ネコ好きの友人からのタレコミ情報で訪れた西早稲田の「9sari café」。ヒップホップのインディーズレーベル“9sari group”(鎖グループ)のオフィス兼スタジオであり、平日昼間はカフェやショップとしてオープンしている。
西早稲田駅から歩いて5分もかからないほどで、テラス席もあり、外見はお洒落なカフェ兼事務所って感じだ。入るとすぐに、カウンターに並んだイスに2匹のネコが寝ているのが見え緊張もすぐに溶けた。
下調べする中で、カフェのオーナー、9sari groupの代表でもあるMC漢a.k.a. GAMIさんが歌うPVを発見。その楽曲はかなり本格的なイズム(主義主張)を持っており、そもそもネコの取材OKなのか不安になっていたところに、ネコを抱きかかえながらマイクを握るMC漢さんがフレームイン。
キョトンとするネコの表情、まるで子供をあやすかのごとく、フローに合わせて揺れる体。「この人なら大丈夫!ネコ好きに間違いない!絶対いい人」と確信を持ったのだった。
9sari(鎖)から名前をとった雄猫のキュー(9)ちゃんと、雌猫のエルフ(オランダ語で11の意味)、ネーミングがおしゃれ。天井近くまである棚やロフトなど、自然にキャットウォークができあがっていてネコにとって理想的な住環境だ。イスの上で安心して寝ている2匹の姿を見てネコ愛のある空間だというのがよくわかる。
漢さん曰く、9ちゃんはキジトラのオスで、約1年半前、カフェをオープンする直前にお店の裏で保護された。「もう、そこで抱いてしまったのがきっかけっすね」と、漢さん。そう、抱いたらもう飼うしかなかった。“9sari group”代表を務め、MCバトル番組に出演している最強ラッパーでも、仔ネコの魅力には敵わない。ここでも証明された、仔ネコ最強伝説。
エルフは、アメリカンショートヘアで、まだ約6ヶ月。この子も、飼い主を探していた知り合いから引き取ったという。実は、お店には10(テン)ちゃんもいたが、今年の2月に亡くなってしまった。白と黒の模様でぬいぐるみのような目をした、愛らしい子だった。
9と11、2匹の関係はなかなか微妙らしい。11(エルフ)は気ままで、甘えたい時はその気持ちをストレートに表現する性格なのに対し、9(キュー)ちゃんは、「オスのくせに女嫌い(ネコも人も)」だが、実は甘えん坊で漢さんにべったり、いつまでも「赤ちゃんだっこ」していられるし、夜は胸の上に乗って頬に顔を擦りよせて眠るのだとか。
漢さんの口から出た、「赤ちゃんだっこ」という言葉、9ちゃんを包み込むような抱き方、耳たぶを噛ませる行為の再現、硬派なMC漢のパブリックイメージを崩しかねない言動を惜しげもなく披露する姿。気にしない他人からの評判、その腹のくくり方にグっと共感、眼差しの優しさはまるで父さん、と経験のないライム調文章で伝えたくなるほど、その愛は「本物」だった。
ヒップホップに疎い、ただのネコ好きの人が記事を見て来てしまってもいいですか?という問いにも、「全然大丈夫ですよ」と即答。すでにネコ目あての常連さんもけっこういるらしい。ヒップホップ好きも、ネコ好きも満足できるコミュニティ空間、オススメです。
石井芳征(ネコ偏愛者/クリエイティブディレクター/Cat’s Whiskers編集長)
9sari cafe
電話:03-6233-9215
住所:東京都新宿区大久保3丁目13-1
最寄り駅:西早稲田駅
ライター紹介
ネコ偏愛者・クリエイティブディレクター。ネコを偏愛する5人で「ネコ親戚」と自称し、ネコ新聞やポップアップストアCat’s ISSUEなどで、ネコへの偏愛を普及する活動を行う。
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※本記事内の情報は2016年04月20日時点のものです。掲載情報は現在と異なる場合がありますので、事前にご確認ください。
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