2015/12/6 17:00

能町みね子の東京妄想デートvol.6 ゆったり飲みたい荒木町デート

 

文筆業兼イラストレーターの能町みね子さんが、好みの男性とともに“妄想上で”完璧なプランのデートをする「東京妄想デート」。これを見てあなたの実在するステキなダーリンと実際に同じようなデートをするもよし、あなたもあなたの「妄想デート」をするもよし!?


ゆったりした人とゆったり飲みたい荒木町

♥寒くなってまいりました。ぬくぬくと室内で腰を落ち着けてお酒を飲みたい季節。
そんなときは四谷三丁目に行く。いや、駅名の「四谷三丁目」よりも、飲み屋街としては「荒木町」といった方が通りがいい。

元花街で今もその風情を残し、高低差が激しくて坂や階段が多い。この点では神楽坂にも似ているけれど、おそらく若い世代にとっては神楽坂よりも知名度は低いでしょう。その分、飲み慣れた大人たちが集まっているイメージがあります。

♥ここでデートするなら当然ここで飲み慣れた人に決まっている。世代はかなり上がいい。40? 50? いや、そんなのまだまだ若造ですよ。60代と飲まなければ。

大学入学とともに上京してきて新宿でジャズや日本のロックを聴き、純喫茶で革命について語り、学生運動の闘士となるも、その後の挫折や苦悩を経て小さな会社を興し、今はずいぶん丸くなっている65歳! 30で結婚した妻とは、子供の手が離れた50半ばにして熟年離婚。でもまだまだやりたいことも多い団塊ど真ん中です。

彼とは新宿のバーで知り合って仲良くなったのですが、何回か会って飲むうちに「30年来行きつけのトコがあるんだ」と言って連れてきてくれたのがここ荒木町なのです。

♥私は過去の自慢話や武勇伝は嫌いだけど、40年以上も前に東京で若者として暮らしていた人の純粋な体験談は大好きです。彼も決して偉ぶらず、成功談や説教をするようなところはなく、ただ私に当時の街の話や学生生活の話、音楽や映画の話を語ってくれるのです。だから彼も私もこうして楽しく飲んでいられる。

最初に会ったバーこそ今どきっぽいこじゃれた所でしたが、彼と飲むようになってからは私もすっかり小料理屋やスナックの方が居心地がよくなってしまいました。バーも、客層がほぼ50代以上というところをわざわざ私が選ぶようになりました。時にはカラオケスナックに行ってほかのお客さんと一緒に盛り上がることもあります。

このくらいになるとほぼ父と子の世代差なのですが、最近は芸能人の年の差婚もブームだし、ね。今度はお昼にもどこかにデートに行きたいなあ……と妄想内妄想が始まってしまったのでこのへんで取りやめ…! ともかく荒木町未体験の人は、店をよく知るおじさまに連れてってもらったらいいですよ!



文・イラスト:能町 みね子さん


能町 みね子さん
能町 みね子さん

能町 みね子さん

文筆業兼イラストレーター。「オカマだけどOLやってます。」でデビューし、近刊に「『能町みね子のときめきデートスポット』、略して 能スポ」(講談社文庫)「ときめかない日記」(幻冬舎文庫)など。「久保みねヒャダ こじらせナイト」にも出演中。
https://twitter.com/nmcmnc

※この記事は、レッツエンジョイ東京のフリーペーパー「東京トレンドランキング」2011年12月号(11/20発行)に掲載されたものです。
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