冬はやっぱり寒くて、どうしても屋外のおでかけが億劫になりがち。でも、例えば動物園にいる動物で、一年の中で「冬」が一番かわいい動物がいたら、一度はちょっと見ておきたくなりません?冬毛がきれいだったり、ふわふわまるまるした毛並みが気持ちよさそうだったり。“動物園巡り人”市嶋泰樹さんが、上野動物園と井の頭自然文化園で、見るだけであったか~い気持ちになれる冬毛の動物たちを紹介します。

冬毛でふわふわまるまる、プレーリードッグ


上野動物園ではプレーリードッグが飼育されています。尾が黒い「オグロプレーリードッグ」という種類の、一般的なプレーリードッグで、野生では草原に穴を掘って群れで生活をします。上野動物園にも数多くのプレーリードッグがいます。


プレーリードッグ


このまるっとした感じ……、冬毛なんです。

動物の全身の毛が特定の季節に短期間で生え替わることを「換毛(かんもう)」と言うのですが、プレーリードッグも冬の寒さをしのぐために、秋頃から冬毛に生え替わります。

そうすると、プレーリードッグは丸々ふわふわとした姿形になり、とってもかわいいのです。


プレーリードッグ


みんなそろって、ふわふわまるまるしてます。


プレーリードッグ


立ち姿も、何かやわらかい和菓子のような「ふわまる」な感じです。入園者が多い週末には、1分おきに「超かわいい」「やばい」という声が聞こえてきます。


プレーリードッグ


座って餌を食べる後ろ姿は、まん丸です。


プレーリードッグ


穴を掘る後ろ姿のお尻も、丸くてかわいい。


プレーリードッグ


ときどき顔を土まみれにしているプレーリードッグがいますが、穴掘りのひと仕事を終えたところです。


プレーリードッグ


これは親子でしょうか?


プレーリードッグ


ちょうど2匹とも鳴いたところ。プレーリードッグは犬のように「キャン!」と鳴きます。なので「プレーリードッグ(草原の犬)」という名前なのですよ。




ニホンザルだって冬はふわふわ


上野動物園には、「サル山」にニホンザルがいます。ニホンザルも冬の寒さをしのぐため、秋頃から長い冬毛が生え始めます。そうすると、ふわふわした毛で体全体がふっくらとした感じになります。


ニホンザル


長ーい毛で、あったかそうですね。


ニホンザル


子供のニホンザルも、こんもりふわふわした姿になります。


ニホンザル


お母さんが子供を体に抱き寄せると、ふわふわな毛で子供もあたたかそうです。


ニホンザル


ニホンザルは、コミュニケーションの一つとして絆を深めるために毛づくろいをします。

こうすることで毛並みもきれいになります。気持ちよさそうですね。


ニホンザル


上野動物園のサル山には体重計があり、運が良ければニホンザルが体重計に乗っている様子が見られます。

ところで、日本の動物園のニホンザルの展示形態の一つとして普及している「サル山(山を模した施設)」は、上野動物園の「サル山」が起源なんですよ。

しかも、現在の上野動物園のサル山は、1932年(昭和7年)の完成当時のもの。80年以上たった今でも現役で使われているって、すごいですよね。


ニホンザル


ニホンザルは冬でも比較的活発ですが、雪が降るとやっぱり寒そうです。でも、ふわふわな冬毛のおかげで少しはあったかく過ごせるのでしょうね。


ふわもこに加えて、耳の毛がピーン!尻尾もふさふさなニホンリス


ニホンリスは上野動物園にもいますが、吉祥寺の井の頭自然文化園には放し飼いのニホンリスのケージの中に入れる「リスの小径」という施設があります。そこでは、たくさんのリスたちが足元を走り回る様子が身近に見られます。

ニホンリスも秋の初め頃から冬毛に換毛します。他の動物と同様に「ふわふわ」になるのですが、さらに耳の先の毛が長く伸び、尻尾もふさふさになります。これぞリス、という感じの容姿です。


ニホンリス


冬毛になると、耳の先の毛が長くピーンと伸びます。


ニホンリス


尻尾もふっさふさになります。


ニホンリス


ふさふさ、くるん!とした尻尾が、これぞリス!運が良ければ、こんなニホンリスが間近で見られます。


ニホンリス


秋から冬にかけて、ニホンリスは真冬に備えて餌をたくさん食べたり確保したり、また冬をあたたかく過ごすために巣箱にたくさんの巣材を持ち込んだりして、とても活動的になります。

寒さが厳しい真冬になると巣箱にいる時間が長くなりますが、それでも時折巣箱から顔を出したり、走ったりする様子が見られます。


ニホンリス


朽ちた木からこんにちは!ちなみにニホンリスは冬眠しません。



黄色い毛並みがキラキラ!ホンドテン


ニホンリスと同じ井の頭自然文化園には、テンの一種、ホンドテンが暮らしています。

ホンドテンは夏毛と冬毛で大きく異なります。個体差はありますが、夏の赤褐色の毛が冬になるとより黄色になり、顔の毛も黒から冬には白くなります。


ホンドテン"


冬毛になると体が黄色、顔が白くなります。


ホンドテン"


ちなみにこちらが、顔が黒い夏毛のときの姿です。こうして比べてみると、かなり印象が変わりますよね。



ホンドテン


秋から冬の夕方の日差しを浴びると、黄色い毛並みが金色にキラキラと光り、愛くるしくまたとても神秘的です。


ホンドテン


ホンドテン


昼間は寝ていることが多い印象ですが、夕方頃から起きて活発に動き始めます。

とてもすばしこく、木に登ったりあちこちを走り回ったりで見飽きません。

ホンドテン


金色に毛がキラキラ光る動物って、見ているとちょっと幸せになりますよ。


やっぱりその動物が一番かわいいときを見たいもの!


オグロプレーリードッグ、ニホンザル、ニホンリス、ホンドテンと、冬だからこそ実は一番かわいい動物園の動物たちを紹介しました。

プレーリードッグやニホンリスって、秋から冬が「ふわもこ」なんですよ。やっぱりその動物が一番かわいいときを見たいもの。一度ぜひ、動物園まで見に行ってみてください。

コートとマフラーを着込んでニット帽も被って、寒さ対策を忘れずに!



恩賜上野動物園
住所:東京都台東区上野公園9-83
TEL:03-3828-5171
営業時間:9:30~17:00(入園券の発売及び入園は午後4時まで)
定休日:毎週月曜(月曜日が祝休日、都民の日の場合は、その翌日に休園)、年末年始(12月29日~翌年1月1日)
最寄り駅:上野、京成上野、根津


東京都井の頭自然文化園
住所:東京都武蔵野市御殿山1-17-6
TEL:0422-46-1100
営業時間:9:30~17:00(入園券の発売及び入園は午後4時まで)
定休日:毎週月曜(月曜日が祝休日、都民の日の場合は、その翌日に休園)、年末年始(12月29日~翌年1月1日)
最寄り駅:井の頭公園、吉祥寺

企画・執筆:市嶋泰樹

動物園巡り人。大阪出身、東京在住。本業はウェブのコンサルタント。週末は動物園に行っているか、美術館や博物館に行っているか、仕事をしているかのどれか。好きな動物はレッサーパンダ。


撮影:市嶋泰樹、市嶋智子


※2016年12月13日時点の情報です。情報、内容等は変更になる場合があります。





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