地下アイドルでライターの姫乃たまさんが、東京の独自の楽しみ方をご紹介。いつもと違うおひとり様時間を過ごしたい女子のために、体当たりレポートを敢行!今回の舞台は高田馬場。お一人様女子に、どんな楽しみ方を教えてくれるのでしょうか。

深夜の動物園!?密かに話題の、高田馬場にある銭湯へ


いつものことが、少し“特別”になったらいいなって思いませんか?子どもの頃、家のお風呂も好きだったけれど、銭湯に行くと楽しくて、いつものことが特別になっていいなって思っていました。今回は高田馬場にある、特別で不思議な銭湯にお出かけ。あなただけの特別な体験を、独り占めしてみて。


高田馬場駅


高田馬場駅を降りたら、学生達が騒ぐロータリーに背を向けて、早稲田通りをまっすぐ進むこと約5分。


裏道


少しだけ裏道に進むと辿り着くのが、怪しく光る看板が目印の銭湯「福の湯」。


福の湯


店先の暖簾はよく見てみると、動物も人間も同じお風呂でくつろいでいる楽しそうな柄です。


暖簾


子供の頃には見慣れていたような気がするのですが、大人の目には少しだけ不思議に写ります。


玄関


玄関には懐かしい木製の傘立てと下駄箱が、壁の両脇にずらりと並んでいます。


下駄箱


鍵に付いたプラスチックの板と、マジックで手描きされた文字に、今まで訪れたことがないのによく知っているような懐かしさと安心感を誘われます。


大きな鉢


入り口には大きな鉢に植えられた季節の花が、いまにも動き出しそうな生命力をたたえながら咲き誇っています。その影に少しだけ手作りらしいジオラマが見えた瞬間、さきほどの少し不思議な暖簾の柄を思い出しました。

季節毎に取り替えられているという異様に生き生きとした花、手作りのジオラマ・・・こちらの期待を上回る大歓迎ムードを感じて、この銭湯にはきっと、銭湯の本筋とは違うところに情熱を注ぐ店主がいることを確信しました!



楽しくて少し不思議な、動物がいる銭湯


待合室


扉を開けると待合室には何やらケースがずらり。なんとこちらの銭湯、待合室にたくさんの動物がいるのです。


待合室


いつもお客さん達の注目を一番に集めているのは、待合室の中心にいるミーアキャット、シマリス、モモンガの小動物達。


ミーアキャット


二匹で元気に右へ左へと歩き回っていたミーアキャット。


シマリス


箱の中を飛びまわっていたシマリス達。


シマリス


さらに元気に、ジャンプして天井にしがみつくことも!


フクロモモンガ


いまにも飛び立ちそうに目をキラキラさせているフクロモモンガ。


水槽


小動物達が動き回る下には水槽があって、5種類の魚たちが飼われています。


珍しい魚


ロシアチョウザメ、コチョウザメ、アルビノコチョウザメ、白変日本ウナギなど、珍しい魚の名前がずらりとテプラで貼られています。


ピパピパ


中でも気になったのがピパピパ。ピパピパって・・・?と疑問に思っていると、カエルだと店主の渡邊さんが教えてくれました。

もしかしたら、ここに行かなければ会うことはなかったかも。そう思うと、知らない生き物のことを教えてもらえるのが一層嬉しくなります。



人気のハリネズミやダイオウグソクムシまで!彼らは銭湯の“守り神”?


