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| 1998年、イタリアはシチリア沖を航行していた漁船の網にかかったあるものが世界を驚愕させた。水深約500mの海底から姿を現したのは、のちの調べで紀元前4世紀末頃にギリシャで制作されたと判明するブロンズ像“踊るサテュロス”だった。実はこの前年、同じ漁船がサテュロスの左足部分を同海域から引き揚げていた。これを奇跡と呼ばずになんと言うのだろう。こうして高さ約2.5m、重さ108kgのサテュロスは、約2000年の時を越えて現代に復活したのだ。 |
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| 世紀の発見後、“踊るサテュロス”を巡る背景を洗い出す作業が始まった。そうして、紀元前4世紀末のギリシャで制作された後、紀元前3〜2世紀頃に、アテネへと移送される船もろとも海中に沈んだ作品であるという説にたどりつく。海中微生物に覆われた姿で発見された後、この像は4年の歳月をかけて修復を施される。当時を偲ばせる姿に戻ったとはいえ、非常に脆く貴重な作品ということもあり、これまで門外不出の至宝としてシチリアのマザラ・デル・ヴァッロ市の博物館で厳重に保管されてきた。 |
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| 1965年の“ツタンカーメン”、1974年の“モナリザ”に続き、世界の至宝を迎える東京国立博物館。歴史ある同館の中でも、明治末期の洋風建築を代表する建物として重要文化財に指定されている表慶館が会場となる。ここでの展示後、サテュロスは愛知県に移動し、愛知万博のイタリア・パビリオンで公開される。サテュロスにとって今回の“来日”は、かつて海に沈んだ遥か過去の出来事以来の海を越えた移動。この作品の状態や貴重性を考えると、日本への上陸は最初で最後の海外展示になるのではと、イタリア外務省の関係者筋は見ている。この機会はまさに一期一会のタイミング。世紀単位の時を超えた芸術作品との対面は、今を逃すと永遠に訪れないかもしれない…。 |
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