江戸時代に歌舞伎小屋や人形小屋でにぎわいを見せていた人形町。中でも明治座に続く通りにある「甘酒横丁」は、“飲む点滴”としてオトナ女子に大人気の甘酒の名が付いていることもあり、今、大注目のスポットです。今回は入門編として、活気溢れる甘酒横丁の名店と、周辺で立ち寄りたい下町の味をMAP付きでご紹介します!

甘酒横丁のスタート地点!虎家喜(とらやき)が有名な老舗「京菓子司 玉英堂」


玉英堂



「甘酒横丁」という通りの由来となった、甘酒屋「尾張屋」の跡地にある老舗和菓子屋「京菓子司 玉英堂(ぎょくえいどう)」。江戸幕府が開かれるより前の天正4年(1575年)に創業した玉英堂の名物は「虎家喜(とらやき)」。包んである紙を剥ぐと、美しい虎模様が現れるのが名前の理由だそう。


玉英堂

▲虎家喜(とらやき)1個280円。秘伝の製法で作られた皮はふんわり、あんは小豆の食感を生かしたつぶあんがギッシリ!



もう一つの名物が「玉饅(ぎょくまん)」。真ん中には丸ごと栗が一つ入っており、その周りにつぶあん、さくらあん、うぐいすあんを重ね薯蕷(じょうよ)の皮でくるむ5層の彩が美しい逸品。


玉英堂

▲上品な甘さの「玉饅(ぎょくまん)」1個680円。半分に切って美しい5層のハーモニーも確認して。



近くにある東京水天宮の、安産のシンボル“子宝犬”をモチーフにした「瓦煎餅」も、かわいいパッケージで人気!玉英堂と、東京水天宮で購入できるすることができ、甘酒横丁ならではのお土産にぴったりです。


玉英堂

▲「瓦煎餅」1箱1,080円。国内産の放牧タマゴとたっぷりのはちみつを塗って焼き上げた煎餅。



京菓子司 玉英堂
住所:東京都中央区日本橋人形町2-3-2
TEL:03-3666-2625
営業時間:平日9:00~21:00、土曜~20:00、日祝~17:00
定休日:不定休
最寄駅:人形町


薄皮にあんたっぷり♡東京鯛焼き御三家として愛される「高級鯛焼本舗 柳屋」


柳屋



「柳屋」は大正5年(1916年)に創業、毎日行列のできる鯛焼きの名店です。1匹ずつの金型を生火で焼き上げる鯛焼きは、あんを包む皮が薄めなのがこだわり。焦げつくほどの強火で手早く焼き上げることで、パリッとした皮の食感と、しっとりとしたあんが同時に味わえます。


柳屋

▲1匹1匹を丁寧に焼く姿を店頭で見ることができます。リズミカルな動きに期待が高まる!



金型からはみ出た「ばり」と呼ばれる鯛焼きの皮も、柳屋ならではのお楽しみ。そして中は頭からしっぽの先まで、自慢のつぶあんがたっぷり。あんこ好きならたまりません!

ちなみに鯛焼きをまとめて購入すると木の皮に包んでくれます。木の匂いが鯛焼きに移り、また違った美味しさになるので、おもたせにすると粋ですね。


柳屋

▲鯛焼き1個150円。型からはみ出た部分「ばり」の食感も楽しみましょう!



柳屋

▲北海道産の小豆をふっくらと煮上げ、小豆の風味を生かしたつぶあん。



日曜休みのため、一番行列ができるのは土曜日だそう。ただし鯛焼きは店頭だけでなくお店の奥でも焼いているので、待ち時間はそこまでかからず買うことができます。行列にひるまず、ぜひ食べていただきたい鯛焼きです!



高級鯛焼本舗 柳屋
住所:東京都中央区日本橋人形町2-11-3
TEL:03-3666-9901
営業時間:12:30~18:00
定休日:日祝
最寄駅:人形町

豆腐に甘酒、名物「ジャンボがんも」と大充実!美容にも良さそうな「とうふの双葉」


豆腐の双葉



東京・深川で創業したのち、昭和23年に甘酒横丁に店を構えた双葉。甘酒横丁の顔でもあった「尾張屋」の甘酒を引き継ぎ、店頭で甘酒を飲むことができるお店として、食べ歩きグルメには欠かせないスポットです。

本業のお豆腐は大豆本来の味を生かすため、天然にがりを使用し手作りにこだわったもの。竹筒に入った「竹筒豆腐」を始め、その大きさにびっくりする「ジャンボがんも」や、「銀杏がんも」、「豆乳ドーナツ」など、豆腐にちなんだ商品もバラエティに富んだラインナップ。

さらに2階には豆腐料理を堪能できるレストランもあって、大人女子に欠かせない“イソフラボン補給スポット”なのです♡


豆腐の双葉

▲甘酒は1杯200円。ノンアルコールで米麹の優しい甘みは様々な世代に愛されています。



取材時はとても寒い日だったので、店頭の甘酒に引き寄せられるように人が集まっていました。もちろん持ち帰り用もあり、3個入り1,170円(お土産用のオリジナル手提げ入り)のセットがおみやげに人気。

甘酒は古代米、玄米、昔ながらの甘酒の3種類を販売しており、飲み比べできる「甘酒パックセット」も好評だそう。甘酒や豆乳を入れた「ソフトクリーム」(各300円)も絶品です!


