、ネコ草うめーの図

▲カイザー、ネコ草うめーの図

昨今のネコブームで、お店にも意外な変化があったらしい。「男性のお客さんでネコが好き、と公言される方が増えた気がします。以前は、男性で特に自分で事業をされている方は、イヌ好きが多い印象でしたけど。今は、ネコ好きを自負する方も多いですよね」。

▲人気のスコーンと紅茶のセット。右下「ネコーン」と左上「チョコネコーン」

▲人気のスコーンと紅茶のセット。右下「ネコーン」と左上「チョコネコーン」

思う存分、ネコ王族との時間を過ごした後、このお店のイチオシメニューをいただいた。ネコ型のスコーン「ネコーン」と紅茶のセットだ。種類豊富な紅茶の中で、おすすめを聞き、香りが強めな“ルフナ”をチョイス。



焼きたてで、甘くおいしそうな香り、紅茶との相性もいい。アメリカンカールのカールした耳が良く再現されていて、飼い主ご夫婦の愛を感じる。

ネコのいる喫茶店経営、ネコ好きなら誰もが憧れる夢の現場に身を置いて、「貯金しよっ」とココロに決めたソロ活だった。

石井芳征(ネコ偏愛者/クリエイティブディレクター/Cat’s Whiskers編集長)

ディー・カッツェ


東京都新宿区新宿1-19-8 サンモール第7ビル2F

最寄り駅:新宿御苑前駅

本記事内の情報に関して

※本記事内の情報は2016年06月17日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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