もともと動物が好きだったという渡邊さん。お子さんがお祭りから持ち帰ってきた金魚をきっかけに、今では約30種類以上の生き物たちがロビーで生きているそう。

大小の水槽には、水族館の人気者たちが暮らしています。


アンモナイト


生きる化石オウムガイに、


カブトガニ


小さなカブトガニ。


ダイオウグソクムシ


同居人は、水族館の人気者ダイオウグソクムシです。


ピラニア


他の水槽には、名前はよく聞くけれど、あまり見たことがないピラニア。


オニダルマオコゼ


こちら、大きな岩に見えますが、オニダルマオコゼというお魚です。でも滅多に動かないので、本当に岩のようです。

待合室の奥には、ペットとしても人気の動物がいました。


ハリネズミ


そう、ハリネズミです。こちらはアルビノと呼ばれる白い種類。 ハリネズミって、どうしてこんなに可愛いんでしょう。


ハリネズミ


同じ水槽に3匹が一緒に住んでいます。集まって、3倍可愛いです。


ハリネズミ


特別にハリネズミを抱っこ。お互いに少し緊張気味。ハリネズミの針は思っていたよりも柔らかくて、嗅いだことのないいい匂いがしました。


ハリネズミ


ご主人の抱っこに戻って、一安心。

こうして賑やかになった待合室を、ご近所の常連さん達が動物たちに声をかけたりかけなかったりしながら浴場へ向かいます。夜遅くになると時々、動物たちに会いに学生さんも来るそうです。

「一人暮らしだと動物が飼えなかったり、アパートのお風呂も狭くて体を伸ばせなかったりするから、うちでゆっくりしてくれると嬉しいですね」と、微笑む渡邊さん。

珍しい魚や甲殻類、爬虫類から昆虫(!)まで、待合室にいる30種類以上の生き物たちは、珍しくて可愛いだけでなく、福の湯とお客さんを繋ぐ重要な存在でもあります。



心も体もほっとする、新しい都会の銭湯


渡邊さんのおじいさまから続いているお風呂も雰囲気バツグンです。


内装


タイル張りの銭湯らしい趣の内装。


黄色い桶


銭湯に来た気分が高まる黄色い桶もあります。


蛇口


ぎゅっと押すとお湯と水が出てくる蛇口。レトロなデザインのボタンが可愛いです。


お風呂


お風呂は二種類で、緑のほうは曜日ごとにローテーションされている「天然生薬じっこう(漢方)」「米ぬか油・オリーブ油」「コラーゲン」のお風呂です。この日は、「米ぬか油・オリーブ油」のお風呂でした。

そして緑色の湯船の脇にいるカエルのオブジェが、またいい味を出しています。


カエルのオブジェ


なんだか、福の湯の楽しげで少し不思議な雰囲気を守っている神さまのようです。


マッサージチェアとドライヤー


脱衣所には、これまた心くすぐられるレトロなマッサージチェアとドライヤーがあります。この日も開店時間の少し前から、お風呂を楽しみにしている近所の人達が集まっていました。

暖かい動物と、温かいお風呂が待っている福の湯なら、いつもの一日がちょっぴり特別になりそうです。



夢はワラビーがいる銭湯!楽しくて不思議な銭湯で楽しむ一人時間


福の湯


ところで、いま渡邊さんが飼いたい動物は、ワラビーとカピバラだそう。銭湯の扉を開けていきなりワラビーがいたら、すごく愉快に思えるのですが、「生き物は、好きな人と嫌いな人がいるからね」と、お客さんへの配慮は欠かしません。

ここにいる生き物たちは、あくまで個人的な趣味で飼っているので、銭湯の宣伝としては積極的に出していないそうです。


福の湯


それでも丁寧に動物たちの説明をしてくれるのは、動物たちへの愛情もさることながら、「『福の湯』が記憶に残る銭湯になってほしい」という理由から。

「子どもの時に来てもらって、大人になって思い出して、また遊びに来てくれたら嬉しい」と、渡邊さんは願いを口にしていました。

そんな楽しくて少し不思議な銭湯「福の湯」で過ごす時間が、少しでも多くの人の記憶に残りますように。



福の湯

住所:新宿区高田馬場4-18-2
電話:03-3362-0898
営業時間:15:30~25:00
入浴料:大人460円、中人(小学生)180円、小人(未就学児)80円
定休日:月曜日
最寄駅:高田馬場


◆取材・文/姫乃たま

1993年2月12日、下北沢生まれの地下アイドル/ライター。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を中心に、文筆業も営む。音楽作品に『First Order』『僕とジョルジュ』、著書に『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)がある。7インチレコード「恋のすゝめ」「おんぶにダッコちゃん」をリリース。

【Twitter】@Himeeeno


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