豆腐の双葉

▲「ジャンボがんも」1個650円。左の普通サイズのがんもと比較すると、その大きさが分かります。



「銀杏がんも」(5個入り/650円)や、「やさいがんも」(8個入り/500円)のほかに、店頭で思わず見入ってしまうのは、普通のがんもの10倍の大きさを誇る「ジャンボがんも」。

その大きさは直径約13センチもあり、中には栗と銀杏、ニンジンなどの具がたっぷり。ふんわりジューシーに食べるコツは、まず「ジャンボがんも」をお湯で茹で、さらに大きくなってから、出汁などを加えて味付けすることだそう。


豆腐の双葉

▲温めるだけで食べられる「味付け湯葉」(650円)や、「さしみ湯葉」(650円)も大人気。



全国からお取り寄せの注文が入る「豆乳ドーナツ」は、5個入り500円。こちらも、食べ歩きのお供にいかがでしょうか♪



とうふの双葉
住所:東京都中央区日本橋人形町2-4-9
TEL:03-3666-1028
営業時間:6:00~20:00 ※2階の豆腐料理双葉は月-土 7:00~19:00、日 10:00~18:00
定休日:無休※豆腐料理双葉は日祝休
最寄駅:人形町


創業時から変わらぬ味のいなり寿司が絶品!「人形町志乃多寿司總本店」


人形町志乃多寿司總本店



明治10年に屋台として始まり、その後、今の場所にお店を構えた「人形町志乃多寿司總本店」。

創業当時から130年変わらぬ味を貫く名物の「いなり寿司」は、江戸歌舞伎発祥の地と言われる甘酒横丁で数多くの著名人や歴代の歌舞伎役者に愛されてきた味。今でも、明治座に出演中の役者さんへの楽屋見舞いによく使われているそう。

店内には、もう一つの人気商品「かんぴょう巻」をはじめ、、オリジナリティにあふれた折詰、季節の食材を使用した押し寿司が並びます。


人形町志乃多寿司總本店

▲いなり寿司、巻物を組み合わせた様々なサイズの折詰がズラリ。名店でありながら、リーズナブルな価格帯。



江戸時代から親しまれてきたいなり寿司に工夫を凝らした「変わり志乃多」は各240円(税抜)。おあげは3種の砂糖、みりん、醤油で仕上げた甘辛く濃い味付け。味が程よく染みるように特別に薄いおあげを使用し、何日もかけて味を染み込ませているそう。

志乃多寿司の味を自宅で再現できる「いなりあげ」(380円/税抜)や、「煮かんぴょう」(362円/税抜)、「ちらし寿司の素」(800円/税抜)も売っています。お弁当やホームパーティーで活躍しそうです!


人形町志乃多寿司總本店

▲香りや食感も楽しめる「変わり志乃多」(240円/税抜)。おやつ代わりにいかが。



人形町志乃多寿司總本店

▲美しい折詰で、見た目も楽しめる「詰合せ 松」(820円/税抜)。



甘酒横丁から少し歩けば浜町公園や、隅田川テラスといったスポットがあります。暖かくなってきたら、折詰を買って青空の下で食べるのもおすすめです。



人形町志乃多寿司總本店
住所:東京都中央区日本橋人形町2-10-10
TEL:03-5614-9300
営業時間:9:00~19:00
定休日:無休
最寄駅:人形町

横丁散策後は創業100年を超える洋食店「小春軒」で下町の味を堪能!


小春軒



約400メートルの通りに60軒あまりの店が並ぶ甘酒横丁。下町情緒を味わい食べ歩きや買い物を楽しんだら、最後に人形町ならではのディナーをいただきましょう♪

甘酒横丁交差点の先にある「小春軒」は、創業明治45年という老舗洋食店。初代は明治の政治家・山縣有朋のお抱え料理人を務めた料理人。現在は3代目と、息子である4代目、その孫にあたる5代目と家族みんなでその味を守り続けているそう。

一番の人気は初代が考案したという「カツ丼」。と言っても、いわゆるカツ丼とは異なり、カツの上にデミグラスソースを隠し味にした野菜と目玉焼きがのったオリジナルな丼です。


小春軒

▲名物の「カツ丼」1,300円(味噌汁付き)。味噌汁の具はシジミ。



「カツ丼」のカツは、食べやすい一口カツ。彩りになっているジャガイモ、ニンジン、グリーンピースは隠し味にデミグラスソースを加えた割り下で煮ています。しかも卵とじにするのではなく、半熟の目玉焼きが乗っているのも個性的。こってり味を想像しますが、デミグラスソースの風味が爽やかで、柔らかいカツと崩したとろ~り卵との相性が抜群です!


小春軒

▲4代目の小島祐二さん。修行先のホテルから戻ったのを機に、初代の味であるこのカツ丼を復活させたそう。



平日の昼間は近くの会社のビジネスマンやOLでにぎわう店なので、狙い目は夜の営業。カツ丼と並ぶ人気メニュー「特製盛り合わせ」をつまみに、一杯飲むのもオツです。カツに使う肉はご近所でもある肉の名店「日山」、魚介は築地から鮮度抜群の食材を仕入れているそう。


小春軒



「気取らず美味しく」のコンセプト通り、下町らしい親しみやすさにあふれた店内。昼も夜も金額が変わらず、どのメニューにもライスが付くという、リーズナブルな価格帯もうれしいですね!



小春軒
住所:東京都中央区日本橋人形町1-7-9
TEL:03-3661-8830
営業時間:月~金11:00~14:00、17:00~20:00 土11:00~14:00※材料がなくなり次第終了
定休日:日祝
最寄駅:人形町

<MAP>今回巡ったお店はこちら!

甘酒横丁MAP



下町の風情を色濃く残す人形町・甘酒横丁。老舗・名店が軒を連ね、味の良さもさることながら、お店の方たちの人情味あふれる笑顔も魅力です。江戸っ子たちの粋を集めた街で食べ歩きを楽しんでみてはいかがでしょうか?




取材・文/佐藤玲美

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